Special
2009年01月06日
Live In Tokyo / Michel Petruciani (p)
聖書の中で用いられる言葉に「福音」というものがある。「喜ばしい知らせ」という意味から転じて「イエスの起こした様々な奇跡を通して啓示された救いの教え」という意味合いを持つ言葉だ。僕は本作の演奏を聴く度に、この言葉のことを想う。
遺伝性の重い障害をを抱え、身体的にも多大なハンデキャップを背負ったフランス人JAZZピアニスト、Michel Petrucciani。それでも彼は強靭な精神力と計り知れない努力、そして抜群のセンスによって、そのハンデを十二分に克服する。20歳まで持たないと言われた彼の命の火は、それよりもはるかに長い36歳まで灯り続け、その間に他の誰にも真似できない素晴らしい演奏と作品を、数多く生み出し続けた。
彼の音楽が放つ類まれなる輝きと力強いエネルギーは、間違いなく多くの人々に勇気と感動を与え、そして救いをもたらした。Michel Petruccianiが生きた36年。それはまさに、奇跡と呼ぶに相応しいものであった。
Petruccianiの遺作となった本作は、その奇跡を鮮やかに感じ取れる一枚だ。彼の演奏は晩年に近づけば近づくほど、祝祭的なまでに明るく、力強く、希望とエネルギーに満ちたものとなっていく。与えられた限られた時間の中で、最後に彼が見出したものが何だったのか。彼の口からそれについて語られることはなかったが、彼の音楽は言葉という範疇を越え、十分過ぎるほど饒舌にそれらを物語っている。Petruccianiのサウンドの中にあるものは、「福音」という言葉の文字通り、「幸福な音」であり「喜ばしい知らせ」であり「救い」そのものである。
彼が旅立って今日で丁度10年。今日はこのアルバムをテーブルに乗せ、今も色褪せず鮮やかに輝き続けるその奇跡に、耳を傾けよう。
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遺伝性の重い障害をを抱え、身体的にも多大なハンデキャップを背負ったフランス人JAZZピアニスト、Michel Petrucciani。それでも彼は強靭な精神力と計り知れない努力、そして抜群のセンスによって、そのハンデを十二分に克服する。20歳まで持たないと言われた彼の命の火は、それよりもはるかに長い36歳まで灯り続け、その間に他の誰にも真似できない素晴らしい演奏と作品を、数多く生み出し続けた。
彼の音楽が放つ類まれなる輝きと力強いエネルギーは、間違いなく多くの人々に勇気と感動を与え、そして救いをもたらした。Michel Petruccianiが生きた36年。それはまさに、奇跡と呼ぶに相応しいものであった。
Petruccianiの遺作となった本作は、その奇跡を鮮やかに感じ取れる一枚だ。彼の演奏は晩年に近づけば近づくほど、祝祭的なまでに明るく、力強く、希望とエネルギーに満ちたものとなっていく。与えられた限られた時間の中で、最後に彼が見出したものが何だったのか。彼の口からそれについて語られることはなかったが、彼の音楽は言葉という範疇を越え、十分過ぎるほど饒舌にそれらを物語っている。Petruccianiのサウンドの中にあるものは、「福音」という言葉の文字通り、「幸福な音」であり「喜ばしい知らせ」であり「救い」そのものである。
彼が旅立って今日で丁度10年。今日はこのアルバムをテーブルに乗せ、今も色褪せず鮮やかに輝き続けるその奇跡に、耳を傾けよう。
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2007年01月15日
2007年01月04日
Confirmation / Kenny Barron(p) & Barry Harris(p)
伝統的な黒人音楽の語法をベースに、モダンでリリカルなサウンドを併せ込み、完成された世界観を作り上げたKenny Barron。Bud Powellの系譜を出発点に、生涯をかけてバップという音楽を追求し、高みに上り詰めた燻し銀、Barry Harris。彼らは僕が最も敬愛するピアニストたちだ。本作はその二人がツインピアノで競演するスタンダード・ライブアルバムである。
Stan Getzとの"People time"、Charlie Hadenとの"Night and the city"、George Robertとの"Peace"など、デュオの作品でのBarronは、絶妙の間を以って相手のフレーズに寄り添っていき、まるで触媒の様に共演者の良い部分を引き出す。本作でもそのデュオの名手としての能力を遺憾なく発揮し、Harrisの演奏の素晴らしさを更に引き立てている。
普段はどちらかというと物静かな演奏の多い両名だが、ここではスタンダード集らしく、非常に楽しげによく歌う、バピッシュでアグレッシブな演奏を聴かせてくれる。混ざり合った二人の音をまとめて、全体的な流れとして捉えても心地良いが、更にじっくり聴き込むことによりニ人がピアノを通して絶妙に会話している様を聴き取ることが出来るようになってくる。相手のフレーズに呼応して次々と繰り出されるフレーズの数々。名手二人の、インプロヴィゼーションによる高度なコミュニケーション。これはまさにJAZZという音楽の醍醐味そのものである。
