善悪の屑

先日、派遣型マッサージ店従業員に乱暴したとして、俳優の新井浩文容疑者が強制性交の疑いで逮捕され、TV局や映画関係者が対応に追われていますが、とうとう主演映画の『善悪の屑』が公開中止になったようです。ああ〜…(-_-;)

『善悪の屑』は、渡邊ダイスケ氏の原作漫画を実写化した作品で、累計350万部を誇る人気コミックであることからファンの期待もかなり高く、今年の公開に向けて準備を進めていました。

しかし新井容疑者の逮捕を受け、配給元の日活は「捜査状況を確認しながら今後の対応を検討する」との見解を公式サイトに掲載。そして昨日、正式に「公開中止の決定」を発表したのです。

”公開中止”とは「撮影した映画が誰の目にも触れられないまま封印される」こと。つまり、”お蔵入り”というわけで、制作会社や役者やスタッフの悔しさと無念さがどれほどのものか想像もつきません。

また、公式サイトも「応援いただいておりました皆さま、本当に申し訳ございません」と謝罪し、原作者の渡邊ダイスケ氏も「励ましのコメント、応援のメッセージを頂きまして感謝しています」とツイートしていました。

さらにこの日、新井容疑者が出演し昨年公開された映画「SUNNY 強い気持ち・強い愛」のブルーレイとDVDの発売延期が発表され、NHKの上田良一会長も定例会見で、NHKオンデマンドで10番組の販売を停止したことに「大変残念」と言及。損害賠償請求については「現在検討している」とのこと。

おそらく今後は、この”損害賠償”が争点になるかと思いますが、新井容疑者出演作品の公開や放送が、延期または中止になることについての損害賠償額は、5億円を超える可能性もあるらしいのですよ。

作品が“お蔵入り”になった場合は、公開していたらあったはずの売り上げを請求する”営業補償”を求めることになります。

金額は作品ごとに異なりますが、新井容疑者の仕事は非常に多く、ドラマ放送や配信中止、延期、DVD発売延期、ネットCM配信停止などを合わせると5億円を超えるんじゃないか?と言われているそうです。

というわけで、現在映画関係者は対応に追われてエラいことになっているようですが、どうも近年、こういう不祥事が続いているような気がするんですよねえ。

記憶に新しいところでは、2017年6月2日に橋爪功の息子で俳優の橋爪遼が覚せい剤取締法違反所持の現行犯で逮捕され、出演作『たたら侍』が公開中止に追い込まれました(その後、出演シーンをカットして再上映)。

そして同年の6月8日には、写真週刊誌に未成年との飲酒、不適切な関係を報じられた俳優の小出恵介が事実と認め、所属事務所が活動停止を発表。上映中の『愚行録』が公開中止になったのです。

同じく、小出恵介が榮倉奈々や安田顕らと共に出演した『家に帰ると妻が必ず死んだふりをしています』も、当初は2018年春公開とされていましたが、2018年初夏に公開延期。

その間に、『逃げるは恥だが役に立つ』で注目を浴びた大谷亮平が小出の代役として出演することが発表され、再撮影及び再編集を経て無事に公開されました。

また、5月12日には芸人のガリガリガリクソンが酒気帯び運転で大阪府警に逮捕され、数カット出演していた実写版『銀魂』が配役を変更して再撮影したそうです。

さらに、2016年8月23日には、女優・高畑淳子の息子の高畑裕太が、映画の撮影のために滞在していたビジネスホテルの女性従業員に性的暴行を加えたとして、強姦致傷容疑で群馬県警に逮捕される事件が勃発。

この時撮影していた映画『青の帰り道』は、高畑の逮捕によって撮影中止を余儀なくされました。しかもその時点で、すでに全体の7割以上を撮り終えており、「撮り直しする予算もない」などの理由で”お蔵入り”の可能性が濃厚だったらしい。

しかし監督やプロデューサー、及び出演者たちの「絶対に公開しましょう!」との熱意によって、何とか再撮影にこぎつけたのです。

とはいえ、代役を含むキャスト・スタッフの再手配や予算、各所への信用の問題など、直面した壁は途方もなく高かったそうです。

「高畑裕太が逮捕された時点で大部分を撮り終えていた『青の帰り道』は、予算をほとんど使い切っていたため、大変な苦労を強いられました。スタッフは監督の友人や知り合いなどをかき集め、スケジュールはわずか1週間ほどの強行撮影ですから、現場はもうバタバタですよ」(映画業界関係者)

「エキストラは全員ボランティアで交通費も自腹です。当然、食事もロケ弁なんか出るはずもなく、市販のうどんでした。おまけにスケジュールが無いもんだから、朝から晩までぶっ通しで撮影が続いて…。参加者の一部からは不満の声もあがっていましたよ」(エキストラのひとり)

結局、若手人気俳優・戸塚純貴を高畑の代役に起用し、厳しい撮影を全員で乗り切り、2017年8月13日に悲願のオールアップを迎えました。

「再撮影ができた一番の要因は、監督を中心としたキャスト・スタッフの『絶対に撮り切る』という気持ち。製作委員会の方々も『なんとか、撮ってくれ!』と言ってくださっていて。本当に純粋な気持ちが原動力でした。そして監督やメインキャスト7人が、友情で支え合ってきたんです。だからこそ完成したと思っています」(伊藤プロデューサー)

こうして、2018年12月に無事公開された『青の帰り道』は、主演を務めた真野恵里菜が完成披露上映会の席で号泣するなど、色んな意味で忘れられない作品になった模様。まあ、お蔵入りにならなくて良かったですねえ(^.^)

ちなみに海外では、2017年10月にケヴィン・スペイシーが「当時14歳の俳優にセクハラを行っていた」と報道され、すでに撮影が完了していた映画『ゲティ家の身代金』の公開が危ぶまれました。

その時点で公開まで1カ月しかなかったため、「お蔵入りになるのでは…?」との声も上がっていたようですが、監督のリドリー・スコットは「撮り直そう!」と即決。

すぐにクリストファー・プラマーを代役に立て、ケヴィン・スペイシーが出演していた全てのシーンを、なんとたったの9日間で撮影し直してしまったのです。そして、映画の公開後にリドリー・スコット監督は以下のようにコメント。

ケヴィン・スペイシーが何をやったとしても、俳優として素晴らしいことは事実だ。確かに許されないことをしたが、だからといって作品まで殺してはならない。芸術家の行動や私生活と作品は、切り離して考えるべきだ。

俳優の不祥事によって映像作品が様々な影響を受けることも多い昨今ですが、「作品に罪はない」というリドリー・スコット監督の言葉は重いですね。


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