ライブレポート
2010年07月17日
外山安樹子Trio Live @ Soft wind
外山安樹子:Piano
関口宗之:Bass
秋葉正樹:Drums
進化する、ピアノトリオ。
3連休初日の夜は、六本木のライブハウス Soft windで、お気に入りのピアニスト 外山安樹子さんのライブ。彼女のトリオのライブを生で見るのは今回が3回目だけれど、回を重ねる毎にどんどん内容が素晴らしくなってきていると感じる。
それが最もよく伝わってきたのが、オープニングで演奏された彼女の代表曲、”Spring lake”。各自のソロの内容も、バンドとして纏まりも、何度も演奏を繰り返し磨き抜かれていって、更に一段高みに上がった印象だ。アルバムでの演奏も素晴らしいのだけれど、やはりライブで聴く演奏は別格。
ファーストアルバムからの哀愁漂うマイナーチューン”Befor dawn”、09年の誕生日に作られたというバラードを挟んで聴こえてきたのは、スウェーデンの名ピアニストLars Jansonの”The man with the cucumber”。外山さんのスタイルには絶対Larsが似合うと思っていたので、イントロの特徴的なリフを聞いた瞬間に思わず歓喜!予想通り、と言うかそれ以上の素晴らしい演奏だった。国内でLarsのスタイルをこれだけハマって演やれるピアニストはそうはいないだろう。
その後に演奏されたハーモニカのToots Thielemansによる美しいワルツ、”Bluesette”も、流麗な楽曲の雰囲気を見事に演じきっていて素敵だった。1stセットは、オリジナル“Quiet storm”で幕。
暫しの休憩を挟んで、2ndセットへ。オープニングは5月の東北ツアーの際、新潟から秋田へ向かう車での旅を思い描いて作られたという、名前のまだない新曲。僕の中では「初夏、海岸線にて」という言葉が浮かんできた。西日の煌く海を見ながら、ゆったりと車を走らせる。窓から入り込む爽やかな風。そんな風景を詩情豊かに歌い上げた美しい曲だ。
続くのはアルバムからの“Miff’s walk”、”Calm days”。そしてこのセットのヤマに持ってきたのは、スタンダード”On green dolphin street”。定番の楽曲をスピード感溢れるスリリングな演奏で見事に聴かせた。そしてセットのエンディングはオリジナルの”White snow samba”。この曲も外山さんのライブではお馴染み。突き抜ける爽快感がたまらない一曲だ。
そして圧巻だったのが、アンコールの”Bye Bye Blackbird”。バラードで始まり、途中から4ビートになり、そして更に倍転。目まぐるしくリズムが変わるトリッキーな構成だ。スリリングな演奏だったが、3人の息の合い方は絶妙で物凄く楽しめた。これこそJAZZの醍醐味。
見る度に進化を続けている外山安樹子trio。国内のミュージシャンでは、間違いなく屈指の存在と言える。お近くで見る機会があるならば、是非足を運ばれることをオススメしたい。
2010年04月22日
外山安樹子(p) Live at 新宿J
時計を見ると、もう20時近く。すっかり遅くなってしまった。降りしきる雨の中、新宿厚生年金会館に近いライブハウスJを目指す。1stセットはもう聴けないかな・・・。
ようやく店の前まで辿り着く。狭い階段を一段下りる度、グルーヴィーな"Take five"のテーマの音が少しずつ大きくなってくる。ああ、この曲は是非聴きたかったのに!
