プレデター

■ストーリー『南米某国で行方を絶った重要人物奪還のためにジャングルに潜入する特殊コマンド部隊。だがゲリラを掃討した彼らを待ち受けていたのは宇宙から飛来した肉食系異星人”プレデター”だった。体を透明化させて周囲の風景に溶け込み、どこからともなく牙を向くプレデターに、隊員たちは成す術もなく次々に倒されていく。仲間を全て失った隊長シェイファーは、姿なき敵が熱に反応して攻撃してくる事を突き止め、ついに一対一の闘いを挑むのだった!』

いよいよ今週末に公開が迫ったロバート・ロドリゲス製作総指揮の『プレデターズ』。そのオリジナル版第1作『プレデター』が本日テレビ放映されていたので久しぶりに観てみましたよ。

『プレデター』の監督は、もはや説明不要の傑作アクション映画『ダイ・ハード』を撮ったジョン・マクティアナンですが、この当時は『ノーマッズ』というサスペンス映画を一本撮っただけのほとんど無名に近い状態でした。そんな彼に目を付けたのが「派手な映画なら俺にまかせろ!」でお馴染みの敏腕プロデューサー:ジョエル・シルバーです。


ジョエル・シルバーといえば、『48時間』『ストリート・オブ・ファイヤー』『リーサルウェポン』『コマンドー』『ダイ・ハード』『マトリックス』などなど、そのタイトルを並べただけでわかる通り、常に一貫したポリシーを貫き世のボンクラたちのハートを熱くさせる映画ばかりを作り続ける”ブレない男”です。自分のポリシーに固執するあまり、時々『ハドソンホーク』とか『スピード・レーサー』などトンチンカンにも程がある映画を作ったりもしますが、全く気にしている様子はありません。


また、似たような路線のジェリー・ブラッカイマーと比較されることも多いのですが、ブラッカイマーの映画が「派手なだけで中身が無い」のに対し、シルバーは「派手で面白い映画」を作っている点も評価されているポイントだと思われます。近年も『ザ・ウォーカー』や『シャーロック・ホームズ』など精力的に映画を作り続けているようですが、デリカシーに欠ける言動が災いし、多くの業界関係者からは嫌われているようです、トホホ。


そんなシルバーから『プレデター』の監督を依頼されたジョン・マクティアナンは、当然の如く様々な苦難に直面します。なんと、撮影が目前まで迫っているにもかかわらず、肝心のプレデターのデザインが全然決まっていなかったのですよ!仕方が無いので先にプレデターが出ないシーンを撮影することになったマクティアナン監督(映画の前半は全くプレデターが出てこない)。そして撮影開始から数日後にようやくプレデターのスーツが届いたものの、トカゲの出来そこないみたいなカッコ悪いデザインにびっくり仰天!「こんなもん使えるか!」と激怒した監督はダンボール箱にスーツを詰めて送り返してしまったそうです。


その後、別のデザイナーとして急遽スタン・ウィンストンが雇われましたが、絶望的に時間がありません。やむを得ず、移動中の飛行機の中でデザインを考えるハメになってしまいました。ところが、その飛行機にたまたまジェームズ・キャメロンが乗っており、スタン・ウィンストンが悩んでいる姿を見て、「こういうデザインにしたら?」とアドバイスしたとの事。こうして「なんてブサイクな顔なんだ!」とシュワルツェネッガーも絶賛するほど凶悪なプレデターのデザインが出来上がったそうです(もちろんクレジットにキャメロンの名前は無い)。


また、本作はプレデターのデザインだけでなく、脚本をチェックする時間すらも無かったようです。そのため、『リーサルウェポン』や『ラストボーイスカウト』の脚本を書いたシェーン・ブラックが特殊部隊隊員の一人(ホーキンス)として撮影に参加し、現場でシナリオを直しながら撮影したらしい(物凄い強行スケジュールだなw)。

ちなみに、プレデターの中の人は「新人時代のジャン・クロード・ヴァンダムである」という噂が昔から映画ファンの間で都市伝説のように囁かれていましたが、実際はケビン・ピーター・ホールという黒人のスーツアクターが演じていたそうです。ヴァンダムはNGになった最初のスーツを着る予定だったものの、スーツがボツになったと同時に本人もクビになったとのこと。ヒドい話だなあ。

※厳密に言うと、ヴァンダムは2日間だけNGのスーツを着てスタントをこなしたらしい

関連記事
『プレデターズ』
『エイリアンVSプレデター』
『エイリアンズVSプレデター』