2012年05月15日

最悪で最善の被災地朗読会

先週10日、11日と、石巻、仙台朗読ツアーを行って来ました。
これは、被災地に三浦綾子さんの本を配ろうという、三浦綾子記念文学館と三浦綾子読書会の活動の一環です。

仙台から高速バスで1時間余り、イオン石巻バス停に降り立った私は、まるでエアコンが効き過ぎた部屋に入ったような冷気を感じました。
5月でこの寒さ・・・3/11はどんなだったことかと胸が痛みます。
それに加え、気管支炎による不調が続いている自分自身の体調も不安です。
初日は、14時〜石巻向陽仮設団地集会所、19時〜いしのみなと教会で、星野富弘さんの詩と自伝の朗読。果たして50分にわたる朗読を昼夜滞りなく行うことが出来るのかと。

今まで映像でだけ見て来た仮設住宅・・・その一角に設けられた畳敷きの集会所で、私は、三浦綾子さんの小説に光を見いだした星野富弘さんの詩を読み始めました。真剣な眼差しで聴き入ってくださる被災者のみなさん・・・が、マイクのない環境でいつもより声を張って読んでいた私の喉は、遂に悲鳴をあげました。咳き込む私を気遣って、聴衆が動きはじめました。
「エアコンの風が正面から当たってる。切るべ」「足寒いんでないの?」椅子にかけている私の足の下に座ぶとんが入れられ、テーブルには、大きめのカップに湯気の立った白湯が置かれました。
のどを潤し、朗読を再開した箇所は「母」についてのエッセイでした。そこから最後まで、みなさんは集中力を取り戻し、涙を拭いながらお聴きくださいました。
なんとか全てを読み終えたとき、私の目からも涙があふれました。
「私は、少しでも皆様を励ますことが出来たらと思ってやってきました。でも、今日、私の方がみなさんの温かさに励まされました。先ほど読んだ『小菊』という詩に『幸せが集まったよりも ふしあわせが集まった方が 愛に近いような気がする』とありましたが、まさにその愛をいただいた思いです。ありがとうございました」

終演後、コーヒーを飲みながら、震災の体験をうかがっていたとき、後ろからトントンと私の肩をたたく女性がいました。「飴っこ買って来たよ。夜もあるんでしょ!?あんた帰ってしまうかと思って、信号無視して店まで行って来たんだよ」差し出された袋の中には、「かりんのど飴」「梅のど飴」など、「のど」と名がつくあらゆる飴がどっさり!咄嗟に彼女の手を握り、声もなく涙ぐんだ私でした。

「でも その傷のところから」星野さんの「れんぎょう」という詩からいただいたこのタイトルの朗読会・・・プロの舞台としては最悪でした。
でも、被災者の皆様と心を通わせることが出来たという点では、最善の経験でした。
「わたしは傷を持っている でもその傷のところから あなたのやさしさがしみてくる」れんぎょうの詩が今までにも増して心にしみてきました。

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2012年05月04日

前に向かって

「後ろを忘れ、前に向かってひたむきに」これは、この連休に私が属する日野キリスト教会で持たれた聖会の主題です。同じ教会で育った新進気鋭の5人のメッセンジャーは、この季節さながらに私たちの心に薫風を送ってくれました。

さて、今日私は教会からあわただしくMさんのお芝居を観にかけつけました。
Mさんと出会ったのは昨年9月のことでした。
「ラジオ深夜便で中村さんの放送を聞きまして」と、三浦綾子読書会朗読部門に入会なさったのです。
8月に放送された「ラジオ深夜便−明日への言葉」の中で、私はガンの体験から人生観が変わったという話をしました。それが、7月に手術をなさったばかりのMさんの耳に飛び込んだのだそうです。
一言発しては涙ぐむ彼女に、私は悪夢を見たあとように茫然自失し、頭の中は「ガン」の二文字でいっぱいだった退院直後の自分を重ね合わせました。
お芝居をしていたという彼女の朗読は、声も表現力もずば抜けていました。メンバーからも絶賛され、涙も次第に少なくなったクリスマス・・・娘さんとともに洗礼を受けられました。

今日はそのMさんの復帰公演だったのです。
スラットした長身の彼女がスッと胸を張ってステージに立つ姿は、自信と喜びに輝いていました。
微笑むとチャームポイントの深いえくぼが、遠くからもよく見えます。
よかった!Mさん「前に向かってひたむきに」ね!

