2019年02月12日
ローコスト・フォノイコライザとプリメインアンプ その2
新しくフォノイコライザとプリメインアンプ2種を販売するのは、これらの機器がどれも手のひらサイズなのがもう一つの理由です。最近オフィスを訪ねる方の年齢がだんだん若くなってきたのを感じます。実際30-40歳代の方が増えました。オーディオの世界では大きな変化です。この世代がアナログオーディオに対する意識は、これまでと違うのです。一言でいえばビルトからコーディネイトにシフトしたのです。これまでオーディオはシステムの構築(ビルト)、組み上げるものでした。しかし彼らにとってのオーディオはコーディネイトです。現在ある現行機やヴィンテージ機器を自らの感覚に合うもので構成する。彼らの住空間にもふさわしいデザイン、大きさに適合するギアをチョイスする。これまでのオーディオのような部屋の壁面のほとんどを占領する仏壇のようなシステム、あるいは機器とケーブルが散乱する部屋で音楽を聴くという行為を嫌悪します。オーディオ機器は部屋の中ではOne of them であり、存在を誇示して部屋のスタイルを毀してはいけない。必要以上に目立ってはいけないのです。経済的成功より自由を選択する世代へとオーディオの世界も変革しつつあるのでしょう。オーディオ機器はBIG/HEAVY/RIGIDでなければならないというスタイルは徐々に消えていくことになるでしょう。レコードにしても同じことで、高価な盤を持っているのはどうでもよくなり、どんなふうに音質と音楽のバランスが取れたレコードを持つか、それらとどういう風に時間を過ごすかを重要視する価値観に注目します。なぜなら今どきの若い人たちのほうが、今どきの年寄り連中よりもずっと耳が素直でまっとうな感覚をしているからです。例えばオフィスでひとかど聴き終えた時の彼らは、『本当のアナログの音とはこういうものか!普通の音なのにCDには存在しない何かがある。』と漏らします。僕たちは感心しました。ヴィンテージオーディオの本質をきちんと捉えているからです。こんなに小さな機器がこんなにもちゃんとしたアナログの音を出すようになったのです。もちろん市場で販売されている小さな機器はたくさんありますが、アナログ再生にふさわしいと僕たちが選んだのはこの3つです。 つづく