ターミネーター:ニュー・フェイト

どうも、管理人のタイプ・あ〜るです。
現在全国の劇場で公開中のシリーズ最新作『ターミネーター:ニュー・フェイト』を観て来ました。

8日から全国808スクリーンで公開された本作は、土日2日間で観客動員33万人、興収4億7000万円を稼ぎ出し、ランキング1位を獲得したそうです。やはり日本でのターミネーター人気は根強いですね〜。

ただし、この成績は2015年に公開され、最終興収27.4億円を記録した5作目『ターミネーター:新起動 ジェニシス』の興収比90.9%という微妙な数字で、「今回は25億円程度かも…」と言われているらしい。

アメリカでの状況はさらに厳しく、北米における初日興行収入は当初「4,000万ドル(約43億円)以上はいくだろう」と見込まれていたにもかかわらず、たったの1,060万ドル(約11億円)しか稼げず大撃沈!

『ターミネーター:ニュー・フェイト』の製作費は1億9,600万ドル(約212億円)と言われており、専門家の分析によると「このままでは約156億円の赤字になるかもしれない」とのこと。

こうした状況に対して米経済誌フォーブスが「『ターミネーター:ニュー・フェイト』はこの世の終わりのような爆死を遂げた」と報じるなど、早くも失敗作のレッテルを貼られている模様。う〜ん…

そんな『ターミネーター:ニュー・フェイト』ですが、果たしてどんな内容なんでしょうか?ざっくり所感を書いてみますよ(ネタバレなし)。



あらすじ「ある日、未来から来たターミネーター“REV-9”(ガブリエル・ルナ)が、メキシコシティの自動車工場で働いている女性ダニー(ナタリア・レイエス)に襲い掛かる。ダニーは謎の女性兵士グレース(マッケンジー・デイヴィス)に助けられ、 何とか工場から脱出。そして彼らをしつこく追跡するREV-9の前に、サラ・コナー(リンダ・ハミルトン)が現れた。果たしてダニーたちの運命は…?未来を守るためにターミネーターに立ち向かう人々の姿を描き出す人気SFアクションシリーズ最新作!」


『ターミネーター2』の正当な続編である本作のウリは、なんといってもジェームズ・キャメロンの参加と、サラ・コナー役であるリンダ・ハミルトンの28年ぶりのカムバックでしょう。

キャメロンは監督ではなく、脚本とプロデュースですが、それでも彼がしっかり物語を作り、ガッツリと制作に関わったことは大きな意味があると思います。

そして久々にシリーズに復帰したリンダ・ハミルトンは、「やはり『ターミネーター』にはこの人がいなきゃ!」と思わせてくれる存在感に満ち溢れていました。

まあ、それはいいんですが、実際に観てみると色々言いたいことがありまして…(苦笑)。まず最初に気になったのは「既視感がすごい」ということです。

基本的に『ターミネーター』シリーズの物語構成は「スカイネットが送り込んできた強力な敵に主人公が追いかけ回され、味方に守られながら何とか倒す」という話です。

なので「このフォーマットを崩すとターミネーターではなくなってしまう」という事情は分かるんですが、それにしても「過去に見たような展開や設定が多すぎじゃないか?」と。

・「未来からやって来た恐ろしいターミネーターが女性を殺すために襲ってくる(『T1』『T5』)」
・「同じく未来からやって来た兵士が女性を守って戦う(『T1』『T5』)」
・「兵士は人間だが機械化されている(『T4』)」
・「敵が液体金属みたいな体で自由自在に変形・変身できる(『T2』『T3』『T5』)」
・「シュワちゃんが仲間になる(『T2』『T3』)」
・「機械なのにターミネーターの外見が老けている(『T5』)」

『ターミネーター:ニュー・フェイト』をざっと振り返っただけでもこんなに共通点があるわけですよ(ラストの展開とかネタバレ部分も含めればもっと多い)。

たぶん「意図的に昔の光景と同じようなシーンを見せることで”ファンにサービス”しよう」ってことなんでしょうけど、似たようなものを何度も見せられてもねえ(やるんなら少しでいいのに…)。

それから、シュワちゃんが主人公たちを助ける理由も何だか釈然としません。当たり前のように”いい人”として登場するんですが、「なんだそりゃ?」って感じで説得力がなさすぎる(笑)。

あと、一番気になったのはジョン・コナーの扱いですね。映画が公開される直前に「エドワード・ファーロングが本作に参加している」との情報が明かされ、「マジか!」「ジョン・コナーの活躍が見られるの!?」などと盛り上がり、ファンも期待していたことでしょう。

しかし結果は…

ネタバレになるので詳しくは書きませんが、確かにジョンは出て来ました。しかし、あの展開を見て「やったー!」と喜んだ人はいるんでしょうか?いるとは思えないんだけどなあ…

