August 23, 2008

先日20日の上野旧奏楽堂でのトウキョウ・ウ゛ィエール・アンサンブルの定期演奏会が終了しました。

弦セクションの固定メンバーに、管楽器の助っ人が加わってくれて、とても楽しい演奏会になりました。

最後のコンチェルトのリハーサルでは、旧奏楽堂のステージやシャンデリアがグラグラ揺れる位の地震がきて皆さん中腰になる場面もありましたが(一瞬ピアノの下に潜ろうかと思った笑)、本番では地震も来ず無事に終える事が出来ました。

ウ゛ィエールのメンバーは、指揮者の石川さんを含み、ほとんどが大学時代からの親しい仲間で構成されていますが、その信頼感が演奏に現れていて共演していてとても楽しく、リハーサルから本番まで心地良く臨めました。

今度は僕も石川さんも大好きな曲、KV595やベートーヴェンも出来たら良いね!と話しましたが、近い日に実現することを願っています。

ご来場の皆さん、石川さん、ウ゛ィエールの皆さん、どうもありがとうございました。


(01:31)

August 10, 2008

962a7448.JPG昨日と一昨日は、二日連続で表参道パウゼへ。
8日は来月からロンドンへ留学する大2の池永夏美ちゃんの演奏会を、9日は西山姉妹のデュオリサイタルを聴きました。

池永夏美ちゃん;
バッハ=ブゾーニやラウ゛ェルのソロの他、オーボエとの共演でプーランクを、そして後半はチャイコフスキーのピアノ協奏曲を…という大プログラムでした。

西山由紀&由香姉妹;
モーツァルト=ブゾーニ:魔笛の序曲、モーツァルト:2台のピアノの為のソナタ、サン=サーンス:死の舞踏、サン=サーンス:動物の謝肉祭、リスト:ドン・ジョバンニの回想・・・というこちらも重量級のプログラム。


どちらも自分で企画しながらの演奏は大変だったと思いますが、とても立派な演奏会でした。
演奏を聴きながら、まだ中学生だった夏美ちゃんと初めて会った時の頃の事や、西山姉妹との出会いや彼女達の目覚しい成長をを思い出したりして…胸が熱くなったりしながら演奏会を楽しみました。

今後も益々充実した勉強を続けて、また成長した演奏を聴かせて欲しいと思います。
是非頑張って下さい。




ところで、まだ少し先の話なのですが…


今月20日に上野の旧奏楽堂でモーツァルトのピアノ協奏曲KV488 イ長調を演奏します。

共演は指揮者の石川和紀さん率いるトウキョウ・ウ゛ィエール・アンサンブル。
日本でも珍しい弦楽器で構成されたアンサンブルで、結成からもう13年目だという。
僕は今までに数回、このオーケストラの定期演奏会を聴いているのだが、美しく温かいサウンドを満喫しつつ、毎回非常に感銘を受け続けていたので、今回の共演はとても楽しみなのです。

真夏の暑い夜ではありますが、モーツァルトの透明感あるサウンドで少しでも涼しくなりませんか(笑)?



トウキョウ・ウ゛ィエール・アンサンブル定期演奏会
2008年8月20日
午後18:00開場・18:30開演
上野旧奏楽堂


オールモーツァルトプログラム;
ディベルティメントKV136 D-Dur
ピアノ協奏曲KV488 A-Dur
交響曲第40番KV550 g-moll


(21:54)

July 04, 2008

e8cf51e9.JPG7月2日にサントリーホールで僕が所属するコンサート・イマジンのアーティスト達が大集合した七夕ガラコンサートが開催された。
僕は、『名曲巌流島』以来共演させて頂いている山田武彦さんとの2台ピアノ、それにフルートの山形由美さん、ウ゛ァイオリンの磯絵里子さんを加えての共演、そしてソロで「エリーゼのために」を演奏しました。
超満員の熱気溢れるサントリーホールでの演奏はとても楽しく嬉しかったです。

2008.07.02 PM18:30開演

サントリーホール/大ホール

音楽監督;山田武彦
司会;ダニエル・カール
山形由美

出演;山田武彦(Pf.編曲)
   干野宜大(Pf.)
岡田将(Pf.)
山本貴志(Pf.)
辻井伸行(Pf.)
河合優子(Pf.)
山形由美(Fl.)
奥村愛(Vn.)
磯絵里子(Vn.)
水谷川優子(Vc.)
竹松舞(Hrp.)
須川展也(Sax)
加藤昌則(作曲、Pf.)
ヴェネツィア室内合奏団 他

主催&問い合わせ;コンサート・イマジン


総勢30組のアーティストが出演し、公演時間は3時間にも及びました。
これだけ沢山のアーティスト同士が集い、お話する機会は普段ないので、ステージはもちろんのこと、舞台裏がとても楽しかった!