"Live at DUG"をご紹介した時にも書いたが、本作もエンディングはHarrisの代表曲"Nascimento"。歌と手拍子で会場全体を巻き込んだパフォーマンスは本当に感動的である。以前彼のライブを見たときに、僕はこれを実際に体験させてもらった。その時はHarrisが観客をステージに上げ、彼のすぐ隣で演奏を眺め、一緒に歌うことが出来た。僕も今までいろいろなライブを見てきたけれど、これはその中でも最も忘れ難い出来事だったと言えるだろう。CDを通し、是非その感動を味わって頂きたい。
ひとつ残念なのは、これほど素晴らしい作品が、市場に於いて殆ど認知されていないということである。現在はAmazon、HMVなどを通して、輸入盤が簡単に入手可能になっている。blogの力を使って、こういった不遇の名盤たちを一枚でも多く救い上げていきたいと思う。
試聴と購入はこちら
なおき選定の隠れ名盤を集めたセレクトショップやってます!知られざる名盤との出会いはこちらから。
Stan Getzとの"People time"、Charlie Hadenとの"Night and the city"、George Robertとの"Peace"など、デュオの作品でのBarronは、絶妙の間を以って相手のフレーズに寄り添っていき、まるで触媒の様に共演者の良い部分を引き出す。本作でもそのデュオの名手としての能力を遺憾なく発揮し、Harrisの演奏の素晴らしさを更に引き立てている。
普段はどちらかというと物静かな演奏の多い両名だが、ここではスタンダード集らしく、非常に楽しげによく歌う、バピッシュでアグレッシブな演奏を聴かせてくれる。混ざり合った二人の音をまとめて、全体的な流れとして捉えても心地良いが、更にじっくり聴き込むことによりニ人がピアノを通して絶妙に会話している様を聴き取ることが出来るようになってくる。相手のフレーズに呼応して次々と繰り出されるフレーズの数々。名手二人の、インプロヴィゼーションによる高度なコミュニケーション。これはまさにJAZZという音楽の醍醐味そのものである。
"Live at DUG"をご紹介した時にも書いたが、本作もエンディングはHarrisの代表曲"Nascimento"。歌と手拍子で会場全体を巻き込んだパフォーマンスは本当に感動的である。以前彼のライブを見たときに、僕はこれを実際に体験させてもらった。その時はHarrisが観客をステージに上げ、彼のすぐ隣で演奏を眺め、一緒に歌うことが出来た。僕も今までいろいろなライブを見てきたけれど、これはその中でも最も忘れ難い出来事だったと言えるだろう。CDを通し、是非その感動を味わって頂きたい。
ひとつ残念なのは、これほど素晴らしい作品が、市場に於いて殆ど認知されていないということである。現在はAmazon、HMVなどを通して、輸入盤が簡単に入手可能になっている。blogの力を使って、こういった不遇の名盤たちを一枚でも多く救い上げていきたいと思う。
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2006年05月22日
Concert in the garden / Maria Schneider(arr) Orchestra
この週末、東京は本当に久々の快晴。通り抜けていく初夏の風が、何とも言えず心地よい。そんな中、リンクをさせて頂いている「ジャズ&オーディオ通信」さんでこのアルバムが紹介されていたのを見て、久々に聴きたくなった。コメントにもあるとおり、初夏にふさわしい、爽やかで感動的なアルバムである。
Maria Schneiderやこの作品については、以前ご紹介した"Allegresse"のレビュー内、前述の「ジャズ&オーディオ通信」さんに詳しい情報があるので、是非そちらを御参照頂きたい。
前作まではいかにも欧米的なサウンドを展開してきたMaria Schneiderであったが、本作はスペインや中南米的な要素を取り入れ、更に音楽性の幅を広げてきた印象である。特徴であった柔らかく厚みのあるハーモニーの上に、アコーディオンや器楽系のVoiceを上手く乗せていく事でエキゾチックな雰囲気を醸し出し、よりファンタジックな世界観を作り出すことに成功している。
個人的には80年代後半、"Still life"や、"Letter from home"の頃のPat Metheny(g)の音楽性とも通じるところがあると感じてしまう。西洋なのか東洋なのか、過去なのか未来なのか、それすらも良くわからない。とにかく様々な時代・地域の文化がごった煮にされた、架空の世界。そんなファンタジー的な世界と、そこで展開されてゆく壮大な物語。そういったものを強く想起させるような力が、彼らの音楽にはある。ジャズという括りではなく、もっとジャンルにとらわれない、深みがあって洗練された世界観を持つ音楽。Maria Schneiderは、それを表現できる才能を持った、非常に稀有な存在であると言えよう。
Maria Schneiderの作品は国内流通が非常に少なく、現在入手困難である。「ジャズ&オーディオ通信」さんの記事内に、Maria SchneiderのオフィシャルHPより直接入手する方法が詳しく記載されているので、購入を検討されている方はそちらを御参照頂きたい。
また、関心を持たれた方には、前述のMetheny作品2枚や、その時期の楽曲がBig bandアレンジされた名作、"Music of Pat Metheny & Lyle Mays"あたりの作品もオススメである。
