2025年12月19日

フランス盤を聴く カートリッヂ

響きは穏やかで何を告げるともなく流れていく
ヴィヴァルディ作「ラ・ストラヴァガンツァ」ってこんなにみやびだった??
ドイツ人たちの演奏、なのに。
レコード番号DL103 フランスパテプレス、とろけるようであり、さわやかであり、
僕らが思うドイツ演奏家にある先入観、はっきりした輪郭のかたち、起承転結とはかけ離れている
RIMG0753シュトゥットガルトの合奏団、
ソリストはバルヒェット、
なのにみやび?
どこが違うかと言って、楽器をとりまく空気がうすむらさきなのです
ソリストのヴィオロンがチョロチョロとささやいてくる
合奏する人たち、ほぐれてとろけてしまう響きを噴きこぼしている
なんと気持ち良い、清々しく、うっとりしてしまう
ゆうもやのむこう うすむらさきのはなが うかんでいる
「みやこわすれ」という歌の詩のようだ
どんなに手をのばしても届かない音霊が肌をふるわす 
フランスのレコードをフランス国営放送で使用されていた機器で聴いている
あらためて、バルヒェットってこんなに色男だった?
世界中のコンクールでハッタリがまかり通る今日、耳が洗い流される思いがする。
カートリッヂはPierre Clement 社製 L7B Rouge IM 型 針圧5-6g 出力19mv ロングアーム仕様で標準は硬化サファイヤ針を、フランス国営放送では取り付けて1週間おきに交換するのがマニュアルになっていた。今日市場で流通しているのはほとんどBernard氏経由だ。彼の調整の特徴は音溝を追従するコンプライアンスの低さ。だから針飛びやビリツキを伴なう個体が多い。そのかわり芯が太く、透明な本質再生、何より音が洒落ている。こちらで更にダンパー周りを調整してやると滑らかなフランス語で音楽を語り始めるからたまらない。

RIMG0769

30年前、パリのコレクタ仲間たちの家を訪ねると、誰もが赤い筒状のヘンテコリンな姿をしたカートリッヂでレコードをかけている。「これを知らない奴はモグリだ」半年すると馴染みになったオーディオフリークが20個ほど譲ってくれた。税関をくぐり抜け、喜び一杯で帰国したこと、思い出す。以来、フランス盤はこれで聴き続けてきた。
RIMG0771ほおずりしたくなる肌触り、肌理の細かさ、それでいて芯がしっかりして、「かるみ」がある。細身の香水瓶に色ガラスしたたるピアノ、ペンの羽根に透き透る細い白い腺はヴィオロン、フランス音楽特有のelan-感情のほとばしり-がある。 つづく

ピエール・クレマン社製モノーラルカートリッヂ



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