人間の言葉は、得てして、時に…
自分のセリフで自分の心を捻じ曲げる。


例えるなら…掌でペンを持つ。

――ペンを持っている。

――ペンを持っていない。

眼に映るのは、嘘のない事実の世界。



例えるなら…言葉でこう言う。

――お前が好き。

――お前は嫌いだ。

目に、耳に聞こえるのは事実の世界か?
好き、を信じるか?
嫌い、を信じるか?

愛し合う恋人が、泣きながらこう言った。
貴方なんか、嫌い…

自分を落とし入れようと敵がこう言った。
いやぁ、貴方を認めてるんですよ、好きなので…

目に、耳に聞こえるのは事実の世界か?
好き、を信じるか?
嫌い、を信じるか?

何のための、お前の五官なのか。
何を成すべきために、お前の五感はあるのか。
お前がお前であるべきために五官五感がある。

裏切られるのは怖い事じゃない。
五感が鈍り、活用しない事の方が遥かに怖い。
屈辱で狂い、侮辱で思考停止し、五感を封じ込めてしまう。
そこに残るのは俺のゴーストで、ただの骸だろう。

俺は時に、言葉を信じない。
何よりも信じたいからこそ疑う事もある。
そして大切な人間に疑われることもあり得るンだ。
言葉ってのは、それほどの七色の光だから…。


けど、時に思うンだ。

襟元掴み合って、目を血走らせ合ってさ?
ボッコボコに顔ぉ腫れあがらせてド突き合った。

――此処でコイツを殺しても構わない。

――ああ、殺られる…全部失くすンかなあ…今。


咥内ン中、溢れて止らない血を流して…
歯ァ飛ばして、貌にゃ何かの破ける音させて。

そンな時代を過ごした事。
そンな世界に生きてた事。

負けたら全存在を否定されるかも知れない…
時にお互いの時間と領域を、全て奪い合うほどの勝負。
能書きも理屈もなかった俺たち。

暴力に生きろ…と言う意味じゃない。
腕力だけを肯定する…わけじゃない。
しかし、言葉の根っこに、そンな覚悟を持った男。

俺はそンな男と祭りに行く。

お前は俺の背中に何を見るのか?
俺はお前の背中に何を感じるのか?

男ってのは力の強さじゃない。

男ってのは優しさと心意気だ。


幾ら喧嘩強かろうが、よ?
意味を感じねェ奴とは祭りにゃ行かンぜ。