結局店に入ったのは1stセット最後の曲が始まった時だった。春を想って作ったと言うまだ名前のない曲。"巡りゆく季節"を想わせる様な躍動的で美しい曲だった。
少しの休憩を挟んで、2ndセットは外山さんの代表曲"Springlake"で幕を開ける。この曲は何度聴いても本当に素晴らしい。その後スタンダードの"Love letters"、"I love you"が続く。外山さんのスタンダードへのアプローチが聴けるのも、ライブならではの楽しみだ。そして再びオリジナルへ戻って"Standing alone"、"White snow samba"で2ndセットは終焉。"White〜"の突き抜けた爽快感は何時聴いても良いなぁ♪
3rdセットは新曲"Next step"から。次の扉が開き、その向こうに広がる広大な新世界を想わせる様な曲。外山さんは本当に、曲の後ろに風景や物語を描くのが上手いピアニストだ。スタンダード、"How high the moon"を挟み、続くのはアルバムでも評判の良かったフリーインプロヴィゼーションの"星合"。毎回違った表情を見せるスリリングな楽曲だが、常に美しさとリリシズムを失わない点が素晴らしいと思う。4曲目はクラシックの現代音楽から、"パヴァーヌ"。マイナー調の美しい楽曲だ。そしてクロージングはアルバムから、瑞々しく前向きな一曲"From the beginning"。
2セットだったけれど、外山さんの世界を余すところなく堪能することができた。来月には東北ツアーを控えているとのこと。是非あちらでも素晴らしい演奏でファンを魅了してきてもらいたい。
2009年11月21日
八木ブラザーズ Live@Little giant
あれ、こんな所にライブハウスあったっけ?
お世話になっているJAZZ blog "My secret room"のライブ告知を思わず見直す。僕の自宅から自転車で10分程、住宅街の真ん中に、結構本格的なJAZZのライブハウスがあるようだ。店の名前は"Little giant"。全然知らなかった。Johnny Griffin好きのビルのオーナーが半分趣味でやられている店らしい。実際に訪れてみると内装も音響もなかなか素晴らしく、素敵なお店だ。
そこで"My secret room"の管理人すずっくさんが応援されているアマチュアバンド、八木ブラザーズのライブがあるという。以前から記事を拝見して気になっていたバンドだったので、これは!と思いライブに参戦させて頂いた。
何とすずっくさんも新潟から応援にいらした上、JAZZ blog界の重鎮"ジャズCDの個人ページ"の工藤さんまで参加。数年来blogで交流があった皆様にもご面会することができ、貴重な時間を過ごすことができた。初対面なのにマニアックすぎる会話がスラスラ通じるところが楽しい。
20時、いよいよライブがスタート。
<メンバー>
八木"長男"暢之(flh) 八木"次男"敬之(ts) 八木"三男"義之(vtb) 細木久美(p) 大村光広(b) 西尾研一(ds)
今回のライブは80〜90年代に活躍し、Brecker Brothersとも親交が深いことで知られるピアニスト、Don Grolnickの作品を中心に取り上げたステージ。彼の楽曲はかなり深くて重いものが多いのだけれど、三兄弟の息の合ったフロント三管がキッチリアレンジされた、結構仕掛けの多い楽曲を見事に吹きこなしていた。
Grolnick以外だとRandy Breckerのbigbandでの演奏が印象深い"Freefall"、三管メッセンジャーズ時代の名盤、"Free for all"からの名曲、"The core"あたりが個人的には非常にツボだった。特に"The core"でのts敬之氏のちょっとショーターの入ったソロは圧巻だった。
各人セミプロ並みの実力がある方々ばかりで、かなり演奏を楽しむことができた。ご紹介頂いたすずっく様には感謝です。
次回も東京で演奏があるようなら、是非是非お邪魔させて頂きたい。
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2009年10月11日
横浜JAZZプロムナード2009 2日目
Nervio
新澤健一郎(p,syn) 音川英二(sax) 鳥越啓介(b) 岩瀬立飛(ds,voice) ヤヒロトモヒロ(perc)
2日目のオープニングはお気に入りのピアニスト、新澤健一郎氏がリーダーを務めるNervio。
アコースティックなコンテンポラリーサウンドにワールドミュージックの味付けが心地よい。音川氏の存在感のあるSax、ヤヒロ氏と竜飛氏の圧倒的なリズムの渦に飲まれっぱなしの1時間。1ステージ目からテンションが上がる。
