ゆっこに贈りたい小説

かつて80年代アイドルに夢中だった方なら、どなたでもお越し下さい。 ここでは岡田有希子を主人公にした小説、及びエッセイを作っております。 他のアイドルが好きな方もどうぞ! ご感想や意見を賜れば有り難く存じます。順次続きを作成してゆきますので、よろしくお願いします。 主な出演者 岡野真希:岡田有希子 溝田義男:ユッコフレンズの貴方 ゼミのメンバー:80年代アイドルの同期生達 作成者:たけし(YouTubeユーザーナンバー OCS31901M16)

Teenage Love一途なり(6―6:最終回)

一学期の終了式後、恵美子先生がお別れのあいさつをした。

あっという間の2ヶ月であったが、想い出はおれたちのこころに深く刻まれている。

「みなさん、わずか2ヶ月間でしたが色々とお世話になり、また勉強になりました。私はこれから

大学に戻って再び勉学に励み、将来は生徒の誰からも愛され信頼される教師を目指します・・・

みなさんのことやここで学んだことは、一生忘れません・・・本当にありがとうございました」

そう言って恵美子先生は少し涙を拭った。

女子生徒の中にも、少なからずもらい泣きする者もいた。

その日の帰り道、下宿の前を通りかかると、おおかたの荷物は運び出された後だった。

「いよいよ明日の晩だ・・・」

おれは決意を新たにして翌日の夜を待った。

その夜、親には友達の家に勉強に行くと嘘を言い、手紙を隠して家を抜け出した。

途中の酒屋の前にある赤電話から先生の下宿の番号を回したが、この番号は現在使用されていない

というエンドレステープが空しく回るばかり。

こうなったら仕方ない、直接下宿に向かう。

幸いまだ先生は居てくれたが、夜更けに突然現れたおれにびっくりした様子だった。

「あら昇平クン、どうしたの・・・こんな夜更けに」

先生は少し怪訝そうにしていたが、おれは手紙だけは何としても渡さなければと思っていた。

「先生、これ何も言わずに受け取ってください・・・」

それだけ言うのが精一杯で、後は言葉にならなかった。

先生は黙って受け取ってくれた。

「昇平クン、ちょっと近くを散歩しましょうか」

先生は気おくれしているおれを誘う様に外に出た。

すっかり暗くなった夜の小道を、恋人岬の方へ肩を並べて歩いた。

所々に漁火が見え隠れし、遠く波の歌が聞こえる。

やがて小一時間も歩いただろうか、先生とおれは恋人岬の頂上にたどり着いた。

「先生、おれ・・・先生のことお姉さんみたいに思ってたんだ・・・だから・・・」

「大丈夫、離れても絶対に忘れないから」

先生の話を聞いているうち、またいつか生まれ変わっても、きっとめぐり逢える気がした。

「またいつの日か、この島に来ることがあったらよろしくね」

そう言って先生はおれの手を握った。

色白で暖かく、とても柔らかだったのが忘れられない。

満月の青白い光で先生の頬を流れる涙が光ったけれど、おれは気付かぬふりをした。

実はおれも必死で堪えていたんだけど。

20年にも満たない人生で、こんなにも人を想い慕ったことなどなかったから。

翌日の午後遅く下宿を訪ねたが、もう先生は居なかった。

もしや先生を乗せた船は出航したのではないかと、取るものも取りあえず波止場へ駆けた。

案の定、もう船は沖合遠く離れている。

おれは恋人岬に駆け上り、海が見渡せる場所に立って大きく手を振った。

あの手紙、先生は読んでくれるだろうか・・・それより先生はおれに気付いてくれるだろうか。

いきなり送った手紙だったけど、返事はどうでもかまわない。

この想いさえ伝わればそれでいい、それだけで幸せだから。

命あればいつか再びめぐり逢える・・・その時が旅の終わり。

ぼんやり霞んでゆく視界から、先生を乗せた船がゆっくりゆっくり遠ざかっていった。

<完>

Teenage Love一途なり(6―5)

