2022年12月29日

ピーナツを利く その2

ピーナツは粉末金属を焼結させて無数の浸潤油穴が開いている成型金属ですから、何十年もの期間使用すればシャフトが回転接触研磨され軸受け穴は僅かずつ広がっていきます。レストア作業によりドロドロの油膜をクリーニングして磨きを施すと本来の回転速度・トルク・発熱量に復帰します。ただ軸受け穴が限度を超えて広がっていると回転にブレが生じ、顕著なノイズが発生します。ドロドロな油膜が充填していた隙間を指定粘度のオイルでは埋めきれないからです。こうなるとピーナツは交換しなければなりません。グレイではThorens社製純正部品またはスイスSchopper製をそれぞれの個体に適した方を選んで取り付けます。RIMG0540高速回転と発熱、相当なエネルギーを発生するシャフトを制御するには精度だけでなく耐性も要求されます。これまでの経験からレストアにはファクトリグレイドの品質を保つこの2社製を使用しています。未使用のピーナツを取り付けるには精確と感が求められます。ローターシャフト径とピーナツの穴はモータそれぞれの個体で異なります。それを見極めてピーナツの穴を磨き、取りつけ、シャフトを通し、上下のハウジングを4本のボルトを締めていき、抵抗が一番少なく気持ち良さそうに回転する位置を探ります。未使用のピーナツですから穴にアソビはありません。RIMG0535ピンポイントの一ヶ所を見つけるのです。そこにハマれば、初動電圧は10-20VACです。こうなればしめたもの。慣らし運転に時間をかけて馴染ませれば、精巧で音楽的な回転が得られていきます。聞き取れない程微かなノイズと動いていないかと錯覚する振動から伝わる音楽の宇宙。この喜び勇んで回転するスイートスポットを探り当てない限り、60VACまで電圧を上げても、モータはビクとも動きません。 つづく


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