宮之上貴昭Quintet
宮之上貴昭(g) 吉岡秀晃(p) 稲垣護(b) 田村陽介(ds) 大井貴司(vib) Guest:Nica(vo)
JAZZギターの重鎮、宮之上貴昭氏。完成度の高い演奏に惹かれ、プロムナードでは毎年のように足を運んでしまう。
今年はビブラフォンの氏を迎えたクインテットで、Wesの名盤 "Bugs meets Wes"を意識した構成。バップを基調とした楽曲を、奇をてらわない圧倒的な演奏で見事に聴かせた。
一曲だけ参加したヴォーカルのNicaも、23歳とは思えない歌唱力と貫禄で聴衆を魅了した。この子は毎年上手くなってる印象がある。
鈴木良雄 Bass talk
鈴木良雄(b) 野力奏一(p) 井上信平(fl) 岡部洋一(per)
3ステージ目はベースの重鎮 鈴木良雄氏のユニット。
フルートの名手、井上信平氏をフロントに迎えた爽やかで温かみのあるコンテンポラリーミュージックだ。ピアノ 野力奏一氏の美しいタッチと見事なアレンジが本当に素晴らしく、思わずCDを購入してしまった。
Pat Martino Quartet
Pat Martino(g) Eric Alexander(sax) Tony Monaco(org) Jason Brown(ds)
言わずと知れたJAZZギターの神様。まさか生で演奏を聴く機会に恵まれるとは。
低音で絶え間なく繰り出されるフレーズの連鎖。地を這いうねるグルーヴ感。Tony Monacoのファンキーなオルガンと、そしてEricのハードボイルドなテナーのサウンドとの一体となり、圧倒的な迫力の演奏を聞かせてくれた。
2時間近く並んだ上に立ち見ではあったけれど、これは見る価値のあったステージだった。
大満足の2日間。来年もまた行くぞ!!
新澤健一郎(p,syn) 音川英二(sax) 鳥越啓介(b) 岩瀬立飛(ds,voice) ヤヒロトモヒロ(perc)
2日目のオープニングはお気に入りのピアニスト、新澤健一郎氏がリーダーを務めるNervio。
アコースティックなコンテンポラリーサウンドにワールドミュージックの味付けが心地よい。音川氏の存在感のあるSax、ヤヒロ氏と竜飛氏の圧倒的なリズムの渦に飲まれっぱなしの1時間。1ステージ目からテンションが上がる。
宮之上貴昭Quintet
宮之上貴昭(g) 吉岡秀晃(p) 稲垣護(b) 田村陽介(ds) 大井貴司(vib) Guest:Nica(vo)
JAZZギターの重鎮、宮之上貴昭氏。完成度の高い演奏に惹かれ、プロムナードでは毎年のように足を運んでしまう。
今年はビブラフォンの氏を迎えたクインテットで、Wesの名盤 "Bugs meets Wes"を意識した構成。バップを基調とした楽曲を、奇をてらわない圧倒的な演奏で見事に聴かせた。
一曲だけ参加したヴォーカルのNicaも、23歳とは思えない歌唱力と貫禄で聴衆を魅了した。この子は毎年上手くなってる印象がある。
鈴木良雄 Bass talk
鈴木良雄(b) 野力奏一(p) 井上信平(fl) 岡部洋一(per)
3ステージ目はベースの重鎮 鈴木良雄氏のユニット。
フルートの名手、井上信平氏をフロントに迎えた爽やかで温かみのあるコンテンポラリーミュージックだ。ピアノ 野力奏一氏の美しいタッチと見事なアレンジが本当に素晴らしく、思わずCDを購入してしまった。
Pat Martino Quartet
Pat Martino(g) Eric Alexander(sax) Tony Monaco(org) Jason Brown(ds)
言わずと知れたJAZZギターの神様。まさか生で演奏を聴く機会に恵まれるとは。
低音で絶え間なく繰り出されるフレーズの連鎖。地を這いうねるグルーヴ感。Tony Monacoのファンキーなオルガンと、そしてEricのハードボイルドなテナーのサウンドとの一体となり、圧倒的な迫力の演奏を聞かせてくれた。
2時間近く並んだ上に立ち見ではあったけれど、これは見る価値のあったステージだった。
大満足の2日間。来年もまた行くぞ!!
2009年10月10日
横浜JAZZプロムナード2009 1日目
毎年この時期恒例の横浜JAZZプロムナードに今年も参戦。2日間で7ステージ、大いに堪能してきた。
酒井俊オーケストラ
酒井俊(vo.) 林栄一(as.) 松島啓之(tp.) 太田惠資(vl.) 桜井芳樹(g,banjo.) 田中信正(p.) 関島岳郎(tuba) 芳垣安洋(ds,per.)