帰りの中央線の車窓から、目にも鮮やかな大きな大きな虹の架け橋を見ることが出来ました。



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2012年05月03日

真美ちゃんの終わらない一生

GW中休みは雨・・・築地のタリーズでソイラテを飲みながら窓の外に目をやると、黄色いレインコートに黄色い長靴の男の子が、ひとりで歩いて行きました。幼稚園児・・・どこへ行くのかしら?ママは?それにしてもなんて可愛いんでしょう!レインコートを着ているだけで、ゴム長を履いているだけでたまらなく可愛い!こんな時期があるんですよね。
親たる人は、子供がいくら大きくなっても、この幼い頃の可愛さが忘れられないことでしょう。
そんな子供が自分より先にこの世を去ってしまったら・・・親にとってこれ以上の悲しみはないはずです。
そんな決してしたくない経験をなさったNさんからいただいた留守電に「今日は真美の誕生日なんですよ」という言葉が添えられていました。4月22日のことです。

真美ちゃんと私は12年ほど前、愛用しているサプリメントの説明会で2〜3度会いました。当時彼女は20代後半だったと思います。それから彼女からちょくちょくメールを貰うようになりました。
ほんの1〜2行「今日こんなことがありました」程度の短い内容です。どうして特に用もないのに?と思いつつ、私も必ず返信をしていたのですが、彼女は私のブログをとても楽しみにしていたらしく、大切な友達にも薦めていたようです。私の初めての朗読CD「風が見た愛のおはなし」が発売になった時もいち早くそれをキャッチし、購入してくれました。そして、それからしばらくしてこんなメールが届きました。「姉が、啓子さんのCDを聞くと、とても落ち着くんです」彼女のお姉さんは、幼い頃の事故による障害を抱えていて、真美ちゃんは、ご両親を支え、お姉さんのお世話をしていたのです。それを聞いた私は「よかったらお姉さんの傍で直接読ませてもらえない?」と、平塚市のお宅を訪ねました。生憎、その日は施設にいるお姉さんの体調がよくないとのことで、お会いすることが出来ませんでしたが、そのときお母様とお会いしことに、意味があったのです。

それから数年経った4月のある日、お母様から突然電話をいただきました。「真美が亡くなりました」と。
あまりに突然のことでした。つい半月ほど前にも、電話で話した真美ちゃんの、あのふわ〜っとした、やさしい声を二度と聞く事が出来ないなんて・・・まだ42才の若さで・・・衝撃と寂しさが私の胸を覆いました。

やがて、悲しみの淵にあったお母様は、私のブログを楽しみにお読みくださるようになり、また、真美ちゃんから薦められてブログファンになってくださった北海道に住む男性は、私が北海道で朗読公演をする度に駆けつけてくださるようになりました。

去年、恵比寿で東日本大震災復興支援のチャリティー公演を開くことになったときのこと。
チラシ制作のことを考えながらふと書斎のカレンダーに目をやった私は「ナカタマーク」の文字に、そうだ!と電流が走るのを覚えました。真美ちゃんのご実家は印刷屋さんだったのです。
しばらくして、ナカタマークさんから、それは見事に美しく印刷されたチラシ3000枚が届きました。
手に取ってみると、お願いしていたものより上質な用紙です。それに、納品書だけで、請求金額が書かれていません。なんと、0円にしてくださったのです!真美ちゃん〜!真美ちゃんの姿はもう見えないけれど、真美ちゃんは、このチャリティーに参加してくれたと感じました。
お母様は、その公演はもちろん、その後茅ヶ崎で朗読を行ったときにも、同年輩のお連れを誘っていらしてくださいました。その連れの方も、実は真美ちゃんが繋がりを深めていた方とか。真美ちゃんは、世代も男女も超越して、人との絆を深める天才だったのです。
それからほどなくして、お母様から電話がありました。「長女が、啓子さんのCDを聞くと安心したように眠るんです。他のCDではだめなんです。それでもうすり切れてしまって。もう一枚いただけませんか?」ほんとうなんだ!実は私は、真美ちゃんから聞いたときは、多少お世辞も入っているのでは?と思っていたのです。でも、今度こそ、素直に感謝して、新しいCDを送らせていただきました。お姉様の穏やかな寝顔を想像しながら。

人は誰でも平等に一度だけ死ぬ・・・私がガンで入院していたときに思ったことです。
でも、もし、真美ちゃんのように死して尚多くの人に影響を与え続けるとしたら、その一生は、まだ終わったとは言えないのではないかと思うのです。











