2010年07月17日
外山安樹子Trio Live @ Soft wind

外山安樹子:Piano

関口宗之:Bass

秋葉正樹:Drums
進化する、ピアノトリオ。
3連休初日の夜は、六本木のライブハウス Soft windで、お気に入りのピアニスト 外山安樹子さんのライブ。彼女のトリオのライブを生で見るのは今回が3回目だけれど、回を重ねる毎にどんどん内容が素晴らしくなってきていると感じる。
それが最もよく伝わってきたのが、オープニングで演奏された彼女の代表曲、”Spring lake”。各自のソロの内容も、バンドとして纏まりも、何度も演奏を繰り返し磨き抜かれていって、更に一段高みに上がった印象だ。アルバムでの演奏も素晴らしいのだけれど、やはりライブで聴く演奏は別格。
ファーストアルバムからの哀愁漂うマイナーチューン”Befor dawn”、09年の誕生日に作られたというバラードを挟んで聴こえてきたのは、スウェーデンの名ピアニストLars Jansonの”The man with the cucumber”。外山さんのスタイルには絶対Larsが似合うと思っていたので、イントロの特徴的なリフを聞いた瞬間に思わず歓喜!予想通り、と言うかそれ以上の素晴らしい演奏だった。国内でLarsのスタイルをこれだけハマって演やれるピアニストはそうはいないだろう。
その後に演奏されたハーモニカのToots Thielemansによる美しいワルツ、”Bluesette”も、流麗な楽曲の雰囲気を見事に演じきっていて素敵だった。1stセットは、オリジナル“Quiet storm”で幕。
暫しの休憩を挟んで、2ndセットへ。オープニングは5月の東北ツアーの際、新潟から秋田へ向かう車での旅を思い描いて作られたという、名前のまだない新曲。僕の中では「初夏、海岸線にて」という言葉が浮かんできた。西日の煌く海を見ながら、ゆったりと車を走らせる。窓から入り込む爽やかな風。そんな風景を詩情豊かに歌い上げた美しい曲だ。
続くのはアルバムからの“Miff’s walk”、”Calm days”。そしてこのセットのヤマに持ってきたのは、スタンダード”On green dolphin street”。定番の楽曲をスピード感溢れるスリリングな演奏で見事に聴かせた。そしてセットのエンディングはオリジナルの”White snow samba”。この曲も外山さんのライブではお馴染み。突き抜ける爽快感がたまらない一曲だ。
そして圧巻だったのが、アンコールの”Bye Bye Blackbird”。バラードで始まり、途中から4ビートになり、そして更に倍転。目まぐるしくリズムが変わるトリッキーな構成だ。スリリングな演奏だったが、3人の息の合い方は絶妙で物凄く楽しめた。これこそJAZZの醍醐味。
見る度に進化を続けている外山安樹子trio。国内のミュージシャンでは、間違いなく屈指の存在と言える。お近くで見る機会があるならば、是非足を運ばれることをオススメしたい。
2010年04月22日
外山安樹子(p) Live at 新宿J

時計を見ると、もう20時近く。すっかり遅くなってしまった。降りしきる雨の中、新宿厚生年金会館に近いライブハウスJを目指す。1stセットはもう聴けないかな・・・。
ようやく店の前まで辿り着く。狭い階段を一段下りる度、グルーヴィーな"Take five"のテーマの音が少しずつ大きくなってくる。ああ、この曲は是非聴きたかったのに!
結局店に入ったのは1stセット最後の曲が始まった時だった。春を想って作ったと言うまだ名前のない曲。"巡りゆく季節"を想わせる様な躍動的で美しい曲だった。
少しの休憩を挟んで、2ndセットは外山さんの代表曲"Springlake"で幕を開ける。この曲は何度聴いても本当に素晴らしい。その後スタンダードの"Love letters"、"I love you"が続く。外山さんのスタンダードへのアプローチが聴けるのも、ライブならではの楽しみだ。そして再びオリジナルへ戻って"Standing alone"、"White snow samba"で2ndセットは終焉。"White〜"の突き抜けた爽快感は何時聴いても良いなぁ♪
3rdセットは新曲"Next step"から。次の扉が開き、その向こうに広がる広大な新世界を想わせる様な曲。外山さんは本当に、曲の後ろに風景や物語を描くのが上手いピアニストだ。スタンダード、"How high the moon"を挟み、続くのはアルバムでも評判の良かったフリーインプロヴィゼーションの"星合"。毎回違った表情を見せるスリリングな楽曲だが、常に美しさとリリシズムを失わない点が素晴らしいと思う。4曲目はクラシックの現代音楽から、"パヴァーヌ"。マイナー調の美しい楽曲だ。そしてクロージングはアルバムから、瑞々しく前向きな一曲"From the beginning"。
2セットだったけれど、外山さんの世界を余すところなく堪能することができた。来月には東北ツアーを控えているとのこと。是非あちらでも素晴らしい演奏でファンを魅了してきてもらいたい。
2010年03月22日
Moving scenes / 堀秀彰(p)

