2025年12月22日
フランス盤を聴く トランスプリクションデッキ
Pierre Clement Transcription Deck 30年前に我が家に届き、Grey List を書く際、フランス盤の試聴に使用してきた。あの時代、まだFAXもなかった時代、このデッキで多くのフランスのレコードを品定めできたのは、実に幸運だった。フランスの演奏家といったら、マルセル・メイエルぐらいしか我が国では知られていなかった。もちろんPCなど存在せず、資料らしい資料もなく、先入観なしに聴けたのがうれしかった。フランス文化の一端を担う音楽家たちによるオリジナル盤をアングロサクソンの装置で再生するのは無理な相談だ、とも思い知らされた。芸風が沈んでしまうのだ。ディスコフィル、クラブ・フランセ、シャン・ドゥ・モンド、ロワゾ―リル、ヴェガ、ヴェルサイユ、デュクレテ・トムスンその他数えきれないフランスのオリジナル盤がこのデッキの上で回った。
「これ聴いてみ、きっと何か感じるよ」と意味ありげにレコードを譲ってくれたコレクタの顔が浮かぶ。二コラ、ダニエル、ピ二、アンドレ、ジャン‐マリ、スタニスラス、アレックス、ベシャマン、、、誰も彼もしたたかなコレクタでありオーディオへの見識もなかなかのもの。好みや人柄で親密度が異なったけれど、彼らそれぞれにスルドサがあった。未知の演奏家のレコードがゴロゴロしていた。今日日のようにeBayやWEBサイトなど皆無だった時代、フランス盤の評価や相場を一枚一枚決めていく、スリリングな作業を繰り返していた。
使用したデッキは型番DR-L7 / シリアル1199 / 110/220V仕様 ハンマーライト塗装 ロングアーム、真空管式フォノイコライザ・プリアンプ装備(Turnover4段 / Rolloff 4段 EF86 / ECC83 /EF86 仏RTC社製"PROFESSIONNEL"管)電磁石式クイックスタート機能
クレマンのデッキ、ピアノ再生が独特であり格別である。粒立ちの良さ、一音一音に命を吹き込んで送り出す、その趣きはまさに JEU PARLE (真珠のタッチ) だ。トルアール、ド・ヴァルマレット、フルノー、ファルガローナ、ヴァン・ヴァレンツェン、エマール、ブンダーヴォート、ニージェルスキ、一音に内包する芯と艶、打鍵と響き、そして音色の移ろい。ピアニストたちは転がす真珠に魔法をかける。彼らの微かな「揺らぎ」という隠し技に震えを憶えたのも、このデッキからだった。こうした気品を置く演奏の機微を捉えることを、評論家も愛好家も気付いているのか? 78回転で、盤の真貨はさらに光を帯びる。
この個体で特筆すべきはT氏製作の設置台だ。振動モードを意識した12本のバネ付支柱が底板から立ち、その底板は振動を絶妙にコントロールすべくデザインされている。結果、ランブルに悩まされることなく、モータ内蔵のファンによるシャシ下部の温度管理を効果的にしている。
この設置台のおかげで、偏りのない音質が得られる。フランス盤再生システムにおいては、モータデッキが音質のカギを握っている。それもレストアする技術者の音楽への理解とレコード愛があってこそ。仏Pathe / Columbia /ODEON 等大手を含むほとんどのレコード会社において制式ルファランスシステムとして採用されていたのが仏クレマン社のデッキだったことを付け加えておく。フランス盤をプラッタに乗せる度、微笑みと期待がこみあげてくる。大げさではない。30年間、ビクともしない安定と確実、洒落っ気たっぷりの再生音、T氏曰く「モノかちがう」。そのとおり つづく
この個体をフルレストアしたT氏の解説
Pierre Clement Proffessional Deck
Pierre Clement とヴィンテージ市場
「これ聴いてみ、きっと何か感じるよ」と意味ありげにレコードを譲ってくれたコレクタの顔が浮かぶ。二コラ、ダニエル、ピ二、アンドレ、ジャン‐マリ、スタニスラス、アレックス、ベシャマン、、、誰も彼もしたたかなコレクタでありオーディオへの見識もなかなかのもの。好みや人柄で親密度が異なったけれど、彼らそれぞれにスルドサがあった。未知の演奏家のレコードがゴロゴロしていた。今日日のようにeBayやWEBサイトなど皆無だった時代、フランス盤の評価や相場を一枚一枚決めていく、スリリングな作業を繰り返していた。
使用したデッキは型番DR-L7 / シリアル1199 / 110/220V仕様 ハンマーライト塗装 ロングアーム、真空管式フォノイコライザ・プリアンプ装備(Turnover4段 / Rolloff 4段 EF86 / ECC83 /EF86 仏RTC社製"PROFESSIONNEL"管)電磁石式クイックスタート機能

クレマンのデッキ、ピアノ再生が独特であり格別である。粒立ちの良さ、一音一音に命を吹き込んで送り出す、その趣きはまさに JEU PARLE (真珠のタッチ) だ。トルアール、ド・ヴァルマレット、フルノー、ファルガローナ、ヴァン・ヴァレンツェン、エマール、ブンダーヴォート、ニージェルスキ、一音に内包する芯と艶、打鍵と響き、そして音色の移ろい。ピアニストたちは転がす真珠に魔法をかける。彼らの微かな「揺らぎ」という隠し技に震えを憶えたのも、このデッキからだった。こうした気品を置く演奏の機微を捉えることを、評論家も愛好家も気付いているのか? 78回転で、盤の真貨はさらに光を帯びる。
この個体で特筆すべきはT氏製作の設置台だ。振動モードを意識した12本のバネ付支柱が底板から立ち、その底板は振動を絶妙にコントロールすべくデザインされている。結果、ランブルに悩まされることなく、モータ内蔵のファンによるシャシ下部の温度管理を効果的にしている。
この設置台のおかげで、偏りのない音質が得られる。フランス盤再生システムにおいては、モータデッキが音質のカギを握っている。それもレストアする技術者の音楽への理解とレコード愛があってこそ。仏Pathe / Columbia /ODEON 等大手を含むほとんどのレコード会社において制式ルファランスシステムとして採用されていたのが仏クレマン社のデッキだったことを付け加えておく。フランス盤をプラッタに乗せる度、微笑みと期待がこみあげてくる。大げさではない。30年間、ビクともしない安定と確実、洒落っ気たっぷりの再生音、T氏曰く「モノかちがう」。そのとおり つづくこの個体をフルレストアしたT氏の解説
Pierre Clement Proffessional Deck
Pierre Clement とヴィンテージ市場