出演者達は終始和やかくつろぎムードでひたすらお喋り。
音楽家同士ですから、音楽の話題はもちろんのこと、在住の国やそれぞれが留学した国の話や言語の話など、次の出番をうっかり忘れそうになり普段着に着替えちゃった人もいたくらい(笑)。ゴメン、O君!

ショパンの研究を長くやっていらっしゃる河合さんのお話を聞けたのは収穫でした。
ショパンがいかに装飾音について自由に考えていたのか…などなど改めて勉強になりました。


来年の七夕コンサートは7月7日に予定されているそう。
年に一回のコンサート・イマジン祭典。今からとても楽しみです。


※写真はコンサート終演後の打ち上げでの一枚。
チェリストの水谷川優子さんが送って下さったものです。
どうもありがとうございました!


(22:59)

June 30, 2008

dad52dca.jpg途中からだったが、ロマン・ポランスキー監督の『戦場のピアニスト』を久し振りに観た。

シュピルマンという実在のユダヤ系ポーランド人ピアニストの体験を映画化したものだ。

スピールバーグ監督の『シンドラーのリスト』が公開された時と同様に、ナチスの残した悲惨な傷痕を描き切れていないと批判された事を思い出した。

でも、人類が決して忘れてはならないこのナチスの悪行を、たった二時間そこそこの映画で語り尽くす事は所詮無理というものだ。

映画を観ながら、演奏旅行の合間に立ち寄ったポーランドのオフィチエンチェムの記憶が鮮明に蘇った。

オシフィェンチム=通称アウシュウ゛ィッツのこと。
ヒットラーが率いるナチスがユダヤ人やスラブ系民族、身体障害者などの人々の大量虐殺を行う為に建設した収容所。
忌まわしい歴史的過去を忘れてしまわないようにと、現在もその生々しい姿を残している。

大量虐殺が機械的に行われたガス室や銃殺での処刑所、頭髪や義手義足、鞄や靴を集めた部屋や遺体から採取した脂で作った石鹸…。
全てがあまりに残酷極まりなく、身体に戦慄が走った。


『シンドラーのリスト』で忘れられないシーンがある。
映画全体はモノクロで撮影されているのだが、ナチスの軍人に追われ逃亡する人々の中に、まだよちよち歩きの女の子がいたのだが、その子の履いていた靴だけが赤く色がつけられていたのだ。
カメラはただ淡々とその赤い靴を撮り続けるだけなのだが、不思議な事にそのシーンが強烈に心に残ったのだ。
スピールバーグ監督の何らかのメッセージだという事ははっきり感じたのだが、それが具体的に何を表していたのかまでは僕には解らなかった。

オシフィェンチムの靴の部屋に入り、大量に積み上げられた靴を見た次の瞬間に僕は息を飲んでしばらく動けなくなった。
ほぼ真ん中に、小さな小さな赤い靴があった。
特別鮮やかな色だったわけでも、変わったデザインだったわけでもないのに、僕の目はその靴に吸い寄せられた。

理不尽な戦争や虐殺に翻弄された人々の悲しみや叫びが、この小さな赤い靴に集約されているかのような気がした。

きっとスピールバーグ監督もこの赤い靴に全てを感じたのではないか。

僕は勝手にそう確信している。


(23:05)
21日は先日紹介したジュニア国際コンクールの予選最終日だった。

前回も車で会場まで行ったが晴天のせいかディズニーランド組が多数発生し、高速を使って一時間程のはずが予想通り浦和の辺りで大渋滞で約3時間も掛かってしまった。

その教訓から、昨日も用心して朝早く出たら雨のためか道路はガラ空き。
ナント50分で美浜に着いてしまった。これは大誤算!

