■衝撃的な内容「すべてが現実」

 米国の詩人、サファイアさん(59)の小説デビュー作「プレシャス」の日本語訳の文庫が刊行された。ニューヨークのスラム街で両親の虐待を受けながらも読み書きを学び、人生を切り開く黒人少女の成長を赤裸々に綴(つづ)った物語。世界でベストセラーとなり、公開中の同名の映画原作としても注目を集めている。(戸津井康之)

                   ◇

 「すべて私が見てきた現実。オバマ政権は誕生したが黒人社会の貧しさは今も変わらない」。ニューヨークで次作の小説を執筆中のサファイアさんは、こう電話取材に答えた。

 ハーレムの貧困家庭に生まれたプレシャスはまだ16歳だが、父にレイプされ2人の子を持つ。母からも虐待され、妊娠を理由に中学も退学処分に。それでも絶望せず学問を身につけようとフリースクールに通う。

 衝撃的な内容だが実話に基づいている。83年から10年間、ハーレムのフリースクールで英語を教えていた彼女は「プレシャスのような子供をたくさん見てきました」と明かす。元々、詩人だが「何とかこの現実を訴えたい」という一心から初めて小説執筆に挑んだ。

 発表後、話題を呼び映画化され、今年の米アカデミー賞で2冠を受賞した。「小説が注目されたことはうれしい。でも20年たった今も米国の黒人の立場は変わらない。虐待を受けるプレシャスのような子供は多く、オバマ大統領が誕生しても大企業の社長は白人ばかり。教育の重要性の認識は高まったが、貧困は克服されていない」と訴える。

 小説の文体はプレシャスの一人称語り。前半、小学生のような拙(つたな)い言葉が、フリースクールで学ぶ過程で物語後半、情感豊かな言葉へと変化していく。「生きるためにフリースクールで真剣に学ぶ子供たちの姿をプレシャスに重ねています。教師として子供たちの成長を間近で見た経験はかけがえのないもの。この思いを読者に追体験してほしかった」と彼女は言う。

 しばらくは小説に専念。社会に訴える作品を書き続けたいという。「人生に絶望する子供もいる。しかし、誰にも必要とされない子供なんていない。自らの手でドアを開けようとする子供たちを救いたい」

生体肝移植前に寄付金募る=11人から計1173万円-東京医大八王子(時事通信)
車ごと女性連れ回し男、追跡30キロ・逮捕(読売新聞)
鳩山首相、水俣病慰霊式出席へ 歴代首相で初(産経新聞)
強殺容疑で4人を再逮捕=一家3人殺害-長野県警(時事通信)
溶接少女キラリ…工業高3年の仁平さん最優秀賞(読売新聞)