2019年02月22日

ローコスト・フォノイコライザとプリメインアンプ その7

アンプリファイアのトーンコントロール
そもそもトーンって何なんでしょう? 
Toneを直訳すれば音調色調語調体調。
話し手の語調、場の雰囲気、楽器の音の質や色、からだの調子などに使用されます。
たとえば「辛辣なトーンの口調」「厳粛なトーンの会場」「オーボエの快活なトーン」「散歩で筋肉のトーンが向上する」といった風に
本来アンプリファイアのトーンコントロールはあくまで再生音の場を整える機能であり、ただ低音や高音を聞くための即物的な調整機能ではありません。ヴィンテージ時代のアンプリファイア、たとえばLEAK TL12 "Point One Plus"(VARISLOPE) の愛用者で再生音場を自由自在に調整できる人がどれだけいるでしょうか。コントロールパネルの真ん中にある"FILTER"ノブを回しても高音域に変化が認められない、故障しているのではないか?と疑うか、ほったらかしにしている方がほとんどでしょう。ちゃんと整備したプレイヤと良質なヴィンテージスピーカと反応するようにシステムを組んで初期盤に針を入れてノブを回せば、生き生きとした音場のトーンに調整できるはずなのに。RIMG0861意識としては高域の音場で音楽に寄与する音が残り不必要な夾雑音や歪み成分とノイズをカットする境界をゆっくりと動かして音楽が一番生きるポイントを決定します。これにより音楽を邪魔する攻撃的なものを除去して、音に含有する音楽成分が削がれるのを最小限にすることが可能になります。
ヴィンテージ時代の真空管アンプリファイアのトーンコントロールがこのように効果を上げるのはレコードプレイヤから送られてくる電気信号(圧縮された暗号文)を開くためにあるのです。こうしたアンプリファイアでは低音を伸ばすためにはBASSのツマミを+ではなく− に回すと効果が出ます。低音域に充満している余分な低域夾雑音を取り除くことにより音の飽和状態が解消され芯のある音楽的低音が現れてくるからです。生理的ともいえるトーンコントロールの目的は音場に蠢く余計な音を取り除いて音場のトーンを整え、音楽的再生音を露わにして本来持つ音の数の多さを明らかにすることにあります。トーンコントロールは独立した部位ではなくシステム全体の音楽表現力の内に組み込まれているのです。BASSやTREBLEを無闇に+に回すと不必要な歪みや夾雑音を増やして音場にモヤが発生して音楽は色あせてしまいます。
当時のアンプリファイアはトーンコントロールをより有効にはたらかせるためにメインアンプの出力を大きくすることを控えました。というより当時のスピーカの能力に適した出力にセットされました。出力が大きくなればなるほど大量のNFBと強いダンピングファクタが要求されます。こうなると音はすべて力任せでコントロールしなければなりません。トーンコントロールはBASSの量感、TREBLEの電気的伸長に頼ることになり自然な音色など得られるべくもなくなってしまうのです。
人の肌に例えると出力が大きいアンプは表面がパンパンに張ってしまう、適度な出力のアンプはみずみずしい肌触りになる。つまりパンパンの音ではトーンコントロールで音の表情は変えられないのです。それで50年代のヴィンテージアンプ(特に英国製)は微妙な音場のトーンを整えるために出力を10W程度に抑えているのです。LEAKのアンプのようなファナティックなトーンコントロールが市場に登場したのも低音高音の量ではなく、音場のトーンを整えて音色や音場の立体感を演出して音楽的再生の面白さを味わってほしかったからでしょう。トーンコントロールは80年代になりアンプのパネルから消えていきます。レコードに刻まれた音が電気的になりディジタルやエレクトリックサウンドの登場により音色とかソノリティという言葉もだんだん使われなくなっていきます。 つづく


この記事にコメントする

名前:
URL:
  情報を記憶: 評価: 顔