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Maria Schneiderやこの作品については、以前ご紹介した"Allegresse"のレビュー内、前述の「ジャズ&オーディオ通信」さんに詳しい情報があるので、是非そちらを御参照頂きたい。
前作まではいかにも欧米的なサウンドを展開してきたMaria Schneiderであったが、本作はスペインや中南米的な要素を取り入れ、更に音楽性の幅を広げてきた印象である。特徴であった柔らかく厚みのあるハーモニーの上に、アコーディオンや器楽系のVoiceを上手く乗せていく事でエキゾチックな雰囲気を醸し出し、よりファンタジックな世界観を作り出すことに成功している。
個人的には80年代後半、"Still life"や、"Letter from home"の頃のPat Metheny(g)の音楽性とも通じるところがあると感じてしまう。西洋なのか東洋なのか、過去なのか未来なのか、それすらも良くわからない。とにかく様々な時代・地域の文化がごった煮にされた、架空の世界。そんなファンタジー的な世界と、そこで展開されてゆく壮大な物語。そういったものを強く想起させるような力が、彼らの音楽にはある。ジャズという括りではなく、もっとジャンルにとらわれない、深みがあって洗練された世界観を持つ音楽。Maria Schneiderは、それを表現できる才能を持った、非常に稀有な存在であると言えよう。
Maria Schneiderの作品は国内流通が非常に少なく、現在入手困難である。「ジャズ&オーディオ通信」さんの記事内に、Maria SchneiderのオフィシャルHPより直接入手する方法が詳しく記載されているので、購入を検討されている方はそちらを御参照頂きたい。
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2006年03月19日
People time / Stan Getz(ts) & Kenny Barron(p)
世の中には名盤と呼ばれ、高い評価を得ている作品が数多く存在している。それらは確かにどれも素晴らしい内容であり、人の心を揺り動かす力を多分に持ち合わせている。そんな幾多ある名盤たちの中でも、この"People time"という作品は、圧倒的な魅力で僕の心を惹きつけた。そして僕はこの一枚を、自分の中での最も特別な存在に選んだ。
作品の中でGetzは、スタンダードを中心にした素材を、本当に自然な形で伸び伸びと歌い上げてゆく。もともと豊かな歌心には定評のあるゲッツだが、この演奏ではその中に於いても別格と言えるほどの、深みと味のあるフレーズを次々と紡ぎ出してゆく。それに寄り添うように安定感のあるバッキング展開しながらも、時にアグレッシブにテナーの音に絡んでいき、多彩な表情を覗かせるBarronのプレイもまた見事。希代の名手2人の間に流れる、限りなく親密で温かな空気が生み出した、奇跡の名演と言えるだろう。
Getzという男はその素晴らしい演奏内容とは裏腹に、金や名誉、体裁にこだわる人物だったと言われている。彼の人生の中には幾つかの栄光の時代があり、それと同じくらいの数の、手痛い挫折があった。そんな経験を経た為なのかどうかは定かではないが、晩年のGetzの音楽は明らかに変わった。それまで表に出てくることが無かった感情や心といった側面が演奏の中にじわじわと滲み出てくるようになった。彼の晩年の変化が最高の形で結実したのが、本作であると言えるだろう。長く複雑な人生を歩んできたGetzが最後に見せた輝きの中には、言葉では言い表せない本当にいろいろなものが詰まっている。死を目前にして彼が最後に手にしたものは、金や名誉を伴うことの無い、「純粋に音楽を楽しむ喜び」だったのであろう。
このアルバムが特別な存在感を持ち、僕らを惹き付けてやまない理由。それは彼らの演奏が、一番大切なのに忘れ去られてしまいがちな「音楽の根源的な喜び」を僕らに感じさせてくれるからではないだろうか。
試聴と購入はこちら People time
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作品の中でGetzは、スタンダードを中心にした素材を、本当に自然な形で伸び伸びと歌い上げてゆく。もともと豊かな歌心には定評のあるゲッツだが、この演奏ではその中に於いても別格と言えるほどの、深みと味のあるフレーズを次々と紡ぎ出してゆく。それに寄り添うように安定感のあるバッキング展開しながらも、時にアグレッシブにテナーの音に絡んでいき、多彩な表情を覗かせるBarronのプレイもまた見事。希代の名手2人の間に流れる、限りなく親密で温かな空気が生み出した、奇跡の名演と言えるだろう。
Getzという男はその素晴らしい演奏内容とは裏腹に、金や名誉、体裁にこだわる人物だったと言われている。彼の人生の中には幾つかの栄光の時代があり、それと同じくらいの数の、手痛い挫折があった。そんな経験を経た為なのかどうかは定かではないが、晩年のGetzの音楽は明らかに変わった。それまで表に出てくることが無かった感情や心といった側面が演奏の中にじわじわと滲み出てくるようになった。彼の晩年の変化が最高の形で結実したのが、本作であると言えるだろう。長く複雑な人生を歩んできたGetzが最後に見せた輝きの中には、言葉では言い表せない本当にいろいろなものが詰まっている。死を目前にして彼が最後に手にしたものは、金や名誉を伴うことの無い、「純粋に音楽を楽しむ喜び」だったのであろう。
