ステルス (2)


■ストーリー『アメリカ海軍の精鋭パイロット、ベン(ジョシュ・ルーカス)、カーラ(ジェシカ・ビール)、ヘンリー(ジェイミー・フォックス)。彼らは新型戦闘機ステルスを操縦し、新戦略プログラムの開発に取り組んでいた。そんな彼らのチームに、ある日4人目のパイロットが加わることに。しかし、空母に現れたそのパイロットとは、最新鋭の人工頭脳を搭載した、究極の無人ステルス“エディ(E.D.I.)”だった。ところが、飛行中にエディが落雷に打たれてしまう。制御不能となったエディは自我に目覚め、突如暴走を始めた!エディの行動を阻止するために、ベン、カーラ、ヘンリーが追撃に向かう。しかし、最高峰のレーダーでも探知できない究極のステルスに、苦戦を強いられる3人。彼らはエディを見つけ出し、攻撃を止めさせることができるのか。そして、人類の未来はどうなるのか!?「トップガン」から20年、ついに究極のハイスピード・スカイ・アクションが誕生した!』




本日はロブ・コーエン監督の『ステルス』です。いやはや、久々にとてつもない映画ですよ、コレは。激しいアクションとデタラメなストーリー展開のギャップが凄すぎて、観ているうちにだんだん思考が麻痺してきます。近年、ここまでやりたい放題やってる映画も記憶にありません。突っ込みどころ満載というよりも、「突っ込みどころしかない」って感じでした(汗)。


というワケで、本日はネタバレ全開でお送りします。本作を観ていない人はご注意下さい。でも、例えストーリーを全部知ってしまったとしても、この映画に関しては何の問題も無いと思いますが(笑)。

訓練飛行中に緊急事態が発生し、急遽ミャンマーの首都:ラングーンへ向かう主人公たち3人。しかし、ミャンマーの首都はヤンゴンです。冒頭からいきなり地名を間違えるというアバウトさに、先行きの不安感を隠せません。


そして、テロ組織の指導者が潜伏しているという情報を得て、いきなりそのビルを爆撃。うわ!市街地のド真ん中ですよ!?犠牲者出まくりじゃないですか!つーか、勝手によその国の建築物を破壊しちゃっていいの?国際問題ですよ!などと、序盤から衝撃シーンが炸裂してド肝を抜かれますが、こんなものはまだまだ序の口です。


任務を終えて帰還中に、雷に打たれてあっけなくコンピュータが壊れてしまいました。ハイテク戦闘機なのに、避雷針も付いていない手抜きぶりが素晴らしすぎる。


その後、エディを修理している間は暇なので、タイでのんびり休暇を取る3人。なぜ、タイなのか?それは監督のロブ・コーエンがタイ好きだからです(事実)。しかも、エースパイロットが3人いっぺんに休暇を取るなんて有り得ないだろ。普通、順番に取るんじゃないの?完全に、ジェシカ・ビールの“セクシー・水着ショット”を見せるためだけのサービスカットとなっています。あざといまでの「お色気シーン」に思わず視線が釘付けになりましたよ、トホホ。


そんなお気楽三人組がタイで“ゆるゆるのラブ・ストーリー”を満喫していると、突然「タジキスタンで移送中の核弾頭を爆破せよ」という任務が。しかし、出撃したエディがまたもや故障し、近くに住んでいる農民約1000人が巻き添えに!完全に国際問題です(泣)。


さらに、カーラの戦闘機が北朝鮮上空で操縦不能となり、やむなく脱出。カーラは北朝鮮に取り残されてしまいました。その直後に戦闘機が自爆!え?戦闘機って、ホントにこんな機能がついてるの?危ないなあ。


燃料が残り少なくなってきたベンは、ロシア上空に浮かぶ無人給油ステーションへ向かう。気球みたいな給油装置が空中にプカプカ浮かんでいる図は、もはやSFというよりファンタジーです。そもそも猛スピードで飛んでいるジェット戦闘機が、どうやったらアレで給油できるのか教えて欲しい。失速するっつーの!


暴走状態のエディを追いかけて領空侵犯したベンに対し、当然の対応としてロシアの戦闘機SU-37が攻撃を仕掛けてきた。しかし、逆に全てのロシア機を木っ端微塵に撃墜してしまう!悪いのはベンなのに!オマエは戦争を起こす気かあああ〜!!!???


その後もベンの暴走ぶりは益々ヒートアップし、完全に手が付けられない状態に!カーラを救出するために北朝鮮に乗り込み、兵士たちを片っ端から殺害してゆくベン!猛烈な爆炎に包まれる38度線の国境警備施設!ミサイルをブッ放すは、機関銃を乱射するは、もはやどっちがテロリストなのかわかりません。怖ッ!


