2017年09月04日

LPレコードの登場とノイズ

1940年代後半米COLUMBIA社がLPレコードを登場させ、1950年英DECCA社がLP市場に参入します。ライヴァルの英HMVと英COLUMBIAがLP製造に踏み切ったのは更に2年後の1952年。


page-000030DECCA











.................HMV LP Ad 1952 Oct .....................DECCA LP Ad 1952 Nov

LP再生可能なプレイヤであるGARRARD RC72は1948年に発売されます。33/45/78回転盤がかけられるユーティリティなオートチェインジャとして英連邦と米国で広く出回りました。 発売当初はLP再生というより78回転用として使用されていたのでしょう。 なにせ英国ではLPが市場に出ていなかったのですから。 



これはグレイが5年前にレストアしたRC72です。BEAU DECCAというラヂオグラムやモノーラルデコラにも採用され、当時のレコードプレイヤとしては高級、高性能で、信頼性も高いものでした。 御覧のとおり、電蓄(RADIOGRAM)のコンソールに収めた方がしっくりくるデザイン。と、同時にGARRARD社はオリジナルキャビネットに納め、プレイヤ単体としても売り出されました。 これが、実はエポックメイキングでした。 これがシステム・コンポーネントというスタイルが始まるきっかけになったのですから。 その後他社からも続々とプレイヤ単体が登場します。 プレイヤの聴き比べさえ容易に可能になったのです。 市場にライヴァルたちがたくさん並ぶようになると、固有のはたらきと製品としての魅力が試されます。 レコードプレイヤとして独立した製品たちの性能はどんどん改善されていきます。しかも電蓄に組み込まれるのを前提としないため、スペースの制約、アンプリファイアからの熱、そしてなによりスピーカと同じ箱に収められないためにハウリングからの解放でした。 RC72はLP普及後のRC80、ステレオ対応のRC88と改良がなされ時代の要求に応えていきます。 このRC72からRC88までのGARRARD社製RCシリーズをひとくくりとして、少し書いてみます。
このシリーズのプレイヤの機械力と電気信号のバランスは50/50といったところでしょう。けっこう機械的ノイズが多いのです。当時としては相当静かなプレイヤだったには違いないのですが、ハイフィデリティの領域まで到達する性能ではありません。 もう少し動作ノイズが小さくならないと、フォノモータの機械力が沈んでいかないのです。 カートリッヂの電気信号へのモータのはたらきは潜伏して初めて機能する性質があり、あからさまな動作ノイズは機械力としてのはたらきを減らしてしまいます。しかしながら、GARRARD社製RC型プレイヤは当時の優秀な大型ラヂオや電蓄をしのぐ高水準のリプロダクションを誇ったことは確かです。 事実、RCシリーズから再生される音楽はアンプとスピーカを適切に組み合わせてやりさえすれば、実に魅惑的な再生音で聞き手を動かします。前に書いた通りRC72の発売時はLPはまだ英国では発売前夜であり、もっぱら78回転を再生していたに違いありません。 



78回転はもちろん、やがて登場するLP再生もかなり高い水準でやってのけたのが実際に聴いて確認できました。 78回転もLPも、針が降りるとレコードプレイヤが勝手にハイカットしているかのように感じられ、歌手の声は逆に生々しく、太く、心地よく聴けるから不思議です。 当時は流行歌・クラシックの分野で歌手、つまり声のレコードの売り上げが主流を占めており、RC72から再生される声の浸透力は群を抜いていました。 この声の再生力こそ、RCシリーズの真骨頂であり、のちのLABシリーズやDual、ELAC製オートチェインジャのノイズが少ないハイフィデリティとは一線を画しています。 機種の立ち位置として、心地よいエンタテインメント再生とハイフィデリティ再生の分水嶺ともいえます。 RCシリーズはレコードプレイヤが持つ機械力のちからを知らしめてくれます。 アンプで電気的な処理を施すと不快なノイズが混じってしまうことを嫌い、レコードプレイヤにある機械力で充分にコントロールしてしまうだけのノウハウをGARRARD社の技術者たちはすでに獲得していたのです。 この技術は蓄音機、電蓄から受け継いでいるのは言うまでもありません。 それが1950年代ハイフィデリティの創造に大きな力となり、華開かせることにつながります。 つづく 
以上T氏

電蓄、真空管ラヂオ、そしてRCシリーズのオートチェインジャ。 何故かノイズは生理的に気にならない範疇にあった。 それに、あの時代ノイズとはいわず雑音と言った。 トランジスタ時代に入り、ノイズ、ノイズ、ゴロ、歪みと気にするようになる。  





この記事にコメントする

名前:
URL:
  情報を記憶: 評価: 顔