このアルバムが特別な存在感を持ち、僕らを惹き付けてやまない理由。それは彼らの演奏が、一番大切なのに忘れ去られてしまいがちな「音楽の根源的な喜び」を僕らに感じさせてくれるからではないだろうか。
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2006年03月08日
Identification / Yancy Korossy (p)
その人生の中に於いてほんの一瞬だけ、恐ろしく強い輝きを放つタイプの芸術家がいる。あまりにも鮮烈な印象を持った代表作がひとつ。それ故に他の作品が霞んでしまうのか、それともそこで燃え尽きてしまうのか。Yancy Korossy(ヤンシ−・キョロシー)というルーマニア出身のピアニストも、まさにそんなタイプの芸術家の一人だったと言えるだろう。
このアルバムを初めて耳にしたときの衝撃は、今でも忘れられない。タイトなリズムワーク、ブロックコードを多用した攻撃的なアドリブのスタイル、ちょっとメカニカルでアブストラクトなロジック、深い陰影を覗かせるダークな音色。それらはどれをとっても僕の理想をほぼ完璧に満たすものだった。御茶ノ水のdisk union店内でたまたまかかっていた中古盤だったのだが、冒頭のAll the things you areをしばらく聴いたところであまりの内容の良さに鳥肌が立ち、カウンターにダッシュして「今かかっているのください!!」と、思わず購入を即決してしまったことを、数年経った今でも良く覚えている。
この作品の素晴らしさは、理屈やテクニック云々よりも、強烈に人を惹き付ける情念にある。60年代後半、共産圏ルーマニアという苦境の地を逃れ、ドイツに亡命したKorossy。本作は69年の亡命直後、ドイツの名門MPSレーベルに吹き込まれたものである。それまでの鬱積していたエネルギーを一気に爆発させるかの様な、何ともいえず鬼気迫る雰囲気を持ったKorossyのピアノと、いかにもMPSらしいクリアでエッヂの立った音作りが見事に融合し、唯一無二の傑作が生まれた。
このアルバムを入手したことがきっかけで、残された彼の数少ない音源をいろいろと聴いてみたが、残念ながらこの作品ほどの強烈なエネルギーと独創性を持ち合わせたものには、結局巡り会うことが出来なかった。きっと本作は、一期一会の邂逅が生み出した、奇跡的な名演だったのだろう。彼の人生に於ける最高傑作であるこのアルバムは、まさにYancy Korossyというピアニストにとっての"Identification(自己証明)"と呼ぶに相応しい一枚である。
かつては幻と言われ、マニアの間で驚くような高値で取り引きされていたというこのアルバム。幾度かのCDでの再販を経て、現在ではようやくある程度入手しやすい状態にまで落ち着いたようである。僕が知っているピアノトリオの作品の中でも、間違いなくかなり上位に入る傑作の一枚。今回のユニバーサル ジャズ・ヨーロピアン・コレクションでの復刻を機に、是非入手されることをオススメしたい。
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このアルバムを初めて耳にしたときの衝撃は、今でも忘れられない。タイトなリズムワーク、ブロックコードを多用した攻撃的なアドリブのスタイル、ちょっとメカニカルでアブストラクトなロジック、深い陰影を覗かせるダークな音色。それらはどれをとっても僕の理想をほぼ完璧に満たすものだった。御茶ノ水のdisk union店内でたまたまかかっていた中古盤だったのだが、冒頭のAll the things you areをしばらく聴いたところであまりの内容の良さに鳥肌が立ち、カウンターにダッシュして「今かかっているのください!!」と、思わず購入を即決してしまったことを、数年経った今でも良く覚えている。
この作品の素晴らしさは、理屈やテクニック云々よりも、強烈に人を惹き付ける情念にある。60年代後半、共産圏ルーマニアという苦境の地を逃れ、ドイツに亡命したKorossy。本作は69年の亡命直後、ドイツの名門MPSレーベルに吹き込まれたものである。それまでの鬱積していたエネルギーを一気に爆発させるかの様な、何ともいえず鬼気迫る雰囲気を持ったKorossyのピアノと、いかにもMPSらしいクリアでエッヂの立った音作りが見事に融合し、唯一無二の傑作が生まれた。
このアルバムを入手したことがきっかけで、残された彼の数少ない音源をいろいろと聴いてみたが、残念ながらこの作品ほどの強烈なエネルギーと独創性を持ち合わせたものには、結局巡り会うことが出来なかった。きっと本作は、一期一会の邂逅が生み出した、奇跡的な名演だったのだろう。彼の人生に於ける最高傑作であるこのアルバムは、まさにYancy Korossyというピアニストにとっての"Identification(自己証明)"と呼ぶに相応しい一枚である。
かつては幻と言われ、マニアの間で驚くような高値で取り引きされていたというこのアルバム。幾度かのCDでの再販を経て、現在ではようやくある程度入手しやすい状態にまで落ち着いたようである。僕が知っているピアノトリオの作品の中でも、間違いなくかなり上位に入る傑作の一枚。今回のユニバーサル ジャズ・ヨーロピアン・コレクションでの復刻を機に、是非入手されることをオススメしたい。
