2018年05月16日

草いきれの頃 フランスの音を聴く その3

エンクロージャのデザインと製作

英Hi-Fi Year Book (1957) に掲載されたエンクロージャを基にしてデザインを考案した。一つ問題なのは当時のエンクロージャは突板仕上げを前提にしていたため、組み立てにネジや釘を多く使用していた。 しかし、今日では当時のような突板材が入手できないため製作にあたり納まり具合を充分に考慮しておかなければならない。 突板処理をしない板そのもの即ち外装になるからだ。 そのため原寸図を引くのに随分と手間がかかってしまった。

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上:平面断面図
右:砂入りバッフル図 
4つの方形に砂が入る

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側面が曲面となる形状であるため製作時は直角を出しにくく、また歪みが生じやすいため、中心部を一つの箱型エンクロージャとみなし、両サイドの半円部を接合するかたちをとった。
構造材は内部の骨組み部位はシナ合板、側部の曲面はシナ曲げ合板を使用した。 裏板は二重構造、フロントバッフルはスピーカ開口部を囲む四か所に方形穴を開け砂を入れて砂入りバッフルとした。 

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フロントバッフルは接着剤を使わず、L字型木材を使用して左右4か所と天板一か所で両サイドの構造材にネジ締めした。 ユニットの開口部はバッフル板の真中に位置させた。 これはSupravox社の手引き書の指示にそのまま従った。 ユニットのバッフルへの取り付け法は何度か音出しをして決定した。 RIMG0377バッフル底部のスリット開口も指示どおりにした。 スリットの役割はダンプトバスレフに近いものであり本来であればもう少し奥行きを伸ばしたほうが効果が上がるともみえるが、使用ユニットはウーファでなくフルレインジである。 あまりダクトでダンプをかけるとユニットに必要以上の負荷がかかり、コーン紙の変形・ひずみが生じることがある。 以上を考慮してスリットの奥行きはバッフル板厚だけとした。 後に試聴して不都合があればスペーサを取り付ければ良い。  つづく
以上T氏 


 




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