今年の1本目に選んだのは、ヴォーカリスト酒井俊のオーケストラ。
彼女のライブは、歌うとは何か、表現するとは何かを常に考えさせてくれる。歌の種類もJAZZという言葉では括れないくらい多様。時として語りであり、時として演劇の様でさえある。酒井俊にしか作れない独特の世界観を、7人の個性的なメンバーが鮮やかに彩った。
JAZZプロムナードでしか見られないスペシャルエディション。たっぷりと2時間、感動的なステージだった。
Bill Mays trio
Bill Mays(p) 川村竜(b) Joe La Barbera(ds)
Bill Maysは今回初めて聴くピアニストだが、スウィンギーな演奏からリリカルバラードまで、ベテランらしい上手さを以て存分に聴衆を魅了した。癖のない端正な演奏が好印象だった。
共演した若手ベーシスト川村竜が、Maysときっちりアイコンタクトを取って、楽しげに息の合った演奏を披露していたのが印象的。
Bill Evans trio最後のドラマー、Joe La Barberaが参加していたのでEvans縁の"Waltz for Debby"と"Hear's that rainy day"の2曲が。Debbyはなかなか生で聴く機会がないので、聴けて嬉しかった。
僕の中でまた一人、贔屓のピアニストが増えた。
田中信正KARTELL
田中信正(p) 山田晃路(b) 大槻カルタ英宣(ds) 神田佳子(per)
この日の最後はライブハウス"Jazz is"で田中信正。
CDを何度も聴いてこのバンドの手法は分かっていたけど、ライブで聴くと更に中毒性が高い。フレーズの執拗な反復、ポリリズムの応酬、破壊と再生。
かなりアバンギャルドな演奏なのだけれど、信正氏の音楽性がしっかり地に根を張っているのが明確にわかるので、どれだけ壊れた演奏をしても、安心して聴くことができる。フリーキーな演奏から戻って、筋の通った瞬間の心地よさが、聴く者の心を捉えて離さない。
パーカッションの神田佳子さんも、ダイナミックな演奏でこのバンドの世界観を更に豊かにひきたてていた。
3バンドながら大満足な初日だった。
酒井俊オーケストラ
酒井俊(vo.) 林栄一(as.) 松島啓之(tp.) 太田惠資(vl.) 桜井芳樹(g,banjo.) 田中信正(p.) 関島岳郎(tuba) 芳垣安洋(ds,per.)
今年の1本目に選んだのは、ヴォーカリスト酒井俊のオーケストラ。
彼女のライブは、歌うとは何か、表現するとは何かを常に考えさせてくれる。歌の種類もJAZZという言葉では括れないくらい多様。時として語りであり、時として演劇の様でさえある。酒井俊にしか作れない独特の世界観を、7人の個性的なメンバーが鮮やかに彩った。
JAZZプロムナードでしか見られないスペシャルエディション。たっぷりと2時間、感動的なステージだった。
Bill Mays trio
Bill Mays(p) 川村竜(b) Joe La Barbera(ds)
Bill Maysは今回初めて聴くピアニストだが、スウィンギーな演奏からリリカルバラードまで、ベテランらしい上手さを以て存分に聴衆を魅了した。癖のない端正な演奏が好印象だった。
共演した若手ベーシスト川村竜が、Maysときっちりアイコンタクトを取って、楽しげに息の合った演奏を披露していたのが印象的。
Bill Evans trio最後のドラマー、Joe La Barberaが参加していたのでEvans縁の"Waltz for Debby"と"Hear's that rainy day"の2曲が。Debbyはなかなか生で聴く機会がないので、聴けて嬉しかった。
僕の中でまた一人、贔屓のピアニストが増えた。
田中信正KARTELL
田中信正(p) 山田晃路(b) 大槻カルタ英宣(ds) 神田佳子(per)
この日の最後はライブハウス"Jazz is"で田中信正。
CDを何度も聴いてこのバンドの手法は分かっていたけど、ライブで聴くと更に中毒性が高い。フレーズの執拗な反復、ポリリズムの応酬、破壊と再生。
かなりアバンギャルドな演奏なのだけれど、信正氏の音楽性がしっかり地に根を張っているのが明確にわかるので、どれだけ壊れた演奏をしても、安心して聴くことができる。フリーキーな演奏から戻って、筋の通った瞬間の心地よさが、聴く者の心を捉えて離さない。