こうして日々親しくなり打ち解けてゆくとはいえ、先生の実習期間も残り1ヶ月を切ってることに

嫌が応でも気付かされた。

いっそこのまま時間なんか止まればいいのにと、叶わぬ我儘な願いがふと浮かぶ。

「もし先生が都会に帰った後、おれのことを忘れてしまったら・・・」などと想像しただけで急に

寂しくなってしまったが、先生やみんなの屈託ない笑い声にかき消された。

午後からはお待ちかね、今日のメインイベント―すいか割りだ。

クラスの連中が竹刀を手に次々に挑戦するが、なかなか一発で割れない。

そうこうしているうち、今度は先生の番が来た。

「先生、目隠しして3回まわってください・・・」と言いながらも、女子生徒が面白半分で5回も

回してしまったものだから、先生は少しヨタヨタしてしまい、みんなからドッと笑いが起こる。

それでもさすがしっかり者というか勘所が良いだけあり、目標のすいかにじわじわ近づいてゆく。

「あっそこそ・・・もっと右右!」

「あと2m・・・あと1m・・・!」

「あっ前に出過ぎ・・・もうちょっと後ろ・・・あと50cm後ろ・・・!」

あれやこれやと無責任な声というか、明るいヤジが飛ぶ。

やがて焦点が定まったらしく、みんなのヤジが止んだ途端、先生は一気にすいかのど真ん中を叩き

粉々にしてしまった。

これにはおれも驚いた。

「先生って細腕の割に、案外と力強いんですね!」

すると先生は照れた様に

「ごめんなさい、本気でやっちゃいました」

と言って、またペコリと90度のお辞儀をしてみせた。

そうこうしているうち夏の長い陽も暮れ始め、おれたちは海岸線に沿った細い小道を先生を下宿に

送りがてら歩いていた。

「今日は楽しかったね、またやりたいけれど、来月末にはもう先生は島を出てしまうんだっけ」

「どうかいつまでも忘れないでいてね、恵美子先生」

誰かがおれの心配していることを喋った。

たとえこころに決めた人が居て叶わぬ願いだとしても、何とかして先生との糸をつないでおきたい

という生意気で意地らしい想いが再び脳裏に浮かぶ。

そんな想いで心の中が一杯になり、やるせない毎日が続いた。

相変わらず先生は授業と勉強に余念がない。

できることなら、おれは恵美子先生について一緒に島を出たいと考えたが、さりとて都会で生きて

ゆく手立てなど何もないことが情けなく悔しかった。

それでもどうにかして先生とつながっていたいという、至ってムシのいい願望ばかり。

授業も上の空になり始めていた。

7月中旬、恵美子先生の実習期間が終了し、一学期の終了式翌々日夕方の便で先生は島を離れると

担任から聞かされた。

もう居ても立ってもいられなくなり、先生を恋人岬に呼び出して手紙を渡そうと決心した。

おれは生まれてこの方、マトモな手紙なんて書いたことなんかなかったけれど、どうしても先生に

だけは想いを伝えたかったのだ。

何度も何度も書きなおしては読み返すといった、根も果てる作業に没頭した。

いったいどのくらい書き直しただろうか・・・やっと想いを伝えられるだけの内容になった。

祈る様なこころで封をした。

渡すのは先生が島を出る前の、満月の夜に決めた。

あとはどうやって恋人岬に呼び出すかだ。

夜空にかかる満月近い上弦の月を見上げると、初めて出会った時にも似た緊張感を覚えた。

「あっという間だったな・・・もうすぐ恵美子先生ともお別れか・・・」

何だかやるせなかった。

こんな撫し付けの手紙なんぞ、果たして一介の生徒のために先生は来てくれるだろうか。

おれは期待半分、諦め半分で当日の夜を待った。

Teenage Love一途なり(6―4)

