ジェミニマン

どうも、管理人のタイプ・あ〜るです。
全国の劇場で上映中の『ジェミニマン』を観て来ました。

682スクリーンで大々的に公開された本作は、土日2日間で動員10万人、興収1億4000万円をあげましたが、これは最終興収17.6億円を記録した『スーサイド・スクワッド』(2016年)の興収比35.9%とのことで、かなり厳しいスタートになっている模様。

そして海外の成績はもっと厳しく、北米で2050万ドル(約22億2500万円)を下回るオープニングで幕開けした後に中国で公開されたんですが、こちらも2100万ドル(約23億円)にとどまり、悲惨な結果となってしまいました。

一応、全世界規模では約1億1800万ドル(約128億円)を稼いでいるものの、同作の制作費は1億4000万ドル(約152億円)といわれており、その上マーケティング費用として少なくとも1億ドル(約109億円)が追加されるため、全く利益は出ていません。

このため関係者の間では、「『ジェミニマン』は少なくとも7500万ドル(約80億円)以上の赤字を出して劇場公開を終えることになりそうだ」との噂が流れているらしい。う〜む…

そんな、悪い印象が先行している『ジェミニマン』ですが、果たしてどんな映画なのでしょうか?ざっくり所感を書いてみますよ(ネタバレはほぼ無し)。



あらすじ「伝説的な暗殺者ヘンリーが政府の極秘ミッションを遂行した後、何者かに襲撃され、巨大な陰謀に巻き込まれていく様を描いた近未来エンターテインメント!『パイレーツ・オブ・カリビアン』シリーズや『アルマゲドン』のジェリー・ブラッカイマーがプロデュースし、『ライフ・オブ・パイ/トラと漂流した227日』のアン・リー監督とウィル・スミスが待望の初タッグを組み、120フレーム撮影や最新の3D技術を駆使し、<誰も見たことの無い未知の映像体験>の実現を目指したSFアクション超大作!」


ウィル・スミスといえば、2000年代初頭から『アイ,ロボット』(2004年)、『最後の恋のはじめ方』(2005年)、『幸せのちから』(2006年)、『アイ・アム・レジェンド』(2007年)、『ハンコック』(2008年)など毎年新作映画を公開し、常に大ヒットを連発してきました。

その後に4年間の休暇を取り、2012年に人気シリーズの続編『メン・イン・ブラック3』で戻って来たのですが、スーパーヒーロー映画やリメイク作品が市場に溢れていたため、ハリウッドを代表するドル箱スターと言えどもヒット作を生み出すのは容易ではなかったようです。

それ以降、『アフター・アース』、『フォーカス』、『コンカッション』、『素晴らしきかな、人生』などの映画に出演するも、芳しくない評価を受けた挙句、興行収益でも残念な結果しか出せずに終わってしまいました。

他の劇場公開作は、人気キャラクターが中心となる『スーサイド・スクワッド』と実写映画版『アラジン』で、この2作が『メン・イン・ブラック3』以来の大ヒットとなりましたが、残念ながら両作ともにスミスの単独主演作ではありません。

つまり、『ジェミニマン』はウィル・スミスにとって久しぶりの超大作主演アクション映画になるわけですが……いや〜、どうなんだろうなあコレ(^^;)

本作の感想を一言で言うならば、「ものすごく普通のSFアクション映画」って感じですかね。

「自分のクローンと戦う」という基本設定は”平凡”を通り越して”古臭い”レベルにまで達しているし、メッセージにも特に目新しさは感じないし、ストーリーも「あっと驚く意外な展開」など一切なく、ほぼ想定通りのエンディングを迎えます。

一方、アクションシーンは中々見応えがあり、序盤の銃撃戦やバイクチェイス、ウィル・スミス同士の格闘バトル、さらにクライマックスのガンアクションに至るまで、割と迫力がありました。

中でも注目すべきは「若いウィル・スミス」との対決でしょう。メイクや別の俳優を使うのではなく、CGで本人を若返らせる手法は近年増えていますが、それの最新版ということで(場面によっては不自然に見える部分があるものの)、「ついにフルCGのキャラをここまでリアルに描けるようになったか!」と感心しましたよ。

そんなわけで、「話の内容は大したことないけど、シンプルな展開で分かりやすいし、アクションは悪くないし、CGのウィル・スミスもよく出来てるし、全体的にはまあまあじゃね?」って感じなんですが……

とは言え、「他の人に胸を張ってオススメできますか?」と問われれば「え?イヤ、そこまではちょっと…」みたいな(笑)。ぶっちゃけ、あまりにも普通すぎて、観終わって何も心に残らないんですよねえ(^^;)

じゃあ、なぜ今さらアン・リー監督がこんな映画を撮ったのか?っていうと、本作は「3D + HFR 120fps」という最新の映像技術を駆使している点が最大の特徴なんですよ。

これは、通常の映画が1秒24フレームで撮影されているのに対し、なんと1秒120フレームという5倍のハイ・フレーム・レート(HFR)で撮影した画期的なテクノロジーなのです。しかも3Dなのでさらに情報量が割り増しに!

アン・リー監督が「通常の35倍もの情報量で史上最高の没入感&臨場感を実現し、普通なら見えない、激しい動きの細部までクッキリ見える。ぜひ空前絶後の劇場体験を味わって欲しい」と豪語していることからも分かるように、「この技術を見せたいために『ジェミニマン』を撮った」といっても過言ではないでしょう。以下、監督のコメントより。

私たちはただ良い映画を作っているのではなく、映画史を塗り替えるほどの新しいコンセプトを実現しようとしているのだ。私たちはサイレント映画、サウンド映画、そしてカラー映画を体験してきたが、この映画はさらに別の次元へ突入しようとしている。今までの常識を覆す素晴らしい映像体験になるだろう。

このように、アン・リー監督はかなりの自信を持っているようですが……だがしかし!

本作は非常に特殊な上映形式であるが故に、現段階では1秒120フレームのHFR 3Dに対応している劇場は世界中を探しても極めて数が少なく、日本では埼玉県の「MOVIXさいたま」、大阪府の「梅田ブルク7」、福岡県の「T・ジョイ博多」の3館しかありません。

すなわち『ジェミニマン』は、その3館で観なければ「本来のポテンシャル」を完全に味わうことが出来ないのですよ。うおおお〜、なんてこった…!

そんなわけで、24fps版しか観ていない僕のレビューは、この映画の魅力を十分に伝え切っているとは言い難いため、可能であれば「3D + HFR 120fps」に対応した劇場でご覧ください(まあストーリーはアレですけどねw)。

なお、実際に「3D + HFR 120fps」で観た人の意見によると「映像がリアルすぎてヤバい」「目の前に本物の風景が広がっているような錯覚に陥る」「映画と現実の区別がつかない」など、かなり凄まじいビジュアルを体験できるようです。う〜ん、気になるなあ…(^^;)