パーカッションの神田佳子さんも、ダイナミックな演奏でこのバンドの世界観を更に豊かにひきたてていた。
3バンドながら大満足な初日だった。
2009年06月20日
新澤健一郎(pf) 太田朱美(fl) Duo @ 大塚Greco
JR山手線、大塚駅からおよそ5分。住宅街の細い路地を入って行った先に、ひっそりと佇むライブスペース”Greco”。友人の家に来て、広いリビングルームでのプライベートコンサートを見ているような気分に浸れる、落ち着いた空間だ。
この日の演奏は、ピアニスト新澤健一郎さんとフルート太田朱美さんのデュオ。太田さんは卓越したテクニックとスケールの大きな演奏が素晴らしく、以前から生でじっくりと聴いてみたいと思っていたフルート奏者。そんな彼女が、豊かなコード感とグルーヴに満ちた演奏が魅力の実力派ピアニスト、新澤さんとデュオで共演するということで、非常に楽しみにしていたステージだ。
構成は太田さんや新澤さんのオリジナルを中心に、JAZZという枠に囚われない自由な選曲と演奏。新澤さんが自身のグループNervioで演奏していた大曲” Pa・ra・bo・la”、 ブラジルの才人Egberto Gismontiによる名曲”Frevo”などが印象に残った。また、太田さんはChick CoreaのReturn to foreverで有名なフルート奏者、Joe Farrelを敬愛するというだけあり、Return to foreverの名曲”What game shall we play today”の演奏は特に素晴らしかった。
音楽の芯を新澤さんが作り、それを鮮やかに広げてゆく太田さんのフルート。お互いを刺激し合い、高めあうその演奏は、まさにデュオというスタイルの真骨頂。非常に内容の濃いステージだった。
今後まだまだ深みを増していきそうな2人のコラボレーション。次回以降のライブにも是非注目していきたい。
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2009年05月23日
羊毛とおはな ミニLive@新宿御苑
先述の”Live at Village Vanguard”を聴いて以来すっかりハマってしまった、羊毛とおはな。アットホームな彼らの音楽性に惹かれ、是非近い距離でライブを見てみたいと思っていた矢先、J-WAVEの”LOHAS Sunday”という番組のイベントで、新宿御苑にて無料の野外ライブがあるという情報を入手し、迷わず参加。
休日の新宿御苑は穏やかな空気が漂い、相変わらず良い雰囲気。曇りがちな天候ではあったけれども、暑くなり過ぎず、野外ライブには丁度良い環境だ。
15時30分。フェアグラウンド・アトラクションのカバー曲、“Perfect”でステージは幕を開ける。観客も要領を心得ているようで、曲が始まった瞬間に手拍子で返す。オープニングから心地良い一体感。
2曲目は、前向きなのだけれど、どこか切ない歌詞のオリジナル、“レモン”。3曲目はdocomoのCMにも起用されたビートルズのカバー、“All you need is love”。初めて演奏を生で見たけれど、羊毛とおはなはギター一本とヴォーカルだけで、本当に温かみのある素敵な空気を作りだしている。
4曲目は美しいメロディーラインが印象的な“白いキャンバス”。喪失と再生を描いた歌詞の内容に合わせるかのように、この曲の間だけ、曇りがちだった空が一瞬だけ晴れ、ステージに一条の光が差し込んだ。あの瞬間は本当に感動的だった。
そしてエンディングは、“カントリーロード”。千葉はなの澄んだ歌声の余韻を残しつつ、ステージは幕を下ろす。わずか30分だったけれど、内容の濃い、楽しいステージだった。
人気急上昇中の羊毛とおはなだけれど、至近距離で見れるアットホームなライブ、今後も続けていってほしいと思う。
【参考映像】08年の様子はこんな感じ
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2009年03月14日
酒井俊Live@公園通りクラシックス