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2006年02月04日
The dolphine / Stan Getz (ts)
Stan Getzは約40年にも渡る長い活動期間の中で、コンスタントに数々の名作を世に送り出してきた。50年代前半の名盤“Stan Getz Plays” 、60年代にボサノバブームを巻き起こした“Getz Gilberto” 、ピアノに若き日のChick Coreaを迎えて新たな方向性を打ち出した“Sweet rain”、人生の最後を飾る究極の名演"People time"など、僕自身も様々な時期に於ける彼の名盤たちを愛聴している。時流に伴うスタイルの変遷も少なからずあったが、溢れ出んばかりの歌心とクールな精神は常に変わらず彼の音楽の中心にあり、独自の世界観を支え続けてきた。
常に最高の演奏を我々に聴かせ続けてくれたGetzだが、個人的な意見としては、死を迎えるまでの最後の十年の演奏というのは、彼の生涯に於いてちょっと特別なのではないかと思う。
80年より前のGetzは僕にとって、顔色ひとつ変えず、感情を抑えてクールにさらっと吹きこなしている、というような印象がある。どれだけハードなブロウをしていても、どこか本心を曝け出していないような感覚。でも最後の十年は少々それまでとは雰囲気が違う。今まで抑えていた内面的な感情のようなものが、一音一音の中にはっきりと読み取れるように思えるのだ。テナーの音の背景から伝わってくるメッセージの種類が、それ以前と明らかに違ってきている。変化のきっかけが何だったのか、僕らは知る由もないが、実際音を聴く限り80年代以降のGetzの音楽性に何らかの変化があったことだけは間違いない。
Getz最後の十年のスタートラインとでも言うべき作品が、本作“The dolphin”である。とにかく印象的なのは、青く澄んだ海の中をイルカが自由に泳ぎまわっているイメージを喚起させる、流麗で美しいボサノバのThe dolphin。淀み無いフレーズながら一音一音に重みがあり、サウンドの後ろ側に圧倒的なストーリー性が感じられる。晩年にようやく見せた人間臭さが、元々あった歌心とテクニックに更に深みを加え、彼の音楽をより味わい深いものに熟成させていった成果と言えるだろう。
その他にも切々と歌い上げられたバラードのA time for love 、いかにも白人らしい小粋なサウンドが光るJoy spring 、数々のテナーの巨人たちに愛されたスタンダードのThe night has a thousand eyes など、どのトラックも思わず聴き入ってしまう素晴らしい内容。
非常に充実していながら、リラックスした演奏が聴ける、Getzの晩年を代表する一枚である。
購入はこちら “The dolphine”
こちらに試聴があります “The dolphine”
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常に最高の演奏を我々に聴かせ続けてくれたGetzだが、個人的な意見としては、死を迎えるまでの最後の十年の演奏というのは、彼の生涯に於いてちょっと特別なのではないかと思う。
80年より前のGetzは僕にとって、顔色ひとつ変えず、感情を抑えてクールにさらっと吹きこなしている、というような印象がある。どれだけハードなブロウをしていても、どこか本心を曝け出していないような感覚。でも最後の十年は少々それまでとは雰囲気が違う。今まで抑えていた内面的な感情のようなものが、一音一音の中にはっきりと読み取れるように思えるのだ。テナーの音の背景から伝わってくるメッセージの種類が、それ以前と明らかに違ってきている。変化のきっかけが何だったのか、僕らは知る由もないが、実際音を聴く限り80年代以降のGetzの音楽性に何らかの変化があったことだけは間違いない。
Getz最後の十年のスタートラインとでも言うべき作品が、本作“The dolphin”である。とにかく印象的なのは、青く澄んだ海の中をイルカが自由に泳ぎまわっているイメージを喚起させる、流麗で美しいボサノバのThe dolphin。淀み無いフレーズながら一音一音に重みがあり、サウンドの後ろ側に圧倒的なストーリー性が感じられる。晩年にようやく見せた人間臭さが、元々あった歌心とテクニックに更に深みを加え、彼の音楽をより味わい深いものに熟成させていった成果と言えるだろう。
その他にも切々と歌い上げられたバラードのA time for love 、いかにも白人らしい小粋なサウンドが光るJoy spring 、数々のテナーの巨人たちに愛されたスタンダードのThe night has a thousand eyes など、どのトラックも思わず聴き入ってしまう素晴らしい内容。
非常に充実していながら、リラックスした演奏が聴ける、Getzの晩年を代表する一枚である。
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2006年01月18日
UGETSU / Art Blakey(ds) & Jazz Messengers