「審査に備えてもっとゆっくり寝てから出るべきだったぁ!」と後悔しつつも、遅刻するよりはずっとマシだよねぇ、と自分を慰めしばらくドトールで好物のミラノサンドイッチを食しながらコーヒーをすする。


やっと集合時間になり会場に戻ると、A部門を控えた小さい子達がホールのピアノでリハーサル中。

審査員控え室のモニターで観ていると、それぞれ先生が横についていて、アドバイスをしている。
そのまま先生が熱くなってきてレッスンが始まったりしてなかなか面白かった。
リハーサルの持ち時間は一人5〜6分。
子供達にとって本番直前の6分間はなかなか長い。
普段とは異なるホールの響きと、緊張や高揚感も作用して、素晴らしい成長をこの瀬戸際の瞬間に遂げる事だって考えられる。先生も、生徒さんが本番で少しでも良い演奏をして欲しいから、自然と熱が入るのだろう。
中には同じパッセージを何度も繰り返し弾かせられて疲れてしまう子もいて、心配になったりもした。

コンクールは棄権者もなく、予定通り進んだ。先週と同じように、皆さん伸び伸びと楽しそうに演奏してくれた。

D部門に参加したある生徒さんがコンクールの後でおしえてくれたのだが、リハーサルの時からとにかくコンクールの雰囲気がとても温かく、スタッフの方々もすごく優しくとてもリラックスしてステージに臨めたのだという。
参加者が集う控え室も終始和やかで、とても居心地が良かったのだというのだ。

これも主催者やスタッフの「皆が評価され、気持ち良く演奏出来るコンクール、音楽をもっと好きになるきっかけになるコンクールを作ろう」という願いや愛情が込められているからこその空気なのだろう。


次はいよいよ本選だ。8月30〜31日の二日間に渡り開催される。ピアノ、ウ゛ァイオリン部門からそれぞれニューヨークのカーネギーホールでの演奏者が選ばれる事になる。

また彼らの伸び伸びと演奏を心から楽しんでいる姿を見られるのがとても楽しみである。


(22:57)

June 15, 2008

1c5af028.JPG昨日14日は国際コンクールの審査で千葉市の美浜まで行ってきた。

14歳までの、出来るだけ沢山の音楽家の卵達に、綺麗なホールで、美しい音色を持った楽器で演奏してもらい、そして本番までの努力を評価してもらう喜びを知ってもらいたい、という願いが込められた今回第一回目の開催。

「批判される」のではなくて「評価される」のが、このコンクールの大きなコンセプトなのだ。


ピアノ部門だけで100名近くの申し込みがあり、予選も三日間に分けられて開催されている。

ウ゛ァイオリンと部門が分かれていて、ピアノ部門と同じように申し込みが殺到していると聞く。

アメリカでも同時に予選が開催されており、最優秀者はカーネギーホールでリサイタルする権利を与えられる。


ピアノ部門の審査は午前11:20からとゆっくりめ。
これは、参加者一人一人に6分のリハーサル時間が与えられる為で、数多くある国際コンクールでは珍しい親切さ!である。

そのお陰か、参加者は皆伸び伸びと落ち着いて演奏出来たのではないかと感じた。

審査員は音楽評論家の百瀬さんを中心に演奏家や音大関係者で構成されており、アカデミックな視点ではなく、アーティストを育てていきたいというこのコンクールの主旨を感じさせる。
だから、他のコンクールの審査とはまた違い、いい意味で和やかで温かい空気が会場にも審査員室にも終止漂っていた。

来週21日には再び三日目の予選が行われ、10月の本選への出場者を選ぶ事になる。


まだ補助ペダルが必要な小さな身体でリストやプロコフィエフの難曲をノーミスで弾ききってしまう子がいたり、明らかに楽しみの為にピアノを弾いていて喜びに溢れた古典のソナチネを懸命に弾く子がいたり…。

とても楽しく演奏を聴くことが出来たのは、このコンクールの持つ温かさならではなのかもしれない。


早くも来年の第二回に向けて準備が始められていると聞く。
音楽人口の増加とクラシック分野の大きな発展の為にも、更なる飛躍と充実を心から願っています。


(10:43)
9a2feee2.jpg…でした。


演奏家としてだけではなく、芸術家として人間として、数年前より確実にグレードアップしていらっしゃいました。
本当に本当に素晴らしかった…エリックさん。


一時期は満足にピアノを弾けない位に肩と背中を痛めて、決まっていた演奏会を全てキャンセルしてブダペストの僕の家に泊まって、毎日温泉治療をしていたエリックさんを、、、

そして数日後に、そのかいあって「体が軽くなり痛みも治まった!僕はもう弾けるよ!」と大喜びして、僕が必死で止めるのも聞かずベートーウ゛ェンのソナタを何曲も通したあげく(素晴らしくて感動したけど笑)「もっと痛くなっちゃった」と落ち込んでいたエリックさんを、、、(これでブダペスト滞在の予定が数日延びた。)

コルトーが亡くなる直前に、最後にレッスンしてもらったというフォーレの変奏曲を聴いてもらっている時に、「僕がコルトーから伝えてもらった宝物のようなアドバイスを今、君に受け渡したよ。」と涙を流しながら僕の手を握ってくれたまましばらく離さなかったエリックさんを…