渋谷、公園通りクラシックス。文字通り、渋谷公園通りに面したビルの、地下駐車場の一角という少々分かりにくい場所にある、小さなホールだ。ジャンル問わず様々なイベントを行っているが、毎回センスの良いブッキングには好感が持てる。
この日はヴォーカリスト 酒井俊のCD発売記念ライブ。コンセプトはピアニスト田中信正とのデュオ。そこにヴァイオリンの太田惠資とパーカッションの岡部洋一がゲスト参加という形式だ。
俊さんのステージを生で見るのは、昨年の横浜JAZZプロムナード以来2回目だけれど、見る度に「表現することとは何か」というのを深く考えさせられる。バンド全体のダイナミクスレンジ、声の抑揚のコントロール、アーティキュレーション、マイクの使い方。技術的な面の素晴らしさは勿論のこと、歌う時の仕草や表情がとにかく豊かで、彼女の創り出す空気・空間のすべてにメッセージが存在する。歌の導入部の語りも鬼気迫るものがあり、まるで演劇の舞台を見ているような感覚を抱く。
「自分の内面にある何かを表現しよう、自分の望む世界を創ろう」という気持ちが、彼女の歌からは溢れ出ているし、周囲の仲間たちがそれに呼応して物凄いエネルギーを放っているのがよくわかる。
相方の田中信正は、時に激しく、時に静かに、俊さんの歌に寄り添う。アップテンポな曲でのアブストラクトで過激なパフォーマンス。音数の少ない、静かな演奏での柔らかいタッチの、官能的とも言えるような美しさ。この類稀なるピアニストの演奏が、俊さんの歌の世界を、より深く、鮮やかに彩る。
選曲の中で印象に残ったものを幾つか。
僕の大好きな沖縄の唄、”黄金の花”は楽曲の盛り上げ方が本当に感動的で、涙が出そうになった。芝居なのか音楽なのか分からないくらい、歌の世界に入り込んでいた”My Coloring Book”。昭和の楽曲をクラブミュージックのようにアレンジしてしまった”買物ブギ”。後半は” The Way We Were”、” Amazing Grace”、” Hallelujah”と名曲揃い。そしてアンコールに、定番の”満月の夕”。
帰りには新しいCDも一足先に購入させて頂いた。勿論CDも素晴らしいのだけれど、特に俊さんの場合は、生でのステージに勝るものは無いと思う。彼女の表情、仕草、纏ったオーラの全てがアートだ。これは一度経験しないと、絶対にわからない。CDの発売を機に、4月から全国ツアーなどもあるので、是非この機会に、彼女の生のステージに触れてほしい。
ライブスケジュールは俊さんのHPにて。
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この日はヴォーカリスト 酒井俊のCD発売記念ライブ。コンセプトはピアニスト田中信正とのデュオ。そこにヴァイオリンの太田惠資とパーカッションの岡部洋一がゲスト参加という形式だ。
俊さんのステージを生で見るのは、昨年の横浜JAZZプロムナード以来2回目だけれど、見る度に「表現することとは何か」というのを深く考えさせられる。バンド全体のダイナミクスレンジ、声の抑揚のコントロール、アーティキュレーション、マイクの使い方。技術的な面の素晴らしさは勿論のこと、歌う時の仕草や表情がとにかく豊かで、彼女の創り出す空気・空間のすべてにメッセージが存在する。歌の導入部の語りも鬼気迫るものがあり、まるで演劇の舞台を見ているような感覚を抱く。
「自分の内面にある何かを表現しよう、自分の望む世界を創ろう」という気持ちが、彼女の歌からは溢れ出ているし、周囲の仲間たちがそれに呼応して物凄いエネルギーを放っているのがよくわかる。
相方の田中信正は、時に激しく、時に静かに、俊さんの歌に寄り添う。アップテンポな曲でのアブストラクトで過激なパフォーマンス。音数の少ない、静かな演奏での柔らかいタッチの、官能的とも言えるような美しさ。この類稀なるピアニストの演奏が、俊さんの歌の世界を、より深く、鮮やかに彩る。
選曲の中で印象に残ったものを幾つか。
僕の大好きな沖縄の唄、”黄金の花”は楽曲の盛り上げ方が本当に感動的で、涙が出そうになった。芝居なのか音楽なのか分からないくらい、歌の世界に入り込んでいた”My Coloring Book”。昭和の楽曲をクラブミュージックのようにアレンジしてしまった”買物ブギ”。後半は” The Way We Were”、” Amazing Grace”、” Hallelujah”と名曲揃い。そしてアンコールに、定番の”満月の夕”。
