2023年09月07日

管球モノーラルフォノイコライザ

米Columbia CL1446 sings for two がまっとうな音で鳴りだします。聴き入ってしまう。バリトンなんだ、トニー・ベネットは!蟻地獄に堕ちる真空感、なまなましさ。ビッグバンドとのセッションで声を張り上げたのに疲れて、歌手はこっそりピアノ1台の伴奏で吹き込んだ。RIMG1184これ、再生が難しく、ずっと本当の音ではない気がしていた。やっと腑に落ちる声が聴けるようになった。全盛のトニーが囁くラヴソングのニュアンスのかずかず、アメリカの歌曲集としてドイツ・リートに伍する体を為している。歌詞が楽に聞き取れる。ラルフ・シャロンの粋な伴奏のあしらい、フェリックス・デ・ノベルがアーフィア・ヘイニスのイギリス民謡に添えた草に似て。コロムビアカーヴに耳からウロコをはがされると、オーマンディが膨大に残した6eyes録音を聴き直したくもなる。レストア中のTD124を試聴テストの最中に届いたモノーラルフォノイコライザEQ13の試作品を 繋いで聞くうち、レストアどころではなくなって、レコードをあれこれ引っ張り出して聴き入ってしまうはめに。米Columbia MS6062 Mendelssohn Violin Concerto に針を入れる。RIMG1178京都市役所脇のレコード屋で出会ったステレオ盤にカラフルなボディカラーのピッカリングのステレオ針、当然左右両チャンネルがミックスされてモノーラル再生される、それも2つのスピーカで。中央にガっと音楽が姿を現す。コンデンスト・ミルクとかコーンド・ビーフみたいな濃厚再生音。音色たっぷりのヴァイオリンの素肌、スターンってこんなみずみずしい音を奏でていたんだ。ステレオ再生に較べて際立つ音の消えよう、和音の深い表情、そしてヴァイオリンの立体とボディ。のぼせてしまいそう。RIAAポジションで感じ続けていたモヤモヤが晴れる。そう、音楽に入っている。ステレオ盤をカーヴ合わせて2つのスピーカーでモノーラル再生、邪道ですがオツです。モノーラル1系統1スピーカーで拡がりを持たせた再生ももちろんアリ。さあ、次はグールドのゴールドベルグか、と思ったけれど、仕事にならないので、FMに切り替える。マイルスの6eyes 盤を、パーカーの dial 盤をこのイコライザで再生してみたい・・・。

RIMG1175

とりあえずCOLカーヴのことを書きました。10月も半ばになったら他のカーヴについてもどれだけピッタリはまるか、書いてみます。カーヴはAES/TELDEC/RIAA/HMV/OldRCA/Columbia/FFRR/NABの8種類に適応。LPレコード再生に一番大切な音質が相応しいものに仕上がっているのは真空管式であることが大きく貢献している。ステレオ盤をスピーカ一本で聴きたい人にもうってつけ。真面目にフォノイコライザを製作し続けてきた合研ラボの真貨です。10月末からグレイだけで販売させてもらいます。音質優先吟味した未使用ヴィンテージ管を差して6万円前後を予定。モノーラル、しかも真空管、ドンピシャの8xEQポジション、良いものをこしらえていただきました。

参考までに
ローコスト・フォノイコライザとプリメインアンプ その1
小型で高音質! GREYオリジナルフォノイコとプリメインはいかが。
stereo phono equalizer EQ11 from Sweden
EQ10及び、フォノイコライザーについての考察−1
スウェーデンから届いたフォノイコライザー




この記事へのコメント

2. Posted by グレイ   2023年09月07日 16:50
ホールによって印象とか聞こえ方が違う、いい経験をしたね。人体楽器、サイボーグみたいだけれど、広い会場で聴いてそう感じたんだ。僕はカルテットは床屋の広さで歌うもんだと聞いている。広い会場だとどこか無理が出るんじゃないか?
1. Posted by のらくろ   2023年09月07日 15:16
最近、3日連続で同じカルテット(今年の世界大会2位)のショウを性格の異なるホール3ヶ所で聴きました。人が創る溶けた音の気持ち良さは同じだけど、音場の特性の違いに音の粒立ちや歌詞の解像度に大きな差が出て、これも収穫でした。人体楽器はデッドな会場でPAを使って鳴らすのが一番と個人的には思います。
真空管と全然違う話題でごめんなさい。

この記事にコメントする

名前:
URL:
  情報を記憶: 評価: 顔