数え切れないエリックさんとの思い出が蘇ってきました。

(ああ、この人は本当に沢山悲しい思いや苦しさを経験しながら、本当の優しさや温かさを身につけてきたのだなぁ)
彼の音楽と音を聴きながらそう思いました。

僕はエリックさんに出会い、彼から沢山の事柄を学んだことによって、後輩達に伝えていく大切さを知りました。
だから、僕が一緒に勉強している生徒さん達がエリックさんを聴きに行ってくれて、彼の音楽や音楽的な技術や音色、それから何より温かくてチャーミングな人間性に触れてくれた事がとても嬉しかったです。

昨夜のリサイタルは、僕にとって忘れられない時間になると思います。


そうそう、6つのバガテルは僕が初めてパリのハイドシェックさんの御自宅でレッスンしてもらった曲でした。
もちろん素晴らしいアドバイスを沢山してもらったのですが、、、
昨日聴いて判った。
とっておきの事は言わなかったとわかりました。くっそぉ(笑)


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(10:39)

June 03, 2008

4490b1b6.jpgスイスのルガーノを本拠地に活躍する指揮者のマエストロ・リヒャルト・シューマッハ。

指揮者としてだけではなく、マスタープレーヤーズ国際コンクールを主催する他、音楽祭も開催するなど多忙なマエストロである。

ハンガリーに留学中、ある国際コンクールに優勝したご褒美に彼の音楽祭に招かれベートーヴェンの「皇帝」をマエストロと共演した。

開催地はポーランド。共演は地元のオーケストラ。
リハーサル時に出てくる彼らの音はピッチもバラけていてお世辞にも良いオーケストラとは思えず、僕もマエストロもかなりがっかり。

それでもマエストロはにこやかに温かく、彼らに的確に音楽的な指示をしていく。
その姿はオーケストラだけではなくソリストにもある種の安心感を与えてくれ、さすがマエストロ・シューマッハ!と感心しながら見ていた。

しかし、一楽章のオーケストラの間奏のあるフレーズに差しかかった時のこと、どうしてもマエストロの要求をオーケストラが音にする事が出来ない。

「ノー!タァ〜リララ〜!はいもう一度ぉ!」とマエストロは声を張り上げ根気強く、何度も試すのだがうまくいかない。

オーケストラもマエストロのこだわる意図を理解出来ないらしく、少し白けムードが漂い始め、ちょっと嫌ぁな空気になりかけていた。
コサートマスターも首をコキコキさせたり、他の団員さんもため息をつき始めたり…

「うーん、これはなかなかヤバいんではないかい?コラッジョ(頑張って)!マエストロ!」と僕も祈り始めていた。


すると、マエストロはハタと指揮棒を置き、しばらくジィッと動かなくなってしまった。

「ん?マエストロ、切れた(汗)!?」

一瞬僕も不安になった。

オーケストラの団員さんも出かけたあくびを慌ててかみ殺しマエストロを見守る。

しばらくの沈黙の後にマエストロは威厳のある低い声で言った。

「カラヤンはこの部分をこう演奏したのだ。タァリララ〜!」

そして再び指揮棒を手に取り「さぁ、もう一度!」

するとどうだ!
あんなに出来なかったマエストロの要求を、彼らは嘘のように解決していたのだ。

「そう!その通り!素晴らしい!」
顔を真っ赤にして高揚するマエストロ。

オーケストラも満足そう。拍手まで起こってしまった。
僕もマエストロに拍手。

最初はこちらを見て嬉しそうにしていたマエストロ。
ふと悲しそうに言った。

「カラヤンは信じても、ボクのこと、みんな信じていないんだね…。」

このリハーサル終了後、マエストロにビールを一杯奢った。




※写真はマエストロ・R.シューマッハと


(00:49)
8f53db27.jpg僕の尊敬する師でもあり大切な友人のエリック・ハイドシェックさん。
今は同じ事務所に所属する先輩アーティストでもある。

来月、サントリーホール大ホールでオールベートーヴェンのリサイタルを開催する。初来日からなんと40周年なんだそう。

なので、久しぶりに電話で話した。

「アロー!タッカー(僕のこと)!今ちょうど君の事を思っていたんだ(多分ウソ)!」と相変わらずのハイテンション。

今度の東京でのリサイタルの他、パリでもリサイタルや録音を控えていて大忙しなんだそう。

15分くらい細かく自分の予定や取り組んでいる新しいレパートリーなどについて機関銃のようにまくしたてられたが、ふとさすがに自分の話が続き悪いと思ったらしく、

「タッカの最近のニュースや予定を聞かせて。」とおっしゃる。
やっと僕も近況を話し始める…や否や、
ハ「あのね、僕の今度の東京リサイタルのプログラムなんだけどさ!」