島の夏は都会より一足早くやって来る。

ある日曜日、おれは少し勇気を出して恵美子先生の下宿を訪ねた。

もちろん事前に電話しておいたのだが、自宅からだと両親や妹の手前もあって照れ臭く、買い物に

行ってくると嘘をついて近所の商店のピンク電話に十円玉を積み上げ、こっそり電話したのだ。

その時も先生は実習用の資料に目を通していたが、おれの顔を見るや、「あら、昇平クンじゃない、

どうしたの」と声をかけてきた。

少し気おくれしたが、せっかく来たのだからせめて要件だけは話しておこうと思い直す。

「先生、今度の週末もし都合がよかったら海水浴にでも行きませんか・・・おれだけじゃなくって

クラスの他の連中も会いたいと言ってるから・・・ついでにすいか割りなんかどうです」

勉強熱心な先生のことだから、おそらく断られるだろうと半分以上期待していなかったものの、

案外あっさり承諾してくれた。

「あら嬉しいわ。ここ数日ずっと部屋にこもってばかりで、一度もこの島の海で泳いだことなんか

なかったのよ・・・じゃあ来週の日曜日、9時頃にみんなでいらっしゃいよ、待ってるから」

本当は一人占めというか、先生と二人きりでツーラバーズ・ポイントに行きたかったのだけれど、

若い女性、それも年上の人と真正面から向き合うなんて10年早いかななんて思った。

「そうそう昇平クン、ちょうど今ホットケーキを焼いてたの、ちょっと寄っていかない?」

「えっ、いいんですか。若い女性の一人暮らしのお邪魔をするなんて・・・」

意外な展開に、またもやハートが高鳴った。

「赤くなっちゃって、私の弟も同じくらいの年なんだから、別に恥ずかしいことなんかないわよ」

先生は都会に残してきた家族や恋人の話を語り始めた。

先生の恋人は、総合商社に勤める幹部候補のエリート社員で、この春中国の支店に転勤したこと、

帰国したら一緒になることや、自分も生徒たちから愛され親しまれる教師を目指していること夢に

みているなど嬉しそうに語ってくれた。

「先生、おれみたいな奴の前で、ご自分のことなんか話していいんですか」

余りの明け透けさに、おれは少しばかり気になった。

「いいの、昇平クンが他の人に話さない真面目で堅実な人と信じているから」

そんな訳で、先生の手料理とプライベートな話をあれこれご馳走になってしまい、帰りの道すがら

クラスメートに済まない気分だった。

もちろん、この時のことは誰にも話さなかったけれど。

思ったより早く先生のこころを一人占めしたみたいで、もう虜になりそうだ。

翌週の日曜日、おれたち悪童どもは、すいか10個余りとお菓子、冷たい飲み物などを手に先生の

下宿を訪ねた。

先生はこの日のために誂えたのであろう、淡い青色の水着を持ってきた。

眩しい太陽の下、水着に着替えた先生の若く引き締まった姿に、おれたちは全員しばし言葉を失い

茫然と立ちすくんだ。

やっぱり都会の美人は違うな。

すごいとか可愛いとか綺麗いった月並みな表現なんか、跡形もなく吹っ飛んでしまう。

女の子たちの中には、半ば嫉妬心を抱いた者もいただろうか。

おれはまた例によって、でれーとしてしまったが、そこは何とか気を取り戻した。

先生は都会っ子の割には泳ぎが上手く、姿も素敵だった。

あたかも小麦色のマーメイド、ドルフィンといった感じか。

おれたちもビーチボールを投げ合っては波しぶきをかきあげ、夏の夢をみていた。

お昼になり、漁協から買ってきた魚と野菜でバーベキューをしたら、さすがに都会では味わえない

新鮮な魚介に先生も満足してくれた様だった。

白い砂浜には、すべてを焼き尽くす様な熱い日差しが照りつけている。

livedoor プロフィール
カテゴリ別アーカイブ
タグクラウド
QRコード
QRコード
  • ライブドアブログ