棒を振る人生 (PHP新書)
佐渡 裕
PHP研究所
2014-10-16



 音楽は好きだが、楽譜が読めない。
 楽譜が読めないと、オーケストラの指揮者になれない。
 それにしてもよく読めるものだなあと感心する。
 楽譜は、「 記号を具体的な空気の振動に変えることで人々に感動を与え」るものなのである。
 オーケストラで唯一音を出さない指揮者は、楽譜を空気の振動に変え、人の鼓膜に届ける芸術家である。

 
佐渡裕 
 まず楽譜。
 リハーサルで指揮者が自分のイメージする音楽をオーケストラに伝えるとき、指揮者と演奏者の共通言語になるのが楽譜だ。
 楽譜は演奏者とのコミュニケーションを図る最大の手段となる。
 指揮者はオーケストラの中で唯一音を鳴らさない音楽家だ。
 そんな指揮者の指揮に応えて奏者が弓を動かしたり、息を送ったり、物をたたいたり、声を出したりする。
 それによって空気が振動して人の鼓膜を振るわせ人の心を揺るがせる。
 感動が生まれる。
 つまり音楽は言ってみれば記号でしかない楽譜を具体的な空気の振動に変えることで人々に感動を与えることができる芸術である。