60年代前半のArt Blakey & Jazz messengersは、JAZZ史上に於いて屈指の高い完成度を誇ったバンドであったと言えるだろう。ハードバップの熱気、ファンキーJAZZの泥臭さ、モードの洗練とクールさ、幾つかのスタイルの過渡期だからこそ生まれ得た、様々な要素が混じり合い融合した、独特の雰囲気。その時代の波に見事に乗り切ったのが、この時期のMessengersであった。
"Mosaic"、"Caravan"、"Buhaina's delight"、"Indestructable" など、60年代前半に録音された彼らの作品には素晴らしいものが多いが、その中でも僕が特に気に入っているのが、この“UGETSU”という作品である。
本作で特筆すべきは、何と言ってもテナー Wayne Shorter(ts)の存在感だ。アルバムの約半分は彼のオリジナルで占められ、Shorterのカラーが非常に強い作品となっている。ここで披露されている彼の個性的な曲想やアレンジは、現在聴いても非常に斬新に響くもので、その後加入することになるMiles Davis(tp)バンドやWeather reportへと続いていくShorterの音楽世界の原点部分を垣間見ることが出来る。
Milesバンド以降は非常に遠くを見据えた難解なアプローチが多いShorterの演奏だが、この時期はどっしり地に足を着けながら遠くを目指すといった感じで、難解な方向に走ることなく、次の展開が予想できないような極めて個性的でスリリングなフレーズを次々と紡ぎ出していく。ShorterをフィーチャーしたI didn't know what time it was も、スタンダードのバラードながら、甘さ流されることの無い、強い攻めの姿勢が感じ取れる演奏で素晴らしい。
Shorterばかりでなく、艶やか且つ上品な音色でエネルギッシュな演奏を聴かせるFreddie Hubbard(tp)、力強く骨太なサウンドでフロントのアンサンブルに厚みをもたらすCurtis Fuller(tb)、凄まじいドラミングで若手を煽りまくるリーダーBlakeyと、各人が非常に充実していた時期であることが演奏から自ずと窺える。特にモーダルなフレーズが冴え渡るCeder Walton(p)の活躍は素晴らしく、Shorterと並んで、このアルバムでのもう一人の主役の役割を見事にこなしている。Waltonのペンによるタイトル曲UGETSU は、いかにも彼らしいモーダルで華やかさのある流麗な曲で、このアルバムのベストテイクと呼ぶに相応しい。
三管時代のMessengersは、テーマのアンサンブル・アレンジ、ソロの内容、バンドの纏まり、どの観点から捉えても非常に素晴らしいものが多い。次々と新しい手法が生まれ、それが既存のスタイルと混じり合って目覚しい発展を遂げていた60年代前半。彼らは常にその最前線にいた。「さあ、これからどこへ行こうか」という、JAZZという音楽の次のステージに対する予兆とか希望というようなものまでが、彼らの演奏からは伝わってくるのだ。それがきっと、この時期の彼らの演奏の持つ輝きの理由なのだろう。JAZZという音楽が最も激しく胎動し成長していた時代。それを象徴する一枚である。
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"Mosaic"、"Caravan"、"Buhaina's delight"、"Indestructable" など、60年代前半に録音された彼らの作品には素晴らしいものが多いが、その中でも僕が特に気に入っているのが、この“UGETSU”という作品である。
本作で特筆すべきは、何と言ってもテナー Wayne Shorter(ts)の存在感だ。アルバムの約半分は彼のオリジナルで占められ、Shorterのカラーが非常に強い作品となっている。ここで披露されている彼の個性的な曲想やアレンジは、現在聴いても非常に斬新に響くもので、その後加入することになるMiles Davis(tp)バンドやWeather reportへと続いていくShorterの音楽世界の原点部分を垣間見ることが出来る。
Milesバンド以降は非常に遠くを見据えた難解なアプローチが多いShorterの演奏だが、この時期はどっしり地に足を着けながら遠くを目指すといった感じで、難解な方向に走ることなく、次の展開が予想できないような極めて個性的でスリリングなフレーズを次々と紡ぎ出していく。ShorterをフィーチャーしたI didn't know what time it was も、スタンダードのバラードながら、甘さ流されることの無い、強い攻めの姿勢が感じ取れる演奏で素晴らしい。
Shorterばかりでなく、艶やか且つ上品な音色でエネルギッシュな演奏を聴かせるFreddie Hubbard(tp)、力強く骨太なサウンドでフロントのアンサンブルに厚みをもたらすCurtis Fuller(tb)、凄まじいドラミングで若手を煽りまくるリーダーBlakeyと、各人が非常に充実していた時期であることが演奏から自ずと窺える。特にモーダルなフレーズが冴え渡るCeder Walton(p)の活躍は素晴らしく、Shorterと並んで、このアルバムでのもう一人の主役の役割を見事にこなしている。Waltonのペンによるタイトル曲UGETSU は、いかにも彼らしいモーダルで華やかさのある流麗な曲で、このアルバムのベストテイクと呼ぶに相応しい。
