ハロウィンの思い出を話そう。17年前と16年前の話。投稿のタイミングじゃないけど


次男くんの通う幼稚園は、プロテスタントの牧師が経営している幼稚園だった。地域の中でもわりとユニークなところで、園児たちが喧嘩を始めても先生たちはあえて止めずに、子どもたちが折り合いをつけるのを見守る、みたいな。そんな徹底した放任主義の園だった。で、キリスト教系ということで(わが家は仏教徒だが)、クリスマスには必ずイエス誕生の劇を、園児たちだけでやったりする。女の子の園児たちにとっては、唯一のヒロイン、マリア様になれるかどうかという運命の日で、ライバルの靴の中に画鋲を仕込んだりとそれはそれは壮絶な争いが、というのはまったくなくて、毎年穏やかにメインキャストは決まっていく。ちなみに次男くんは東方の三賢人のひとり、台詞は「もうじき天使様がやって来ますよ!」の一言だけだったけどw


そのクリスマスより盛り上がるのが、ハロウィン。最近、渋谷や池袋とかでやってるのとは違って、園児たちが仮装しておやつをねだって歩くという、あ、こっちが普通のハロウィンだわ。で、その“仮装”を、当然、親が作ることになる。たいていの家ではお母さんが作ってくれるのだけど、ウチの奥さんは裁縫が苦手だということで、衣装作りは自分の仕事になった。ま、イヤじゃないんだけどねw


ハロウィンの2週間前、次男くんに「何になりたい?」と聞いたら、しばらくあって、「カメ!」との返事。えっ、カメ? 想定外のこたえに動揺するオレ。どうすればカメの衣装が作れるのか? うーん、うーん・・・


3日ほど悩んで、大きめの発泡スチロールをくりぬき、緑色に着色するのがよいのではと考え、東急ハンズに行って材料を買った。発泡スチロールをカメの甲羅状に加工し、緑のポスカラを塗る。乾かしてまた塗り、色を濃くしていく。何を思ったか、甲羅にいくつも突起を作ったら、完全にガメラのそれになってしまった。甲羅の周囲をプラ材で補強し、4カ所に紐穴を作って完成。製作期間2日。雑な出来だったけど次男くんはとても喜んでくれた。


ハロウィン当日、ガメラの甲羅を背負って園内を走る回る次男くんを見たときは、危うく落涙するところだった。何に感動したのか、今となっては思い出せない。でも、もうカメの甲羅、いやガメラの甲羅は二度と作るまいと心に誓った。翌年、年長さんになった年のハロウィンでは、「死神になる!」と言ってくれたので、ほっと胸をなで下ろした。死神なら、黒っぽいサテン生地でマントを作ればいいだけじゃん! 死神の持つ杖というか鎌をこしらえるのがちょっと大変だったけど、衣装自体は3時間ほどで完成した。あ、顔にメイクもしてやれば良かったな。今、思いついても遅いけど。


メディアで報道されるハロウィンと、わが家の記憶の中のハロウィンにはずいぶんと距離がある。パブリックな言葉で語れない、語られない記憶。いくら言葉を紡いでも、あのときの空気感みたいなものを言い表わせない。時々SNSで流れてくる、お父さんが子供のために作った映像やおもちゃの動画を見ると、胸を少しだけきゅんとさせる、そう、ほんの少しだけなんだけど、やわらかく締め付ける感覚に襲われる。あのときのガメラの甲羅も死神のマントも、きっと次男くんは覚えてないだろうなあ。