2023年10月24日

管球モノーラルフォノイコライザ 2

フォノイコライザEQ13が到着しました。モノーラル真空管2本で出力します。ハイブリッドではなく、真空管式です。モノーラルカートリッヂあるいはステレオカートリッヂをそのまま接続して両チャンネルから同じ信号が出力されます。スピーカ1本でも、両チャンネル2本でも使用できます。
HMVカーヴでレコードを聴きます。真空管式でHMVカーヴに対応するフォノイコライザを寡聞にして僕は知りません。HMVという英国のレコード会社には数種類のイコライザカーブが存在していました。それをひとからげにしてHMVポジションに設定してしまったのがEQ13です。聴いてみます。
フルトヴェングラー指揮ウィーンフィル『ティル・オイレンシュピーゲル』(ALP1208 2N/1G fフラット重量盤)。優れて音楽が噴き出すハイファイ録音です。TD124プレイヤ TANNOY VARI-TWINカートリッヂ Ortofon SMG212 Grey Amplifier Mk.2 Warfedale SFB3 x 2 で再生。まず良い心地です。響きが部屋中に広がります。肌触りの良い管楽器の音色に驚きます。オーボエとクラリネット、バスクラリネットとファゴットそれぞれにある音色表情の違いがらくに聞き取れて、R.シュトラウスがしたかった表現に心が浮き立ちます。弦群の再生音がしなやか、低弦が弦を擦る感じがすっきりと分厚い。各楽器の音が立体になり、ムジークフェラインザールのアク―スティックが愉快でさえあり、音そのものが伸びやかです。おとぎ話を聞く気分です。以上がHMVカーヴ、次にNABカーヴで再生してみます。ずいぶん違います。迫力があり、押しが強い。RIMG1234ただ表面の音が強くて音の芯が心持ち薄い。強奏部でハーモニクスの表情が狂う。低音が強いがふやけ気味、いかにもドイツ音楽然とした再生になっています。僕は断然HMVの方にフルトヴェングラーの音楽に浸れます。ついでに同じ録音のWALP盤も聞いてみました。スゴイ押し出しで、コワモテで、音がツヤツヤして、いかにも鋼鉄のドイツ音楽。ガイガニックな強さを求めるなら、これです。NABカーヴでもHMVカーヴでも、WALPは映画館っぽい迫力です。
次にケンペとウィーンフィルのNIGHTS IN VIENNA の『金と銀』(ASD279 1R)。アマチュア時代から楽しんできた音楽、そう、50年になります、好きになって。RIMG1237レハールを追ってバード・イシュルのヴィラを訪ねてしまったほど、彼は悦楽の音楽家です。聴くたび体が揺れます。BRIT-LPでトーンコントロールを回して本来の音質を探ったのが懐かしい。それがHMVカーヴで蘇ります。また体が揺れます。モノーラルでも、放埒な第3ワルツはよけい揺れます。イコライザカーブの選択はレコード音楽にある本来の表情の選択です。
と、レストア作業をしながらEQ13を聴いた実況でした。
次回はffrrカーヴを聴きます。

EQ13 管球式モノーラルフォノイコライザ 販売
価格は62,000円(消費税別 仏RTC社製12AT7WA / 米GE社製軍用JAN5751いづれも80年代製未使用管)この真空管は8台限定
真空管なしは52,000円です。
お問い合わせは
greythorens@kind.ocn.ne.jp
0479-25−1140

RIMG1225

失われた曲線と禁断の曲線


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