三管時代のMessengersは、テーマのアンサンブル・アレンジ、ソロの内容、バンドの纏まり、どの観点から捉えても非常に素晴らしいものが多い。次々と新しい手法が生まれ、それが既存のスタイルと混じり合って目覚しい発展を遂げていた60年代前半。彼らは常にその最前線にいた。「さあ、これからどこへ行こうか」という、JAZZという音楽の次のステージに対する予兆とか希望というようなものまでが、彼らの演奏からは伝わってくるのだ。それがきっと、この時期の彼らの演奏の持つ輝きの理由なのだろう。JAZZという音楽が最も激しく胎動し成長していた時代。それを象徴する一枚である。
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2006年01月07日
Complete Live in Paris 1965 / Wes Montgomery(g)
「JAZZギター最高の名盤は?」と訊かれて、Wes Montgomeryの"Full house"を挙げる方は結構な数いらっしゃるのではないだろうか。実際僕もずっとそう思ってきた中の一人である。この音源を聴くまでは。
1965年3月、パリでのライブを収録したこのアルバム。Wesの演奏はどの時期のものを聴いても凄いと感じるが、ここに収録されているほどノリにノッて、絶好調なWesを僕は聴いたことが無い。個人的な感想としては、文句無しの名盤と謳われている"Full house"や"Smokin’at the Half Note"以上と言ってしまっても過言ではないだろう。
得意のオクターブ奏法を駆使し、手がつけられないほど自由自在に暴れまくるWesのギター。このテンション、尋常ではない。それに呼応するように、聴衆の歓声も轟音の様に凄まじい。いかに観客たちがWesの凄まじい演奏により熱狂したか。それが手に取るように伝わってくる。「最高のライブは、最高のミュージシャンと最高の聴衆が一体となって作るもの」ということを僕は常々思っているが、このライブはまさにそれを象徴したものであったのだろう。
"4 on 6"、"Full house"といった代表曲から"Impressions"、"Round midnight"、"Here's that rainy day" のようなお馴染みの曲までを、これ以上無い最高のコンディションのWesが圧倒的な勢いとテクニックで弾き倒す。筆舌に尽くし難い、鬼気迫る迫力を持った一枚である。“Full house”で競演したJohnny Griffin(ts)や、当時まだ知名度の低かったHarold Mabern(p)のキレのある素晴らしいプレイも聴き逃せないところだ。
この作品とは、学生時代に神戸を旅した際立ち寄ったJAZZ喫茶 JAMJAMで出会った。聴いた瞬間に鳥肌が立って、即座にアルバムタイトルをメモし、東京に帰ってこのアルバムを探し回った思い出がある。こんな素晴らしい作品との出会いをくださったJAMJAMのマスター、イチロウさんに感謝!今、自室で聴くこのアルバムも素晴らしいけれど、あのJAMJAMで聴いた時の衝撃は別格だった。もう一度あの店に行く機会があれば、是非この作品をリクエストしよう。
Wesの凄さ、素晴らしさを知る上では欠かすことの出来ない作品。彼のファンでこれを未聴の方には、何としても押さえておいて頂きたい一枚である。
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※memo※
全く同内容で"Solitude"や、数テイクを抜粋した"Twisted blues"というタイトルでも販売されていたようです。
こちらで試聴できます。
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1965年3月、パリでのライブを収録したこのアルバム。Wesの演奏はどの時期のものを聴いても凄いと感じるが、ここに収録されているほどノリにノッて、絶好調なWesを僕は聴いたことが無い。個人的な感想としては、文句無しの名盤と謳われている"Full house"や"Smokin’at the Half Note"以上と言ってしまっても過言ではないだろう。
得意のオクターブ奏法を駆使し、手がつけられないほど自由自在に暴れまくるWesのギター。このテンション、尋常ではない。それに呼応するように、聴衆の歓声も轟音の様に凄まじい。いかに観客たちがWesの凄まじい演奏により熱狂したか。それが手に取るように伝わってくる。「最高のライブは、最高のミュージシャンと最高の聴衆が一体となって作るもの」ということを僕は常々思っているが、このライブはまさにそれを象徴したものであったのだろう。
"4 on 6"、"Full house"といった代表曲から"Impressions"、"Round midnight"、"Here's that rainy day" のようなお馴染みの曲までを、これ以上無い最高のコンディションのWesが圧倒的な勢いとテクニックで弾き倒す。筆舌に尽くし難い、鬼気迫る迫力を持った一枚である。“Full house”で競演したJohnny Griffin(ts)や、当時まだ知名度の低かったHarold Mabern(p)のキレのある素晴らしいプレイも聴き逃せないところだ。