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2012年04月29日

府中市美術館三都画家くらべ

いよいよゴールデンウイーク!
あなたはどんなご計画をお持ちですか?
おすすめの美術館催事のご案内です。
今、東京都の府中市美術館では「春の江戸絵画まつり 三都画家くらべ 京、大阪をみて江戸を知る」を開催中です。
江戸時代、三都と呼ばれた、京、大阪、江戸の絵の数々を並べ、「美」や「面白さ」に対する感じ方の違いに目を向けてみようというこの企画は、とても楽しいものです。
会期は5月6日まで。
訪れてみて、もっと早くに皆様にお知らせすればよかったと思いました。
でも、まだ遅くはありません。
5月5日(土)には、金子信久学芸員による講座「三都それぞれの美」があります。
私の声でご案内する音声ガイドの原稿も、この金子先生がお書きになったのですが、訪れた私の知人が「ガイドを聞きながら、思わず笑ってしまいました」と言ったほど、ウイットに富んでいます。
GWを東京でお過ごしの方は、ぜひお越しください。
新緑の府中の森は、散策にも最適な美しい季節を迎えています。


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2012年04月26日

ブログが滞った4月の私

朝からシトシト雨が降り続いています。
今夜は20時から明日ONAIRの番組のナレーション録りの予定でしたが、編集が間に合わないとのことで、急遽明朝からに変更、フッと落ち着いた時間を持ってみると・・・25日間もブログを書いていませんでした。
しばしば訪ねてくださった方、申し訳けございませんでした。
先日、平塚市のNさんから「ブログ、楽しみにしていますから、また書いてくださいね」と言われ、本当に励まされました。
Nさんは、先に旅立った娘さん、真美ちゃんの墓前で、私の3日のブログをお読みくださったそうです。
真美ちゃんのことは、いつかブログでご紹介したいと思っていましたが、この度、お母様の許可を得る事が出来ましたので、次回、ゆっくり書かせていただきます。

今月は、14日夜〜17日まで富山へ行って来ました。ボーカルと詩の朗読のジョイントという初めての試みは、予想以上に良い感触でした。
しかし、出発前日になって、急な取材や仕事が飛び込み、準備のために夜更かしせざるを得なくなり、現地へ着いてからもコンサート以外に、朗読指導、冊子の取材、会食など、スケジュールがびっしり・・・今頃になって疲れが出て来たのか、身体がコチコチ。運動して、血行を良くしなければ!
連休開けには、石巻、仙台と、被災地で朗読です。

尚、今月からフジテレビ金曜夜8時〜9時「奥の深道」の中の「奥の深店」でナレーションを担当しています。

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2012年04月03日

母校の後輩たちへ贈ることば

母校から、新入生へ向けての言葉を依頼され、寄稿してひと月足らず・・・チャペルの写真が美しくデザインされた表紙の「告知版」が送られて来ました。
ふと、私が学窓を巣立ってから今日までの歩みを皆様にもお読みいただけたらと思いつき、以下に掲載させていただくことにしました。


 「愛と勇気と誠実と」

 1968年3月。私は女子短期大学の卒業証書を手に、平潟湾からの潮の香漂うキャンパスを後にました。アナウンサーへの夢に胸ふくらませて・・・。
  国文科での優れた教授陣からの学びは、言葉の仕事を目指す私のベースとなりました。殊に、将来への夢を綴った原稿に大城富士男先生が朱筆で書き込んでくださった言葉「愛と勇気と誠実と」は、心に深く刻まれたものです。そんな恵まれた環境の中、 2年生になって間もなく、仲間を集め放送研究会を創設。その活動に熱中する傍ら、土日は契約アナウンサーとしてニッポン放送の子会社で働くなど、プロへの足がかりを得ての卒業でした。

