バック・トゥ・ザ・フューチャー

どうも、管理人のタイプ・あ〜るです。

本日、NHKのBSプレミアムで『バック・トゥ・ザ・フューチャーPART2』が放送されます(ちなみに先週はPART1、そして来週はPART3が放送予定)。

まあ、内容については皆さんよくご存知でしょうし、今さら僕が「スゲー面白い映画ですよ!」などと言ってもあまり意味がないと思うので(笑)、本日は制作裏話をいくつかご紹介しますよ。

『バック・トゥ・ザ・フューチャー』の「デロリアン」は、製作上の問題を解決するべくロバート・ゼメキス監督が自ら持ち込んだアイデアだったそうです。 

当初の脚本では、ドク・ブラウンが発明した次元転移装置(フラックス・キャパシター)は大型の冷蔵庫に設置されていました。

しかしゼメキス監督は、「これをどうやって物語に活かしていけばいいんだろう?動かし回すのに沢山の輸送手段が必要になるんじゃないか?」と悩んでいたらしい。

そしてついに、「そうだ!自動車に設置してモバイル(可動式)にしてしまえばいいんだ!」というアイデアにたどり着きます。同時に「デロリアン」を採用することも決定(ステンレス・ボディとガルウイングドアを見て”宇宙船と間違える”というジョークをやりたかったため)。 

ところが製作が始まる直前、ユニバーサルスタジオのプロダクト・プレイスメント部門に勤めるスタッフが「もし自動車をマスタングに変えたら、フォードは7万5千ドル支払うらしいぞ」と脚本家のボブ・ゲイル氏に持ち掛けたそうです。

つまり、タイアップすることでメーカーから宣伝費が入り、さらに自動車本体も提供してもらえるという非常にオイシイ話なのですよ。

しかし、これに対してボブ・ゲイルは 「ドクがマスタングなんかに乗るわけないだろ!」と猛反発。こうして、タイムマシンはデロリアンになったのでした。

ただ実際に撮影が始まると、「デロリアンは『ジョーズ』の鮫のように非協力的なマシーンだった」ということに、ゲイル氏とゼメキス監督は気付いたそうです。

「映画の中ではカッコ良く見えるけど、パフォーマンスは本当に最悪だった」「何度も立ち往生するわ、色んなパーツが撮影中に壊れるわ、その度に修理工が直してくれるのを待たなくてはならなかった」とのこと。 

その一方で、デロリアンの苦労とは比べものにならないぐらい、もっと大きな問題が起こっていました。それはキャスティングに関する問題です。

なんと撮影開始から5週間以上経っても、主役を演じていたエリック・ストルツが全く物語に馴染んでいなかったのですよ。それは、現場の誰の目にも明らかでした。 

もともとゼメキス監督とボブ・ゲイルは、当初からマイケル・J・フォックスの出演を希望していたのですが、当時ユニバーサルスタジオの社長だったシド・シャインバーグが『マスク』で感動的な演技を披露したエリック・ストルツを猛プッシュ!

シャインバーグは自信満々に「ストルツを絶対に起用する!」と一歩も引かず、難色を示すゼメキス監督やゲイルに対して、「もしストルツがダメだったら、別のキャストで再撮影すればいいじゃないか」とまで言い放ったのです。 

こうして二人は、シャインバーグの強引な説得に根負けし、気が進まないままエリック・ストルツを主人公として撮影を開始したのですが…

その6週間後、ゼメキス監督はストルツと1対1で向き合い、非常に好ましくない報告をするはめになってしまいました。この時の状況を、ゼメキスはトム・ション氏の著書『Blockbuster』の中で次のように告白しています。

僕の人生の中で、最も苦痛でタフなミーティングだった。完全に自分の責任だ。エリック・ストルツの心を傷つけてしまったんだ。

こうしてストルツは降板。さらに5週間分の撮影をムダにした上に、完成へ向けてのピッチを急速に上げなければならない状況に追い込まれてしまったのです。

そして、スタジオはマイケル・J・フォックスに再度オファーを出しました。もともとマイケルがレギュラーを務めている『ファミリータイズ』のスケジュールと被っていたため出演は断られていたのですが、それを承知で改めて依頼したのです。

マイケルの事務所の社長は「もしこのオファーを受けたら、寝る時間もないほど忙しくなるぞ」と忠告しました。しかしマイケルは脚本をとても気に入り、「睡眠?僕はまだ22歳だよ。何のために眠らなきゃならないんだ?」と出演を快諾。

こうして『バック・トゥ・ザ・フューチャー』の主人公はマイケル・J・フォックスに決まったのですが、それから3カ月半の間、彼の毎日は以下のようなとてつもないハードスケジュールだったそうです。

毎朝9:30に運転手が僕を迎えにきて、パラマウント・ピクチャーズへと連れていき、昼間はその週のドラマ(『ファミリータイズ』)のリハーサルをする。夕方の17:00に通し稽古を終え、18:00にはまた別の運転手が迎えに来て、僕をユニバーサルスタジオか、あるいはどこか遠くのロケ現場へと連れていき、翌日の明け方近くまで『バック・トゥ・ザ・フューチャー』の仕事をするんだ。

その後、僕は製作会社のクルマの後部に、枕とブランケットをもって這いずり込み、また別の運転手が僕を家まで送って行く。時には僕を文字通り部屋まで運んで、ベッドに降ろしていくこともあったよ。そして夜が明けるまでの2〜3時間だけ睡眠をとり、朝になったらコーヒーを沸かし、シャワーを浴びて僕を“再始動”させるんだ。また同じプロセスをスタートするためにね!

月曜日から金曜日まではこのようなスケジュールで、さらにドラマの撮影がない土日は朝からガッツリ『バック・トゥ・ザ・フューチャー』を撮っていたという。つまり3カ月半休み無し!

聞いただけでゲッソリするようなブラックすぎる仕事ぶりですが、当時のマイケルは(体はしんどいものの)毎日楽しく演技に打ち込んでいたそうです。

そして『バック・トゥ・ザ・フューチャー』は完成し、いよいよ上映開始!公開1週目でボックスオフィスの1位に輝き、2週目にはさらに多くの興行収入をもたらしました。

こうしてこの映画は、『ランボー』『ロッキー4/炎の友情』『コクーン』『ブレックファスト・クラブ』、さらにはスピルバーグ製作のもう一つの期待作だった『グーニーズ』も下して、1985年の最高興行収入作品となったのです。

『バック・トゥ・ザ・フューチャー』の主人公といえば、今ではもうマイケル・J・フォックス以外に考えられないんですが、撮影時には色々ゴタゴタしてたんですねえ。マイケルがオファーを受けてくれて本当に良かった(^^;)