帰りには新しいCDも一足先に購入させて頂いた。勿論CDも素晴らしいのだけれど、特に俊さんの場合は、生でのステージに勝るものは無いと思う。彼女の表情、仕草、纏ったオーラの全てがアートだ。これは一度経験しないと、絶対にわからない。CDの発売を機に、4月から全国ツアーなどもあるので、是非この機会に、彼女の生のステージに触れてほしい。
ライブスケジュールは俊さんのHPにて。
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2009年01月14日
Barry Harris Live @ ルーテル市ヶ谷
この日の為に、休みを取ろうかとさえ思った。彼の演奏を生で聴ける機会を、逃す訳にはいかない。
そんな想いを込めて向かった2009年初のライブは、ピアノの巨匠 Barry Harris。95年に於ける東京でのライブ盤”Live at DUG”で、彼の演奏の素晴らしさに魅せられたのが、もう10年以上も前。まだJAZZを聴き始めたばかりの、高校生の頃だ。7年ほど前に見る機会があった彼のライブも本当に感動的で忘れ難く、僕にとっては最も思い入れの深いピアニストの一人だ。
市ヶ谷駅にほど近い小さなホールは、開演10分前にはほぼ満席。音大主催のコンサートだけあって、20歳前後の学生の姿も多い。彼らはHarrisのピアノから何を感じ、何を学ぶのだろう。
そんなことを考えていると、間もなく開演の時間。舞台袖から静かに、Harrisが現れる。今年80歳を迎えるということで、足元は少々おぼつかないところがあったものの、一度ピアノに向かえば、その姿勢、その音は現役そのもの。それが見れただけで、本当に嬉しかった。
バリーハリスは行間を読ませるピアニストだ。柔らかなタッチが醸す、奥深い響きと余韻。一呼吸置いた、絶妙な間の感覚。音のあるところは勿論のこと、音の無い空間にさえ音楽は存在しているのだと言うことを、Harrisのピアノは物語っている。
演奏曲目はビ・バップを代表する名曲ばかり。2セット、2時間に渡る素晴らしい内容だった。オープニングにソロでしっとりと演奏されたHarrisのオリジナル”深い愛情”、分厚いコードでのテーマが心地良い”Like someone in love”などが印象に残る。各セットのエンディングでは、定番になっている”Nasciment”というオリジナル曲での、聴衆を巻き込んだ手拍子&コーラスのパフォーマンス。これが何とも言えなく感動的なのだ。
静かに指先を触れるだけで、鍵盤から溢れ出す幸福。レコードでも素晴らしさは伝わってくるけれど、その空間を共有できたという喜びはひとしおだ。僕も数多くのライブに足を運んでいるけれど、Harrisのライブは重みが違う。音楽の本質というのは何なのか。それを深く感じさせてくれる演奏であった。
氏が末永く健在であり、再びライブに足を運べる日が来ることを心より祈りたい。
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そんな想いを込めて向かった2009年初のライブは、ピアノの巨匠 Barry Harris。95年に於ける東京でのライブ盤”Live at DUG”で、彼の演奏の素晴らしさに魅せられたのが、もう10年以上も前。まだJAZZを聴き始めたばかりの、高校生の頃だ。7年ほど前に見る機会があった彼のライブも本当に感動的で忘れ難く、僕にとっては最も思い入れの深いピアニストの一人だ。
市ヶ谷駅にほど近い小さなホールは、開演10分前にはほぼ満席。音大主催のコンサートだけあって、20歳前後の学生の姿も多い。彼らはHarrisのピアノから何を感じ、何を学ぶのだろう。
そんなことを考えていると、間もなく開演の時間。舞台袖から静かに、Harrisが現れる。今年80歳を迎えるということで、足元は少々おぼつかないところがあったものの、一度ピアノに向かえば、その姿勢、その音は現役そのもの。それが見れただけで、本当に嬉しかった。
バリーハリスは行間を読ませるピアニストだ。柔らかなタッチが醸す、奥深い響きと余韻。一呼吸置いた、絶妙な間の感覚。音のあるところは勿論のこと、音の無い空間にさえ音楽は存在しているのだと言うことを、Harrisのピアノは物語っている。