以前、ベーシストの安カ川大樹率いるビッグバンド、Far East Jazz Ensemble(FEJE)のライブを見に行った時のこと。日本を代表するようなJAZZミュージシャン達が揃ったメンバーの中、ひときわ輝く演奏で圧倒的な存在感を示すプレイヤーと出会った。このバンドで作曲、アレンジ、ソリストと八面六臂の大活躍を見せたピアニスト、堀秀彰である。
78年生まれ。井上陽介(b)、大坂昌彦(ds)、鈴木良雄(b)、原朋直(tp)など、日本の大物JAZZミュージシャンとの競演をはじめとして、Dreams Come TrueやParisMatchなど、ポップス系のトップアーティストのツアーサポートなどでも活躍する、若手の実力派。硬質で端正なピアノのタッチに加え、スピード感を伴ったタイトなリズムワークが生み出すクールながら熱い演奏が非常に魅力的なピアニストだ。
本作は06年にリリースされた、堀秀彰のセカンドアルバム。FEJEでも演奏されたトリッキーなリズムと構成が印象的な堀の代表曲1.Stop and goに始まり、メロディアスで流麗な 2.ゆきのかけら と、前半から素晴らしいオリジナル曲が続く。スケールの大きなワルツの大曲 3.Rage 、映画音楽の 5.Pure imagination も非常に美しい。
後半ではテナーSAXのベテランの山口真文をゲストに迎えた 8.Song for Mabumi が見事。ショーター系のクールな演奏が持ち味の山口の個性を見事に活かし切ったプロデュース力は賞賛に値する。同じく山口をゲストに迎えた 9.Shade of summer でアルバムは終焉へ。寂寥感を湛えたメロディーが最後を見事に彩る。
次世代を担う、才気溢れるピアニストの登場を強く印象付けた一枚である。
堀秀彰公式サイトにライブ音源多数あります。
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2010年03月13日
All is in the sky / 外山安樹子 (p)

