2019年02月14日

ローコスト・フォノイコライザとプリメインアンプ その3

Grey EQ12 は合研LabのRIAA真空管フォノイコライザを改良した上で4種のLPイコライゼイションを可能にしたフォノイコライザです。4本の真空管(ECC81x2 / ECC83 x 2) は、チェコ製が標準装備で仏ORTF(フランス放送局仕様) 12AT7+英Mullard ECC83(中古管)も注文により取り付け可能、また真空管なしでユーザー所有の管を差すことも可能です。この要望を合研Labにお伝えしたところ、翌日にはサンプルを製作して発送してくれました。PC150075-12これまで市場で販売されている10種以上のフォノイコライザを試聴してみましたが、音質的にベタッとするか冷たい感じがしたり安っぽかったり価格的に見合わないものでした。機能的にもNABやDECCAカーヴなどが適切な再生曲線になっていなかったりでアナログ再生に向く機種が探し出せず途方に暮れていたところ、合研Labのサンプルを試聴して『これだ』と直感しました。それを一日で製作してしまうとは。アナログ4つのカーヴが適切に再生される。同じ英SXL2000番台でも何種類かあるなかで、DECCAffssとNABにどちらが適合するか、一聴して判別可能なほどです。この録音特性セレクタが効果的に効くのはトーンコントロールなしのシステムに予想外の利便性をもたらします。PC150069-12音質がアナログ再生に物足りなさを感じさせないのがすごい。縦のリズムをキチンと出しているからです。初期盤は特にリズムのダイナミクスが揃わないと面白くないのです。ハーモニクスが絡まないし、音色も出にくくなるからです。日本のオーディオ機器の最大の弱点は西洋音楽のリズムを消化しきれないところがあり、どうしても拍が流れてしまう。そのために多声部による和音の混ざり具合の興趣が削がれてしまうのです。音は出ているけれど、音楽にならない。そのあたりがこれまでの日本製アンプの音作りにも共通していた弱点でした。

PC150070-12

EQ12で一番感心したのは再生音の安定にあります。長時間かけても音がダレない。オフィスでは毎日6時間かけっぱなしですが、音のハーモニクスや音色がきれいに立っている。真空管式でありながらこれは大したものだと感心します。あまたあるフォノイコライザの中でもこれを販売する理由です。 つづく




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