キングスマン

■あらすじ『高級テーラー“キングスマン”で仕立て職人として働く英国紳士のハリー・ハート。その正体は、どの国家にも縛られることなく秘密裏に正義を遂行する国際的なスパイ組織“キングスマン”のエース・エージェントだ。ある日、エージェントの一人が何者かに殺害され、その欠員を補充するためハリーは、貧困地区で無軌道な生活を送っていた若者エグジーをスカウトする。彼の父はキングスマンのエージェントで、17年前、その自己犠牲的行為でハリーを救った命の恩人だったのだ。こうしてエグジーは、父の後を継ぐべくキングスマンの過酷な新人試験に挑むことに。一方ハリーは、天才IT富豪のリッチモンド・ヴァレンタインが進めていた恐るべき陰謀の謎を追っていくが、衝撃の結末が彼を待ち受けていた!「キック・アス」のマシュー・ヴォーン監督と原作者のマーク・ミラーが再びタッグを組み、「英国王のスピーチ」の名優コリン・ファースを主演に迎えて贈る痛快バイオレンス・スパイ・アクション!』



※ちょっとだけ追記しました。



『キック・アス』のマシュー・ヴォーン監督最新作と聞いて、さっそく『キングスマン』を観に行って来ましたよ。結論から言うと「面白かった!」です。相変わらず、アクションと音楽の使い方がキマっていて、大笑いしながら鑑賞しました。


実は僕、『キック・アス2』にはあまりノレなかったんですが、この映画は良かったですねえ。評価としては、『キック・アス』 > 『キングスマン』 > 『キック・アス2』みたいな感じかなあ。古き良きスパイ・アクション映画を現代風にアップデートした内容がグッドでしたよ(^O^)/

まず良かった点から書くと、「メガネとスーツをビシッと着こなした英国紳士が無類の強さで敵をやっつける」という設定がいい!007のジェームズ・ボンドもカッコいいんですけど、基本的に女にモテるじゃないですか?つまり「男として魅力があり、最初から強そうに見える」んです。


それに対してコリン・ファースが演じるスパイは、「一見すると礼儀正しくて真面目なサラリーマン風の男が、実はムチャクチャ強かった」という意外性がいいんですよね。最近の例で言えば、『96時間』のリーアム・ニーソンみたいに、「冴えない中年オヤジがド派手なアクションを繰り広げる」ってパターンですよ。これは燃える!


しかもそのアクションが本当に凄まじい!あの〜、『キック・アス』を観た人ならご存知の通り、人間の手足がバンバン千切れ飛ぶような血みどろの地獄絵図が、ポップで楽しい音楽に乗せて延々繰り広げられるという、毎度お馴染みの悪趣味な映像がテンコ盛りなわけです(^_^;)


これ、マシュー・ヴォーン監督を知らない人や、『キック・アス』を観たことない人が予告編だけ見て劇場へやって来たらビックリするんじゃないですかね?あまりにも表現がグロすぎて。まあ、一応R15指定になってますけど……どうなんだろ?


ただ面白いのは、そういうグロい表現が、一部自主規制みたいになってるところです。それは「悪い奴によって体内に装置を仕掛けられた人間の頭部が木っ端微塵に爆裂する」というシーン。要は『スキャナーズ』のアレなんですが…。↓


SCANNERS

さすがのマシュー・ヴォーン監督も「アレをリアルにやるのはマズい」と思ったのか、特殊な処理が施されているのです。どんな風になっているかは実際に映画を観て確認してもらいたいんですけど、まあバックに流れる音楽も含め、色々ヒドいですよ。悪意に満ち溢れてて(笑)。

その悪意が頂点に達する名(?)場面が”教会での大殺戮シーン”でしょう。敵のボス(サミュエル・L・ジャクソン)が無料配布している特殊なSIMカードを入れたスマホから「人間を凶暴化させる電波」が発信され、大勢の人間が殺し合いを始める、という場面です。このシーンの凄まじさたるや、まさに人体破壊見本市!


