阿片王 満州の夜と霧

佐野眞一
1947(昭和22)年、東京生まれ。早稲田大学文学部を卒業後、出版社勤務を経てノンフィクション作家に。1997年、 民俗学者・宮本常一とパトロン・渋谷敬三の生涯を描き上げた『旅する巨人』(文芸春秋)で第28回大宅壮一ノンフィクション賞を受賞



最近はエッセイやらノンフィクションを読むことが多い。
そんな中気になっていたのがこの本。
結構面白く読むことができた。
佐野眞一氏のほかのものを読んだことがないのでこういう書き方をする人なのかはよく知らないが、ただ事実関係を列記するだけではないので退屈しない。著者が事実、推論、感じ方も率直に分けて書いてあるので、読むほうもいろいろな見方ができる。
巻末に参考文献などもしっかり載っているのがありがたい。

内容としては
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策謀渦巻く満州帝国を、闇で牛耳った一人の男がいた。最も危険な阿片密売を平然と仕切り、巨額の資金を生み出した怪傑・里見甫。その謎に満ちた破天荒な人 生を克明に掘り起こし、麻薬と金に群がった軍人、政治家、女たちの欲望劇を活写する。誰も解明できなかった王道楽土の最深部に迫り、戦後日本を浮き彫りに する著者の最高傑作。

satomi「オレは支那が好きでたまらない。オレは支那で死ぬ」というのが、彼の口グセ。中国人以上に中国を愛し、ほとんど中国人になりきった男。
酒は飲まず、煙草と女好き。
来る者拒まず、去るもの追わず。






里見甫以外の部分を書いたところも多く、周りにかなり興味深い人物達がひしめいていた。
それらを織り交ぜ話は進んでいき、最後に現代の問題に触れ話は終わる。
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「アヘンがあれば国家はいらない。快楽があれば軍隊はいらない」

「日本人は阿片を道徳問題として取り上げ、漢民族は生活を充足せしめる糧として考える。阿片の神聖な愉楽を味わった人間が、その後で下品な人間臭い道徳的戒律の悦楽に堕落するようなことはしない。それほど阿片の性格は漢民族の思想と性格とに一致している。」

など阿片を「もうひとつのメディア」とした見方は面白かった。
本の中で今の電通や共同通信の成り立ちなども扱われている。

テレビから麻酔の針@THA BLUE HERB
というリリックを思い出す。

里見甫が私利私欲のないかなりの「人物」として描かれていた。これが事実かどうかはわからないが、GHQとのやり取りを見ていると著者がほれ込むのも分かる気がする。泥臭いリアルを感じる。

阿片と聞いてはじめに思い浮かべたのは、ミャンマー、タイ、ラオスにまたがる世界有数の麻薬生産地である「黄金の三角地帯」で長らく「麻薬王」の異名を取ってきたクン・サー(1934年2月17日生まれ)だった。

黄金の三角地帯(ゴールデントライアングル)には一度行ったことがある。
そこにはオピウム博物館などもあり、いろいろな写真や喫煙具の展示などもある。
近くの街は割合のんびりとしていて、メコン川などを通ってきた中国船が停泊していた。
南米コロンビアではゲリラが統治しているような地域は現金が少ないので、ヘロインが貨幣代わりになっているなどのルポも読んだことがある。
もう少し調べてみたいところだ。

著者の事実を見つめる醒めた目はすごい。
興味のある人は読んで損のない本だと思う。