ルパン三世 カリオストロの城

本日「金曜ロードショー」で『ルパン三世 カリオストロの城』が放映されます。「ルパンって何回放送してんだよ?」と思うぐらい繰り返しテレビで見ている印象がありますが、初放送は1980年12月17(この時はまだ「水曜ロードショー」だった)。以来、数年毎に再放映され続け、今回で通算13回目になるらしい。宮崎駿監督の劇場用初監督作品である本作は、公開当時は注目されなかったものの、その後評価が高まり、今では傑作アニメとして多くのファンを獲得しています。

『カリオストロの城』は予算的にもスケジュール的にも非常にタイトだったことで有名ですが、映像クオリティは極めて高く、全編に渡って宮崎監督のこだわりが炸裂しています。中でも特筆すべきは背景美術の素晴らしさ!


映画が公開された当時は、アニメの背景は記号的で書き割り風のものが多くを占めていました。しかし『カリオストロ』の背景は非常に写実的で、リアリズムに溢れ、多くのアニメファンを驚愕させたのです。美術監督の小林七郎さんは、舞台となる建物や壁の質感を表現するために、スポンジを使用した従来の技法を使わず、線画に筆でタッチを入れる技法を開発しました。


しかも、出来上がった背景画を宮崎監督が隅から隅まで厳しくチェックし、少しでも気に入らない個所があれば描き直させていたそうです。そのため、小林さんとの間で衝突が絶えず、何度も「やってられるか!もう降りる!」とカットを床に叩きつけたことがあったらしい。それぐらい宮崎さんの要求がきつかったわけですけど、結局小林さんはプロとして最後まで宮崎さんの要求に応え続けたそうです。


また、カリオストロ公国のモデルは西ヨーロッパの「リヒテンシュタイン公国」とされていますが、宮崎監督は物語の舞台として地中海のリビエラをイメージしていました。しかし、当時は西欧の建物や風景について詳しくなかった宮崎さんは、あるルールに従ってストーリーを考えていったそうです。


「城の内部を描くにあたって自分にルールをひとつ課しました。それは、同じ場所を必ず二度登場させるということです。物語の中で、登場人物は必ず同じ場所へと戻っていくようにしたんですよ。まるでゲームを作るのに近い作業でしたが、『湖が二つあって、城があって、そこにローマ水道があって・・・』という具合に設定を考えていくにつれて、『よし、これで映画が作れるぞ!』と確信したんです。ただ、今はもうちょっと上手く作ればよかったなと思いますけどね(笑)」(「Cut」2009年12月号より)


その他、『ルパン三世 カリオストロの城』に関する製作裏話的なエピソードは以下の記事にまとめてありますので、興味がある方はご覧ください。↓


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