【紹介】
筆者が、主に精神病患者にインタビューし、その内容をまとめたもの。
【感想】
面白い、の一言に尽きる。
精神病患者の話って言われると支離滅裂にわめき散らしているようなのを想像するかもしれない。だが実際は、ものすごくロジカル。その論理がどのようなものであれ、彼らには彼ら自身の論理がある。かつその論理は、博識と呼ぶにふさわしい豊富な知識に裏打ちされているので、真実味がある。
インタビュイーは精神病患者だけではなく、説明のつかない記憶や夢に悩んでいる人やこの人が精神病患者なら厨二病の人はみんな精神病院に入院しないといけない程度の人、この人をおかしいという人こそ視野が狭いとしか思えない人など、様々だ。インタビュイーの話には、純粋に勉強になるものも多かった。
読みやすさという点から言うと、私のような原書初心者でもかなり取り組みやすい本だったと思う。
まず、インタビューなのでほとんどが会話文で、ページに余白も多く読みやすい。
全360ページは2種類の前言と后记を含めて64章からなり、1章はおおよそ6〜8ページ、ほとんどが1章で完結するので、1日1章と決めて読んでも2カ月くらいで読み切れる。
難しい言葉は大して使われていない。私は今回わからなかったり不安だったり声調が曖昧だったりする言葉を全て辞書でひいて読んだけれど、そうしても挫折せず読みきることができた。
ただ、物理を元に論理を組み立てている患者が結構いるので、そのての理論や単語が出てくる。(筆者も「物理専攻の大学生は就職活動で精神病院を受けてみれたらどうか」みたいなことを言っている)知識がなくても理解できるように書かれているので問題はないとは思う。
印象深い話はいくつもあるけれど、一つ挙げるとすれば、《最后的撒旦》。読み終えた後なんとも言えない哀しさを感じた。
【読書期間】
〜 2018.12.15
【その他】
1日1章と決めてこの本を読み始めたときは、読んでも読んでも進まないと感じてた。でも、今日1ページ読んだら、明日は2ページ目から読めばいい。読んでいけば、いつかは読み終えられるんだなあと思った。
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