ナイフで手足を切り裂き、オノで脳天をカチ割り、折れたイスの脚で喉を貫き、あたりかまわず銃を乱射し、弾が尽きたら銃を分解してスライド部分を目玉に突き刺すなど、「よくこんなに人殺しのバリエーションを思い付けるなあ」と感心するぐらい色々な殺戮パターンを繰り出しています。


しかもその時に流れているBGMがレーナード・スキナードの『フリー・バード』という曲なのですが、このバンドは昔からアメリカ南部の白人たちにとても人気があるらしいんですね。で、そのバンドの代表曲を、アメリカ南部の白人たちが皆殺しにされるシーンで流し続けるっていう、酷い嫌がらせをしてるんですよ(笑)。なお、劇中で流れるのはギターソロの部分です。↓



基本的に、マシュー・ヴォーン監督の作風を一言で述べるなら、「バイオレンス・アクションと不謹慎な笑い」ってことになると思います。なので笑える人はいいんですが、そういうのが受け入れられない人はちょっと合わないかなあと(^_^;)

それから、色んな秘密兵器が次々と登場してたのも面白かったですねえ。つま先から鋭い刃が飛び出す「毒ナイフ付き革靴」や「毒薬入りのペン」みたいなレトロなスパイグッズの他に、「他人の記憶を消去する腕時計」や敵に5万ボルトの電流を流す「スタン・リング」のような近未来的アイテムなど、スパイ映画ならではの楽しいグッズが満載でした。


中でも、一見すると高級紳士傘のように見える特殊銃、通称「ガンブレラ」が良かったです。米ソ冷戦時代は実際にこういった「仕込み銃」みたいなものが開発・使用されていたそうですが、本作では高強度ケブラー製の傘で弾丸を跳ね返し、裏側に設置された超薄型ディスプレイで敵を照準するなど、完全なハイテク兵器と化しています。


なお、小説や漫画やアニメ(『ブラック・ラグーン』のロベルタ)などでは昔からこういう傘は登場してたんですけど、実写では『キングスマン』が初めてなのかな?と思ってたんですよ。ところがなんと、日本の『ゴスロリ処刑人』という作品ですでに実写化されていたことが判明!


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使い方も『キングスマン』と全く一緒で、「傘で防御しながら敵を狙って銃を撃つ」というガンアクションをそのまま映像化していました。しかも『ゴスロリ処刑人』の傘はマシンガンのように連射ができるんですよ!『キングスマン』は単発なのに凄いなあ(でも、弾倉はどこにあるんだろう?)。


●『キングスマン』
ガンブレラ

●『ブラック・ラグーン』
ロベルタ

●『ゴスロリ処刑人』
ゴスロリ処刑人

あとは、敵のボスの用心棒として”ガゼル”という女の殺し屋みたいなのが登場してるんですけど、この女の両脚が義足になってて、先端に鋭い刃が装着されているのです。この武器を使って繰り出される足技の数々が素晴らしく、たった一人で襲い来る敵の首を切り落とし、胴体を真っ二つに切り裂く無敵の殺傷力を見せ付ける場面は必見と言えるでしょう。


あ、それから冒頭のシーンで『スター・ウォーズ』のルーカ・スカイウォーカーことマーク・ハミルがチョイ役で出演していました。最初全然気付かなくて、「どこかで見たことあるな…」と思いつつ、エンドロールで「あ!マーク・ハミルか!」と(笑)。ちなみに敵のボスはジェダイのメイス・ウィンドゥです(^.^)


というわけで、概ね満足できる内容だったんですけど、ちょっと終盤の展開がね……どうかな?っていう部分があるんですよ。ネタバレになるので詳しくは書きませんが、要はコリン・ファース演じるハリーと、タロン・エガートン演じるエグジーの関係性をもっと深めるような描き方をした方が良かったんじゃないかなあと。


もちろん、本作は『007』シリーズよりも更に荒唐無稽なスパイ・アクションなので、深いドラマ性は必要ないという意見もあるかもしれませんが、ああいう展開になるならその辺を丁寧に見せた方がいいのでは?と思った次第です。映画自体は良く出来ていてオススメですよ(^O^)/

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