 時まさに高度経済成長期。ナレーター事務所に所属した私は、CMに、番組に、NTTのガイダンスにとスタジオを駆け巡る日々を迎えました。幼い頃からの夢の実現・・・これこそが幸せだと信じて。
 しかし、やがてその幸福感が揺らぐときが来ました。39才の時、思いもかけなかったガンの宣告を受けたのです。手術を受け、ベッドに横たわった私は初めて「満足して死ねるか」ということを考えるに至りました。理想の職業につくことが人生の最終目的ではない。人は、愛を表さなければ満足して死ねないのではないか。では「愛」とは何なのだろう。
 そこから辿り着いたのが教会でした。イエス・キリストによる「ゆるし」これこそが愛の原点だということを知り、洗礼を受けたのは、46才のとき。その時私が覚えたのは、かつてない自由と開放感でした。
 思えば、それまでの私は、人を恐れ、何という不安の中にいたことでしょう。神を知らない自由は、羅針盤のない船で大海原に漕ぎ出すようなものです。自分を愛し、必ず最善の方向へ導いてくださる存在を信じてこそ、航海は安心して楽しめるものとなるのです。
ここに辿り着くまでに、私はなんと遠回りをしたことでしょう。学生時代、すぐそばにあった礼拝堂・・・もし、そこへ足を運び、聖書という羅針盤に従っていたら、数々の問題に対し、的確な答えを見いだすことが出来たはずなのです。
 ずっと心に残っていた教授の言葉に「神」をつけてみると、その意味が明確になりました。「神による愛と勇気と誠実と」!
 神様に愛されての関東学院大学へのご入学、おめでとうございます。
 



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2012年04月01日

真っ白なコブシの花

今日から4月。トップライトの下に掛けている星野富弘さんのカレンダーをめくり、詩画の方は、そのままにしておくことにしました。(絵の部分と月日を別々にめくれるのです)
「どんな色が流行ろうと どんな形が好まれようと 真白なこぶしの花」
心が透き通っていくような詩です。
こんな生き方が出来たらいいな〜と思わされます。

金、土と、伊豆の一碧湖のほとりにあるホテルで、風に揺れる木々のこずえをのんびり眺めていた私、心は自然回帰です。


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2012年03月27日

Face book

近頃、ブログの間隔が開いて来ました。しばしばご訪問くださっているみなさま、申し訳けございません。
年度末で、帰宅後もいろいろ書かなければならないことがあったのも事実ですが、Face bookをはじめてから、ブログ更新の時間がなかなか取れなくなりました。
短い言葉や写真を手軽にUP出来る。反応が早い。(こう書いているうちにも、facebookにコメントが飛び込んできました!と、つい返信したくなると言う具合)手軽さが魅力です。
ブログに向かうには、何かテーマがなくてはと思い、構えてしまのと、書き込みがないかぎり、どなたがご覧になっているのかわからないというのが、つい間をあけてしまう理由かもしれません。
でも、手軽さばかりに走る現代にも、ちょっと危険を感じます。
文章が書けなくなっては大変、ブロブも続けますので、お見限りなくよろしくお願い致します。
ちなみに、今日27日の日経新聞文化面に、私のことが紹介されます。

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2012年03月10日

元気です!

仕事帰りに近所のスーパーに寄っていたら「啓子さん、今5チャンに出てるよ!」と知人から電話。
その後、家に帰り、「気になる声の正体バラします」を観る頃には、メールが何通も届いていました。
「他の方のようにインタビュー場面ないし、ブログも更新されていない。体調でも悪いの?それともお父さんの具合でも悪い?」と親戚も心配そうです。
私は元気です!ただ、番組出演を辞退させていただいたため、写真だけとなったのです。

そして、父も元気。杖を使いながらも、ケアハウスでの生活に大満足して幸せそうにしています。
その父の楽しみは、家族と外出して食事すること。
一昨日も、病院の健診帰りにレストランに立寄りました。
夕食・・・と言っても時間が早すぎます。あまり食欲がない私に父は大声でいいました。
「どうした?妊娠したのか!?」
耳が遠いせいでボリューム音痴!はあ〜、赤面!

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2012年02月21日

軽井沢めぐみシャレーで

 先週金曜日の軽井沢での東京女子大リトリートは、素敵な思い出となりました。
1日早く軽井沢入りした私を迎えてくれたのは、抜けるような青空の下、輝く銀世界!そして、公演当日もまた晴天。会場の軽井沢恵みシャレーは、木立ちと雪に包まれた別世界でした。

 朗読のタイトルは「でもその傷のところから」これは、星野富弘さんの詩「れんぎょう」からの引用です。東大路佳子さんのバイオリンが、木造のカフェに心地よく響く中、周囲の環境が詩の世界を包み込んでくれるようでした。

 公演後、感想を述べ合う交流会が持たれましたが、印象に残った詩として何人もの学生が、この「れんぎよう」を選びました。「『わたしは傷を持っている』の次に来る『でも』は、神の存在に気づいたあとの逆説の『でも』だと思う。神を信じるとき、傷に対する思いが逆転する。星野さんの詩は、飾らない言葉の中から、愛されてあることの幸せを語りかけてくれているように感じられた」若く美しい彼女達の唇から溢れ出るこれらの言葉に深い感動を覚えた私でした。
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