アルバム冒頭のワンフレーズが鳴った瞬間、周りの空気が澄み渡った。続けて溢れ出る、詩情と歌心。素晴らしいピアニストとの出会いの予感は、曲が進むにつれ徐々に確信へと変わっていった。
北海道出身で、現在は関東を中心に活動している外山安樹子さん。本作"All is in the sky"で初めて耳にしたピアニストだったが、その素晴らしい演奏内容に一瞬にして心を奪われた。
女性らしい繊細さと、芯に感じられる力強さ。そして聴く者の琴線に触れる、リリカルで美しいフレーズを絶え間なく生み出す感性。これまで何人もの優れた日本人ピアニストの演奏を聴いてきたけれど、彼女の演奏は間違いなくその上位に位置付けられるだろう。
本当に印象的だった、オープニングの 1.Springlake。新しい命の芽吹きや水面に煌く光。そんな風景がありありと目に浮かんでくる名曲だ。ニューヨークをマイペースに闊歩するミッフィーを思い描いた 2.Miff's walkは、ミディアムスィングの愛らしい一曲。4beatが比較的少なめで、メロディアスな演奏が印象的な外山さんのスタイルは北欧系のピアノトリオを思わせるところも多いが、この曲や唯一のスタンダード 9.Bye bye black bird はJAZZYな演奏にも高いレベルで対応できることを示している。
孤独な気持ちや不安をテーマにした 3.Standing alone や 10.Quiet storm では、揺れ動く心情をマイナー調の美しいフレーズにのせ歌い上げる。躍動感溢れる 5.White snow samba、アップテンポの7. From the beginning での流れに乗り切ったプレイも突き抜けた感があり、素直に心地良い。そして、優しく温かみのある 8. Bourgeons や エンディングの11.Calm days 。この辺りはまさに外山さんの演奏の真骨頂と言えるだろう。
サイドに入った関口宗之氏の良く歌うベースや、秋葉正樹氏の安定感のあるドラムのサポートも素晴らしく、何度も聴き返したくなる内容である。
音楽として美しいだけではなくて、演奏の後ろに物語性や世界観を感じられる、深みのある作品。僕の敬愛する作家、池澤夏樹氏の小説の一節から取ったタイトルも印象深く、僕にとっては本当に大切な一枚となった。
YPMレーベルのHPにて全曲試聴できます。
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2010年03月07日
Swedish lullaby / Sidsel Storm (vo)

「あれっ?この曲は・・・」
店内で流れていたメロディーに思わず反応する。聴こえてきたのはLars Janssonの"Marionette"。しかもヴォーカル付き。伸びやかで表現力豊かな歌声が、Larsの美しい旋律を見事に歌い上げていた。
声の主はデンマークのヴォーカリスト、Sidsel Storm(シゼル・ストーム)。08年のデビュー作が好評を博した、若手の逸材だと言う。そしてクレジットを見れば、ピアノはLarsご本人。これは当たりと確信し、迷わずお買い上げ決定。
家で全曲じっくりと聴いてみたら、更に嬉しい要素が続々と出てきた。Sidselのヴォーカルは少しハスキーな雰囲気と現代的でポップな側面を併せ持っていて、JAZZの枠にとらわれず楽しめる。滅多に聴くことのできないLarsの歌判も歌に寄り添うよう、絶妙な間合いで音を空間に音を配してゆく。しかもソロも結構長く取られていて、彼のピアノも十分に堪能できる。
アルバム中Larsの楽曲は3曲。全曲オリジナルから曲名が変わっているため、実際に聴かなければ分からないだろう。3.Within A Lifetime が先述の"Marionette"、6.Hazy mindは"More human"、9.Secret game が"Latour"。原曲との比較も楽しい。
ヴォーカルもののアルバムとしても大当たりの完成度だし、Larsファンにも是非オススメしたい、嬉しい一枚。
【member】
Sidsel Storm - Vocal
Lars Jansson ? Piano, Rhodes
Morten Lund ? Drums
Jesper Thorn - Doublebass
Gunnar Halle ? Trumpet
Alexander Kraglund ? Violin/Harmonica
Carl-Oscar Østerlind - Cello
Peter Otto ? Hammond Organ
【曲目リスト】
1. SWEDISH LULLABY
2. THE DAY HE RETURNED
3. WITHIN A LIFETIME
4. ALL OR NOTHING AT ALL
5. STOLEN YEARS
6. HAZY MIND
7. EMILY
8. DON'T TURN THE LIGHTS OUT
9. SECRET GAME
10. PLAYING MY HEART
i-tunesでの試聴はこちら
My spaceはこちら
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2010年02月13日
Swallow songs / Steve Swallow(b) & BOHUSLÄN BIG BAND