演奏曲目はビ・バップを代表する名曲ばかり。2セット、2時間に渡る素晴らしい内容だった。オープニングにソロでしっとりと演奏されたHarrisのオリジナル”深い愛情”、分厚いコードでのテーマが心地良い”Like someone in love”などが印象に残る。各セットのエンディングでは、定番になっている”Nasciment”というオリジナル曲での、聴衆を巻き込んだ手拍子&コーラスのパフォーマンス。これが何とも言えなく感動的なのだ。
静かに指先を触れるだけで、鍵盤から溢れ出す幸福。レコードでも素晴らしさは伝わってくるけれど、その空間を共有できたという喜びはひとしおだ。僕も数多くのライブに足を運んでいるけれど、Harrisのライブは重みが違う。音楽の本質というのは何なのか。それを深く感じさせてくれる演奏であった。
氏が末永く健在であり、再びライブに足を運べる日が来ることを心より祈りたい。
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2008年12月20日
辛島文雄 Live at エアジン
いつも行こう行こうと思いつつ、なかなかタイミングが合わない辛島さんのライブ。この日はようやく都合が付き、足を運ぶことができた。場所は横浜馬車道のライブハウス エアジン。この店に来るのも7年ぶりくらいだ。
午後8時過ぎ。予想通り、予定より少し遅れてライブがスタート。硬質で全くブレが無く、芯の強い辛島さんの演奏。圧倒的な完成度の高さは、何度聴いても感動的だ。この日はスタンダードを中心とした選曲だったが、アプローチは辛島さんらしいオリジナリティがあふれており、ものすごく新鮮な印象。いろいろな日本人ピアニストの演奏を聴いているけれど、彼は間違いなくその最高峰の一人と言えるだろう。
ベースの畠山芳幸のアグレッシブさ、ドラム小松伸之のパワフルな演奏も印象的。特に小松さんは辛島さんのトリオや、山口真文(ts)のカルテットなどで何度か耳にしているが、いずれもフロントを食わんばかりの素晴らしい演奏を聴かせている。若手の逸材として今後も注目したい。
ライブ中ふと後ろを見ると、ベースの重鎮 鈴木勲氏の姿が。休憩中はみかんを食べつつ辛島さんと談笑という、普段はなかなか見られない日本JAZZ界のトップ会談を目にすることができた。
これだけ素晴らしい演奏を十数人の観客で分け合うというのは、何とも贅沢なことだと思う。ただそれは、ミュージシャンやお店の側にとっては、あまり幸せなことではない。こういった光景を見ると、ある程度内容の素晴らしさに見合った市場が成立することを、切に願わずにはいられない。
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午後8時過ぎ。予想通り、予定より少し遅れてライブがスタート。硬質で全くブレが無く、芯の強い辛島さんの演奏。圧倒的な完成度の高さは、何度聴いても感動的だ。この日はスタンダードを中心とした選曲だったが、アプローチは辛島さんらしいオリジナリティがあふれており、ものすごく新鮮な印象。いろいろな日本人ピアニストの演奏を聴いているけれど、彼は間違いなくその最高峰の一人と言えるだろう。
ベースの畠山芳幸のアグレッシブさ、ドラム小松伸之のパワフルな演奏も印象的。特に小松さんは辛島さんのトリオや、山口真文(ts)のカルテットなどで何度か耳にしているが、いずれもフロントを食わんばかりの素晴らしい演奏を聴かせている。若手の逸材として今後も注目したい。
ライブ中ふと後ろを見ると、ベースの重鎮 鈴木勲氏の姿が。休憩中はみかんを食べつつ辛島さんと談笑という、普段はなかなか見られない日本JAZZ界のトップ会談を目にすることができた。
これだけ素晴らしい演奏を十数人の観客で分け合うというのは、何とも贅沢なことだと思う。ただそれは、ミュージシャンやお店の側にとっては、あまり幸せなことではない。こういった光景を見ると、ある程度内容の素晴らしさに見合った市場が成立することを、切に願わずにはいられない。
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