ジェームズ・キャメロンは現在、『アバター』の続編撮影のために忙しく、今回は『デッドプール』のティム・ミラー監督がメガホンを取ったんですが、実は映画の公開後にキャメロンとティム・ミラー監督の”不仲説”が流れるなど、現場では色々とモメてたらしい。

その一端を示すかのように、ジェームズ・キャメロンはメディアの取材に対して以下のように答えたそうです。

僕は多忙だったので『ニュー・フェイト』のセットを訪れることはなかった。だから、新キャストにも直接会ったことはない。しかし、脚本作業と編集作業には深くかかわった。僕にとって、編集は脚本の延長にあるものだからね。だが、ティム・ミラー監督が撮った初期ラフカットをチェックした際に「かなり雑で単調」に感じたんだ。

僕は編集者でもあるから、幅広い範囲にわたって具体的な指示を書いたメモを彼らに渡した。より良い映画にするためにね。その後に大幅な変更が加えられ、プロデューサーのデヴィッド・エリソンとミラー監督の3人で、そこから「最高の映画」を作り出す作業に取り掛かった。正直、かなり面倒で不必要な道筋をたどっていると感じたよ。

問題は、ロバート・ロドリゲスにメガホンを託した『アリータ:バトル・エンジェル』の時とは、全く状況が違っていたってことだろう。ロバートの時は、脚本を気に入った彼から「あなたの目線に立った映画を作りたい」と言われて、「いや違う、君の映画を作るべきだ」って説得する感じだった。

しかし、ティムとの場合は真逆の体験をしたね。彼は最初から自分の映画を作ろうとしていたんだ。そこで僕は「なるほど。でも僕の方が君よりも少しだけこの世界観には詳しいんだよ」って感じだった(笑)。

はっきり言ってミラー監督とは意見が衝突する場面もかなりあったよ。作品をめぐる戦いの血しぶきは、まだ壁に残っていると思う。この映画はそうやって鍛え上げられたんだ。でも、それこそが”創造(クリエイト)”というものだろう?

一方、ティム・ミラー監督も以下のようにコメントしたそうです。

ジム(ジェームズ・キャメロン)との共同作業は、非常に緻密で、彼はいつも明確な意見を持っている。しかし、彼の意見に僕が常に同意するか?と言えば答えはノーだ(笑)。彼は僕のアイデアが好きか?これもノーだ(笑)。でも、最良の結果に繋がるような健康的なやりとりがあったことは間違いない。かなりエキサイティングな体験もしたけどね(笑)。

僕が考えたアイデアは、敵(リージョン)があまりに強いから人類は勝てないだろう、というものだった。だけどジムは「人類が負けることのどこがドラマチックなんだ?」と。僕に言わせれば「人類が勝利することのどこがドラマチックなのか?なぜ勝ち続けなければいけないのか?」って感じだけどね。僕は「たとえ勝てなくても最後まで抵抗する姿」が好きなんだけど、それは彼の好みではなかったんだよ。

ジムとデヴィッド・エリソンはプロデューサーだから、2人にファイナルカット(最終編集)権があって一番強い力を持っていた。僕が気に入ったセリフをジムが不要だと判断してカットされたこともあったよ。それでも僕の名前は監督としてクレジットに載る。だから、たとえ戦いに負けたとしても、僕には戦う義務があると思ったんだ。映画のために戦うことが、監督のやるべきことだと思うから。

再びジェームズ・キャメロンとタッグを組むかって?答えはノーだ(笑)。けれど、それは今回負ったトラウマとは関係ない。どちらかといえば、自分が正しいと思うものをコントロールできない状況を、もう二度と味わいたくないからなんだ。

う〜ん、ジェームズ・キャメロンには「『ターミネーター』は俺が生み出したんだ!」という自負があり、ティム・ミラーには「自分なりのやり方でターミネーターを作りたい!」という思いがあったんでしょうねえ。

二人の意見が上手く噛み合い、相乗効果で作品に良い影響を与えていれば上質なエンターテインメントに仕上がったかもしれませんが…。つーか、ティム・ミラーじゃなくてロバート・ロドリゲスが監督すれば良かったんじゃね?

というわけで、個人的には「残念な出来栄えだった」と言わざるを得ません。もちろんアクションシーンは相変わらず派手で迫力満点!CGをバリバリ使った最新の映像表現も素晴らしく、そこそこ楽しめる映画ではあるんですが、「『ターミネーター』シリーズの一つ」ということを考えた場合、それだけでは物足りないのですよ。

ましてや大傑作『ターミネーター2』の正当な続編と言われたら……そりゃあねえ(^^;)