ベーシスト、Steve Swallow。彼の紡ぐ、切なく神秘的で美しい楽曲が好きだ。Chick Corea(p)とGary Burton(vib)が好んで取り上げた"Falling grace"、多くのピアニストに愛されスタンダード化している"Ladies in Mercedes"なども彼の手による優れた楽曲。連綿と、どこまでも続いていきそうな、深みと優美さを湛えたメロディーラインは、いつの時代も聴く者の心を捉え続ける。
そんな素晴らしいSwallowの楽曲たちを、北欧の名門 Bohuslan Big Band(BBB)が見事なアレンジで彩った作品が、本作"Swallow song"である。
オープニングはBBB自慢の柔らかなホーンアンサンブルに、Swallow本人の歌心溢れるベースソロを乗せたバラード1.Away。Swallow独自の、ピックを用いた柔らかいエレクトリックベースの音色が、管楽器の音に見事に溶け込む。
一番の聴き所は、低音を効かせたアレンジが秀逸な5.Eiderdown。ハードボイルドな楽曲の中を、バストロンボーンとバリトンSAX縦横無尽に駆け巡る爽快感が堪らない。
後半のポップな楽曲7.Bellsなどは、延々と循環していく心地良さがいかにもSwallowの曲といった感じ。僕の大好きなテナー、Ove Ingemarssonのソロも秀逸。
エンディングは9.Playing in traffic。段々曲の全体像が壊れてきて、最後は全員の掛け声とクラッシュの効果音で唐突に終わる。なかなか楽しい演出だ。
Swallowの楽曲の素晴らしさとBBBのアレンジ、演奏能力の高さ。これらが見事に溶け合った素晴らしい作品。Swallowファン、ビッグバンドファン、さまざまな層の方々にオススメできる一枚だ。
HMVで購入できます。→ Swallow songs / Steve Swallow(b) & BOHUSLÄN BIG BAND
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2009年11月21日
八木ブラザーズ Live@Little giant
あれ、こんな所にライブハウスあったっけ?
お世話になっているJAZZ blog "My secret room"のライブ告知を思わず見直す。僕の自宅から自転車で10分程、住宅街の真ん中に、結構本格的なJAZZのライブハウスがあるようだ。店の名前は"Little giant"。全然知らなかった。Johnny Griffin好きのビルのオーナーが半分趣味でやられている店らしい。実際に訪れてみると内装も音響もなかなか素晴らしく、素敵なお店だ。
そこで"My secret room"の管理人すずっくさんが応援されているアマチュアバンド、八木ブラザーズのライブがあるという。以前から記事を拝見して気になっていたバンドだったので、これは!と思いライブに参戦させて頂いた。
何とすずっくさんも新潟から応援にいらした上、JAZZ blog界の重鎮"ジャズCDの個人ページ"の工藤さんまで参加。数年来blogで交流があった皆様にもご面会することができ、貴重な時間を過ごすことができた。初対面なのにマニアックすぎる会話がスラスラ通じるところが楽しい。
20時、いよいよライブがスタート。
<メンバー>
八木"長男"暢之(flh) 八木"次男"敬之(ts) 八木"三男"義之(vtb) 細木久美(p) 大村光広(b) 西尾研一(ds)
今回のライブは80〜90年代に活躍し、Brecker Brothersとも親交が深いことで知られるピアニスト、Don Grolnickの作品を中心に取り上げたステージ。彼の楽曲はかなり深くて重いものが多いのだけれど、三兄弟の息の合ったフロント三管がキッチリアレンジされた、結構仕掛けの多い楽曲を見事に吹きこなしていた。
Grolnick以外だとRandy Breckerのbigbandでの演奏が印象深い"Freefall"、三管メッセンジャーズ時代の名盤、"Free for all"からの名曲、"The core"あたりが個人的には非常にツボだった。特に"The core"でのts敬之氏のちょっとショーターの入ったソロは圧巻だった。
各人セミプロ並みの実力がある方々ばかりで、かなり演奏を楽しむことができた。ご紹介頂いたすずっく様には感謝です。
次回も東京で演奏があるようなら、是非是非お邪魔させて頂きたい。
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2009年10月11日
横浜JAZZプロムナード2009 2日目

新澤健一郎(p,syn) 音川英二(sax) 鳥越啓介(b) 岩瀬立飛(ds,voice) ヤヒロトモヒロ(perc)
2日目のオープニングはお気に入りのピアニスト、新澤健一郎氏がリーダーを務めるNervio。
アコースティックなコンテンポラリーサウンドにワールドミュージックの味付けが心地よい。音川氏の存在感のあるSax、ヤヒロ氏と竜飛氏の圧倒的なリズムの渦に飲まれっぱなしの1時間。1ステージ目からテンションが上がる。