この作品とは、学生時代に神戸を旅した際立ち寄ったJAZZ喫茶 JAMJAMで出会った。聴いた瞬間に鳥肌が立って、即座にアルバムタイトルをメモし、東京に帰ってこのアルバムを探し回った思い出がある。こんな素晴らしい作品との出会いをくださったJAMJAMのマスター、イチロウさんに感謝!今、自室で聴くこのアルバムも素晴らしいけれど、あのJAMJAMで聴いた時の衝撃は別格だった。もう一度あの店に行く機会があれば、是非この作品をリクエストしよう。
Wesの凄さ、素晴らしさを知る上では欠かすことの出来ない作品。彼のファンでこれを未聴の方には、何としても押さえておいて頂きたい一枚である。
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※memo※
全く同内容で"Solitude"や、数テイクを抜粋した"Twisted blues"というタイトルでも販売されていたようです。
こちらで試聴できます。
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2005年12月11日
Corner stones / 佐藤竹善(vo)
皆さんには「自分の音楽の方向性を決定付けたこの一枚!」というような作品はあるだろうか?僕にとっては、この佐藤竹善の"Corner stones"というアルバムがまさにそんな一枚である。中学の時にたまたまFMラジオの番組内で特集されていたこのアルバムに出会ったことがきっかけとなり、僕の嗜好はJAZZ・FUSION方面へ誘導されることとなる。
従来までの日本のポップスとは一線を画する、洋楽色の強いハイセンスなサウンドで、確かな人気を獲得し続けてきた実力派バンド、Sing like talking。本作はそのヴォーカル、佐藤竹善のソロプロジェクトとして95年に発表された作品である。
彼の音楽的な原点である70〜80年代AORのカバーというのが主題であるが、どの曲もアレンジはJAZZ・FUSION色が非常に強い作りとなっている。特に第一線で活動するJAZZミュージシャンである土岐英史(as)と大石学(p)の全面的な参加は非常に効果的であり、バッキングや間奏のソロ内容は単なる歌モノのサポートの枠を超え、それだけでも十分に聴き応えのある内容だ。O.C.O.E のソプラノとピアノのソロなどは、尺が長く構成もしっかりしていて、思わず聴き入ってしまう。
竹善氏はChaka KhanのWhatcha' gonna do for me 、EaglesのDesperad 、Nat King ColeのStardust など、往年の名曲達を単なるカバーとしてでなく、完全に自分の世界として歌い上げている。彼は日本人ヴォーカリストの中でもトップクラスの歌唱力を持つ実力者であると言えるが、本作からはその技巧云々よりも、彼の音楽に対する強い愛情と深い造詣が本当に良く伝わってきて、その点が作品の出来の良さに繋がっている。単に歌が上手いという次元を超えた、声と言葉の裏側にある説得力と重みを、是非作品から感じ取って頂きたい。
最初の出会いから10年近く経った今もコンスタントに聴き続けている、僕の生涯の愛聴盤。この後2・3とシリーズ化される"Corner stones"であるが、その原点として是非抑えておいて頂きたい作品である。
購入はこちら Corner stones
HMVで試聴できます
なおき選定の隠れ名盤を集めたセレクトショップやってます!知られざる名盤との出会いはこちらから。
従来までの日本のポップスとは一線を画する、洋楽色の強いハイセンスなサウンドで、確かな人気を獲得し続けてきた実力派バンド、Sing like talking。本作はそのヴォーカル、佐藤竹善のソロプロジェクトとして95年に発表された作品である。
彼の音楽的な原点である70〜80年代AORのカバーというのが主題であるが、どの曲もアレンジはJAZZ・FUSION色が非常に強い作りとなっている。特に第一線で活動するJAZZミュージシャンである土岐英史(as)と大石学(p)の全面的な参加は非常に効果的であり、バッキングや間奏のソロ内容は単なる歌モノのサポートの枠を超え、それだけでも十分に聴き応えのある内容だ。O.C.O.E のソプラノとピアノのソロなどは、尺が長く構成もしっかりしていて、思わず聴き入ってしまう。
竹善氏はChaka KhanのWhatcha' gonna do for me 、EaglesのDesperad 、Nat King ColeのStardust など、往年の名曲達を単なるカバーとしてでなく、完全に自分の世界として歌い上げている。彼は日本人ヴォーカリストの中でもトップクラスの歌唱力を持つ実力者であると言えるが、本作からはその技巧云々よりも、彼の音楽に対する強い愛情と深い造詣が本当に良く伝わってきて、その点が作品の出来の良さに繋がっている。単に歌が上手いという次元を超えた、声と言葉の裏側にある説得力と重みを、是非作品から感じ取って頂きたい。
最初の出会いから10年近く経った今もコンスタントに聴き続けている、僕の生涯の愛聴盤。この後2・3とシリーズ化される"Corner stones"であるが、その原点として是非抑えておいて頂きたい作品である。
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