というワケで、本作は「アメリカ軍が勝手によその国に侵入して、施設や機械を根こそぎ破壊しまくるだけの映画」です。人的被害は軽く数千人を超えるでしょう。こんなに酷いストーリーを作っておきながら、「大義名分があれば、何人殺しても一切おとがめ無し」と言わんばかりのハッピー・エンドには腰が砕けました。むしろ、”ちょっと感動的な映画”に仕上げようとしている小賢しい演出すら見受けられ、呆れ返って言葉も出ません、トホホ。


完全に「アメリカ万歳!」の視点で作られたドラマですが、さすがに当のアメリカ国民でさえも、この“やりすぎ”なストーリー展開にはついていけなかったようで、興行成績は散々な結果に終わったそうです。いかにも続編がありそうな終わり方をしていますが、ほとんど絶望的と言っていいでしょう(実際、続編の計画は中止になった)。


さて、こんなにもストーリーが酷い『ステルス』ですが、僕は星三つをつけています。理由は、「ストーリー的にはともかく、これぞ大画面で観るべき映画だ」と実感したからに他なりません。『ワイルドスピード』や『トリプルX』など、スピード感溢れるアクション映画に定評のあるロブ・コーエン監督がメガホンを取っただけあって、最新鋭戦闘機同士が繰り広げる空中戦は空前絶後のド迫力!成層圏を舞台に展開される音速のハイテンション・バトルは、未だかつて見たことも無いような凄まじいビジュアルを炸裂させています。


キメのシーンになると、いきなり視点が「ギュイーン!」と機械の中を駆け巡るという独特のカメラワークが特徴的なコーエン監督ですが、本作でも縦横無尽にカメラが動きまくっていますよ(『攻殻機動隊』の影響か?)。


更に、これまでに無いリアルな飛行シーンを映像化するために、ステルス機はもちろん、バックプレート(背景)となる山や草原や空なども全て3DCGで製作されました。これにより、まさに実写版『マクロス』とも言える驚異的なカメラワークを生み出す事に成功したのです。実は、ロブ・コーエン監督は日本のアニメが大好きで、インタビューでも「『マクロス・プラス』や『戦闘妖精・雪風』はカッコいいね〜!」とコメントしている事からも、影響を受けたと見て間違いありません。さすがに“板野サーカス”は出てきませんが(笑)。


またCGの功績だけでなく、米海軍の全面協力のもと、本物の空母を使用する許可が得られたのも大きい。そこへ、実物大のステルス戦闘機の模型を載せて撮影したそうです。さらに、空母から発進したり着艦するシーンでは巨大なミニチュアを使用するなど、リアリティにこだわったVFXは本物と見紛うばかりの物凄い臨場感!


ステルス (5)
ステルス (4)
ステルス (3)

そして、ロブ・コーエンといえば、マイケル・ベイにも負けないほどの豪快な大爆発シーンがお約束ですが、今回も観客の期待を裏切らない“とてつもない大爆発”が満載ですよ。とにかく、冒頭からドッカンドッカン常に何かが爆発しているのですから、ハンパじゃありません。僕の隣の席に座っていた小学生ぐらいの子供は、あまりの爆音にずっと耳を塞ぎっぱなしでした(笑)。


中でも最も大きな爆発シーンは、格納庫をミサイルで吹っ飛ばすシーンです。通常の5倍ものガソリンと爆薬を使用したこの爆破シーンは、計画を立てるだけで4ヶ月もかかるほど大掛かりなものでした。あまりにも大規模な爆発シーンになる事が予想されたため、「宇宙から見えるほどの大爆発が起こりますが、映画の撮影なので心配しないで下さい」と、事前にわざわざNASAから各国の政府機関へ連絡してもらったというのですから、正気の沙汰とは思えません。撮影というよりも、“ちょっとした核実験”ですよ(笑)。


撮影本番では合計14台のカメラを回し、わずか2秒間に可動すべきギミックが450も仕掛けてあるために、OKテイクを撮るチャンスはたったの1度だけというシビアさ!そんな過酷な条件をクリアして撮っただけあって、爆発の迫力は前代未聞!何人ものスタントマンが爆風に巻き込まれながら次々と吹き飛ばされていく様は、「火薬の量を間違えてるんじゃないの?」と心配になるほどの壮絶なインパクトを放っています。これぞまさしくコーエン爆発!お見事!


というわけで、本作の見所は「凄い空中戦」と「凄い爆発」と「凄いジェシカ・ビールの水着姿」の三つだけです(他にはありません)。中でも、ジェシカ・ビールはニューヨーク米エスクワイア誌による「世界で最もセクシーな女性」の調査で、堂々の1位に選ばれたほどのプロポーションの持ち主(ちなみに昨年はアンジェリーナ・ジョリーが選出されました)。同誌の11月号の表紙を飾っており、その水着姿は一見の価値有りと言えるでしょう。


ジェシカ・ビール (1)
ジェシカ・ビール (2)

それにしても、ジェシカ・アルバといい、ジェシカ・ビールといい、ジェシカと名乗る女性は皆、男を惑わす妖しいパワーを発散させているような気がしてなりません。“ジェシカ・フェロモン”と勝手に命名しました。劇場の大画面で「空飛ぶジェシカ」をご堪能下さい。但し、ストーリー的には1ミリたりともオススメできませんので悪しからず(笑)。


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