宮之上貴昭(g) 吉岡秀晃(p) 稲垣護(b) 田村陽介(ds) 大井貴司(vib) Guest:Nica(vo)
JAZZギターの重鎮、宮之上貴昭氏。完成度の高い演奏に惹かれ、プロムナードでは毎年のように足を運んでしまう。
今年はビブラフォンの氏を迎えたクインテットで、Wesの名盤 "Bugs meets Wes"を意識した構成。バップを基調とした楽曲を、奇をてらわない圧倒的な演奏で見事に聴かせた。
一曲だけ参加したヴォーカルのNicaも、23歳とは思えない歌唱力と貫禄で聴衆を魅了した。この子は毎年上手くなってる印象がある。

鈴木良雄(b) 野力奏一(p) 井上信平(fl) 岡部洋一(per)
3ステージ目はベースの重鎮 鈴木良雄氏のユニット。
フルートの名手、井上信平氏をフロントに迎えた爽やかで温かみのあるコンテンポラリーミュージックだ。ピアノ 野力奏一氏の美しいタッチと見事なアレンジが本当に素晴らしく、思わずCDを購入してしまった。

Pat Martino(g) Eric Alexander(sax) Tony Monaco(org) Jason Brown(ds)
言わずと知れたJAZZギターの神様。まさか生で演奏を聴く機会に恵まれるとは。
低音で絶え間なく繰り出されるフレーズの連鎖。地を這いうねるグルーヴ感。Tony Monacoのファンキーなオルガンと、そしてEricのハードボイルドなテナーのサウンドとの一体となり、圧倒的な迫力の演奏を聞かせてくれた。
2時間近く並んだ上に立ち見ではあったけれど、これは見る価値のあったステージだった。
大満足の2日間。来年もまた行くぞ!!
2009年10月10日
横浜JAZZプロムナード2009 1日目
毎年この時期恒例の横浜JAZZプロムナードに今年も参戦。2日間で7ステージ、大いに堪能してきた。
酒井俊オーケストラ
酒井俊(vo.) 林栄一(as.) 松島啓之(tp.) 太田惠資(vl.) 桜井芳樹(g,banjo.) 田中信正(p.) 関島岳郎(tuba) 芳垣安洋(ds,per.)
今年の1本目に選んだのは、ヴォーカリスト酒井俊のオーケストラ。
彼女のライブは、歌うとは何か、表現するとは何かを常に考えさせてくれる。歌の種類もJAZZという言葉では括れないくらい多様。時として語りであり、時として演劇の様でさえある。酒井俊にしか作れない独特の世界観を、7人の個性的なメンバーが鮮やかに彩った。
JAZZプロムナードでしか見られないスペシャルエディション。たっぷりと2時間、感動的なステージだった。
Bill Mays trio
Bill Mays(p) 川村竜(b) Joe La Barbera(ds)
Bill Maysは今回初めて聴くピアニストだが、スウィンギーな演奏からリリカルバラードまで、ベテランらしい上手さを以て存分に聴衆を魅了した。癖のない端正な演奏が好印象だった。
共演した若手ベーシスト川村竜が、Maysときっちりアイコンタクトを取って、楽しげに息の合った演奏を披露していたのが印象的。
Bill Evans trio最後のドラマー、Joe La Barberaが参加していたのでEvans縁の"Waltz for Debby"と"Hear's that rainy day"の2曲が。Debbyはなかなか生で聴く機会がないので、聴けて嬉しかった。
僕の中でまた一人、贔屓のピアニストが増えた。
田中信正KARTELL
田中信正(p) 山田晃路(b) 大槻カルタ英宣(ds) 神田佳子(per)
この日の最後はライブハウス"Jazz is"で田中信正。
CDを何度も聴いてこのバンドの手法は分かっていたけど、ライブで聴くと更に中毒性が高い。フレーズの執拗な反復、ポリリズムの応酬、破壊と再生。
かなりアバンギャルドな演奏なのだけれど、信正氏の音楽性がしっかり地に根を張っているのが明確にわかるので、どれだけ壊れた演奏をしても、安心して聴くことができる。フリーキーな演奏から戻って、筋の通った瞬間の心地よさが、聴く者の心を捉えて離さない。
パーカッションの神田佳子さんも、ダイナミックな演奏でこのバンドの世界観を更に豊かにひきたてていた。
3バンドながら大満足な初日だった。