ほ「…あ、ハイハイ?何ですか?」

ハ「すっごい充実してんのよ♪♪♪♪♪(バガテルを歌い出す。)」

ほ「……(しょうがないからしばらく聴く)」

ハ「ハハハ!昔、君のバガテルをレッスンしたよね。今度のバガテルは君の為に弾くよ(多分ノリで言ってる)♪」

ほ「ハハハ…サンキュー…」

ハ「そいでさ、君の予定を聞かせてくれるかな?」

ほ「だからぁ(心の中で)、、、○月にコンチェルトで△月に…」

ハ「ん?コンチェルトは何弾くの?」

ほ「何回かあるんですけど、○月はモーツァルトのKV488…」

ハ「♪♪♪♪♪(おもむろに第一主題歌い出す)」

ほ「…(しばらく聴く)」

ハ「♪♪♪♪♪(第三楽章主題も歌い出す)」

ほ「……(しばらく聴くが、何となく気を使って一緒に歌ってみる)♪♪♪…」

ハ「ハハハハハ!それで?」

ほ「…(絶句)!!」



てな感じで常に一進一退の攻防(笑)
噛み合わねーっ!!


急に「6月に会おう!バイバイタッカ!愛してるよー!」 ガチャーン(非常に腕力の強いマエストロが電話を切る音)!!ツーっツーっツーっ……



相変わらずの強烈なマイペースぶりだった。
きっとますます元気に魅力的な演奏を聴かせ続けてくれるだろう。


僕も愛してるぜ!
チャーミングエリックよ!


(00:41)

May 25, 2008

d182e943.jpgふと気が向いて、今までにレパートリーにしたピアノとオーケストラの為の作品をパラパラ弾いていた。

曲ごとに、勉強していた頃の事や共演した指揮者の顔やオーケストラの響きなど色々思い出す。
その記憶が結構鮮明で面白いものです。

ベートーヴェンの一番のピアノコンチェルトは、僕が海外のオーケストラと共演した初めての曲で、特別に思い出深く大好きな作品。

カデンツァを弾いていて思い出された、今でも吹き出しそうになる話がある。

それはあるコンサートの為の指揮者との打ち合わせでの事。

イタリア系の非常に濃い顔のマエストロが隣りに座り、一楽章から確認していく。テンポ設定やトゥッティの合流するタイミングなどなど。

そして、問題のカデンツァがやってきた。
若く野心溢れるベートーヴェンは、一楽章の為に3つのカデンツァを作曲している。
コンサートのサイズや客層やお国柄によって、毎回違うカデンツァを弾くようにしていたのだが、この時僕はエネルギッシュで壮大な、それでいてユーモアに溢れた3つ目のカデンツァを用意していた。

「あのー、結構長いんですけど、省略しますか?」

「いや、キミのミュージックソウルを感じたい。全部弾いてみたまえ!アッローラ、プレーゴ(さあ、どうぞ)!」

「じゃ、弾いちゃいますよ?」

「プレーゴ!」

そんな訳でこの華麗で壮大なカデンツァを弾き始めた僕。

しばらく弾きながら、ふとマエストロの顔を見ると…

あれ?なんか浮かない顔をしているような…?しかもみるみる険しい表情に。

もしかして、超不機嫌(汗)!?
みるみる真っ赤な顔で不快感をあらわにするマエストロ。
おもむろに、片手を上げて演奏をストップしろという。

「な、何か?」

しばらく僕の目をジッと見てから憤りを押し殺すように低い声でマエストロは言ったのだ。

「イズ ディス ユア カデンツァ?トゥーロング!ベーリーベーリーロング!(怒)」

(゜□゜)(汗)「ノ、ノー!イッツ ノット マイ カデンツァ!ベートーヴェン コンポーズド ディス カデンツァ(必死)!」


その瞬間、マエストロは驚きのあまり目をまん丸にして再び僕を凝視してしばらく黙った。
そして、次の瞬間急に笑顔になったと思ったら

「あ、そうなの?それならO.K!モルトベネ!続き弾いてくれる?」

「…ギャボ〜ン<(_ _)>;!!」


かくしてこのマエストロ、本番ではこのカデンツァの途中で何度もオーケストラをスタートさせそうになり、その度に僕は必死に「まだダメ」光線をオーケストラのメンバー達に送りながら弾かなければいけなかったのだった。


(09:44)