2019年02月27日

ローコスト・フォノイコライザとプリメインアンプ その9

アンプにトーンコントロール機能がない、受け手であるスピーカ側に機能を補う可変部位があれば、これを利用しない手はありません。ローコストアンプの試聴テストに使用したVARITONEキャビネットには全面下部に可動式の "PORT" があり、開閉により低音域のコントロールが可能です。P2260034この"PORT"、フルレインジユニットとの併用で効果が上がります。低音部の鳴り方の変化によりユニットの振動全体の音が変化するからです。可変部を持つキャビネットそのものがトーンコントロールの片棒を担いでいるのです。今回の試聴では4つのEQセレクタを持つフォノイコライザEQ12とVARITONE にある "PORT" のおかげでずいぶんとローコストアンプから音の楽しみを引き出すことができました。

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もうひとつ、スピーカには可動するものがあります。それはほとんどのスピーカが持っているものです。スピーカシステムの位置を動かすことです。スピーカの背面からの距離、2本のスピーカの相互間の距離、向き(水平方向だけでなく上下方向にも!)。スピーカの位置に関してはミリ単位でとか、レーザー光線で頭の位置を決めるとかありますが、そんなことしていては音楽を楽しむこころが萎えてしまいます。ローコストアンプの良いところは気軽に思ったより良い音を、いろいろな場所でいろいろな姿勢(寝転んだり本を読みながら)でワインのように楽しめるところです。音楽ってもともとそういうものでななかったでしょうか。ミリ単位もいいでしょう、レーザー光線もいいでしょう。腕を組み、苦虫をつぶしたように目をつぶり、では固まってしまいます。体を揺すってみたい音楽が聴きたければ、まずは先入観(理論)なしに「うれしくなる」ような音を出すスピーカの位置のあたりをつけてください。一目見て堅苦しいとか違和感があるスピーカの位置では音楽は出てきてくれません。流れる音楽を「頭」ではなく「体」で感じながら。スピーカを聞くのではなく、スピーカが気持ちよくドライヴする空気を感じるように。これができれば小出力のアンプとヴィンテージスピーカでトーンコントロールなしでも楽しめるかもしれません。例えば隣の部屋に小さなスピーカを置いて空気が震えて流れてくる。質の高い再生音は隣の部屋がエンクロージャになった感じ。流れてくる小さな音に肌が震えるように感じることができます。この現象は大きなスピーカより小さなスピーカのほうが出やすく、開け放たれた空間で音楽の香りを聞くのはぜいたくなこと。 
つづく


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