酒井俊(vo.) 林栄一(as.) 松島啓之(tp.) 太田惠資(vl.) 桜井芳樹(g,banjo.) 田中信正(p.) 関島岳郎(tuba) 芳垣安洋(ds,per.)
今年の1本目に選んだのは、ヴォーカリスト酒井俊のオーケストラ。
彼女のライブは、歌うとは何か、表現するとは何かを常に考えさせてくれる。歌の種類もJAZZという言葉では括れないくらい多様。時として語りであり、時として演劇の様でさえある。酒井俊にしか作れない独特の世界観を、7人の個性的なメンバーが鮮やかに彩った。
JAZZプロムナードでしか見られないスペシャルエディション。たっぷりと2時間、感動的なステージだった。

Bill Mays(p) 川村竜(b) Joe La Barbera(ds)
Bill Maysは今回初めて聴くピアニストだが、スウィンギーな演奏からリリカルバラードまで、ベテランらしい上手さを以て存分に聴衆を魅了した。癖のない端正な演奏が好印象だった。
共演した若手ベーシスト川村竜が、Maysときっちりアイコンタクトを取って、楽しげに息の合った演奏を披露していたのが印象的。
Bill Evans trio最後のドラマー、Joe La Barberaが参加していたのでEvans縁の"Waltz for Debby"と"Hear's that rainy day"の2曲が。Debbyはなかなか生で聴く機会がないので、聴けて嬉しかった。
僕の中でまた一人、贔屓のピアニストが増えた。

田中信正(p) 山田晃路(b) 大槻カルタ英宣(ds) 神田佳子(per)
この日の最後はライブハウス"Jazz is"で田中信正。
CDを何度も聴いてこのバンドの手法は分かっていたけど、ライブで聴くと更に中毒性が高い。フレーズの執拗な反復、ポリリズムの応酬、破壊と再生。
かなりアバンギャルドな演奏なのだけれど、信正氏の音楽性がしっかり地に根を張っているのが明確にわかるので、どれだけ壊れた演奏をしても、安心して聴くことができる。フリーキーな演奏から戻って、筋の通った瞬間の心地よさが、聴く者の心を捉えて離さない。
パーカッションの神田佳子さんも、ダイナミックな演奏でこのバンドの世界観を更に豊かにひきたてていた。
3バンドながら大満足な初日だった。
2009年07月04日
横浜Down beatにて
横浜美術館で「フランス絵画の19世紀展」を見て来たので、帰りに野毛のJAZZ喫茶 Down Beatで一服。
入店早々、ウッドベースの生々しい音が。Down Beatのアナログシステムならではの、ざらついた質感のある音。思わず鳥肌が立つ。
芯のしっかりした音色とアグレッシブなフレーズの運びに、一瞬ベースは鈴木勲かとも思ったが、若干違う。レコードプレイヤーの脇を見ると、置いてあったのはベーシスト 中山英二の81年に於けるデビューアルバム、「北の大地」。70年代の日本を代表するレーベル、Three blind miceの作品だ。
宮野弘紀のスパニッシュ系のギター、山中良之の芯の強いSAXを中心に、ヒップでモダンなセンスある演奏が繰り広げられていた。流石Three blind mice。現在は既に廃盤のようで寂しい限りである。
こちらのサイトに試聴あり ⇒ 北の大地/中山英二
もう一枚のお気に入りは名手Tommy Flanaganによるリベンジセッション"Giant steps"。久し振りに聴いたけれど、これもなかなか良いアルバム。
本日もなかなかの収穫あり。
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