2007年12月

2007年12月29日

音をたずねて

音をたずねて

今年もあと2日。毎年今頃になると、今年出会ったいろんな人のことを思い起こします。
今年、特にうれしかったのは、エッセイストの三宮麻由子さんとの出会い。
2月10日午後2時半、文芸春秋のPR誌「本の話」に連載中の「音をたずねて」の取材にいらした麻由子さんと、築地の教室のエレベーター前で握手した瞬間、私たちの間に何かが繋がり・・・以来、メールしたり、食事したり、呼び方もいつしか「麻由子さん」から「麻由ちゃん」に進歩?しておつきあいしています。
その麻由ちゃんの「音をたずねて」が、単行本になりました!その中の「時報のお姉さんに会いに」の章で、麻由子さんは「時報を聞けば地球が順調に回っていることが確認出来たような安心感が得られる」と言い、「中村さんの声には、高く澄んでいるだけにとどまらず、滾々と湧き出す泉の水面に手を入れたときのような弾力と、爽快な透明感があると思う。機械的なメッセージの向こうに、何か言葉を超えた呼びかけがあるような気がするのだ。」とおっしゃっている。
なんと言う身に余るお言葉!第49回日本エッセイストクラブ賞を受賞し、執筆に講演にと第一線で活躍中で、しかも絶対音感の持ち主である麻由子さんからこのような表現で私の声をご紹介いただけるなんて感激です!
私については14ページに渡って書かれてあり、その他にも「鈴の音色はどこから来るの?」「効果マンの職人芸」など全部で13の音をたずねたお話が、独特の温かく軽妙なタッチで書かれています。
ぜひご一読ください。
三宮麻由子「音をたずねて」文芸春秋刊/定価(1900円+税)です。

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2007年12月22日

一年前の今日母は・・・

母が藤野温泉病院で、突然ひっそりと天に召されて行ってからちょうど1年。
夜11時、あの日のことを思い起こしつつ、祈り始めました。
去年の今日、ちょうど車が相模湖に差しかかった時刻です。
あのとき突然胸の底から沸き起こったなんとも言えぬ喜び・・・
これが危篤の母のもとへ駆けつけてる娘の感情?と、自分で自分の気持ちを疑ったものでした。
深夜11時30分、母は静かに息を引き取りました。
その驚くような美しい寝顔を見ていたら、あの感覚の意味が分かった気がしました。
あれはきっと天の使いが母を迎えに下りた瞬間だったのだと。

明日は1年祭。家族だけみんなに愛された母を偲びます。


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2007年12月19日

二本杖の人

c92e7c49.jpg12月19日(水)

国分寺駅の構内で、決まった時間に出会う両手に杖をついた男性がいる。
60才代だろうか。
その人は、北口から南口へと通路を抜けてどこかへ通っているらしい。
最初にその姿に気づいたのは、今年のお正月頃だったと思う。
父がリハビリ病院に入ったばかりだった私の目は、いきおい杖の人に吸い寄せられたのだ。
両手に杖を持ったその人の足は、エックス字型にクロスしていた。
つまり、片足に麻痺足を絡ませているのだ。
杖は、足で歩く人を支える役割のはずだが、その人の場合は、手に握った杖が足の役割をしていて、足がズズッと引きずられていくのだ。
構内を横切るたけで、途方もない時間がかかる。
春が過ぎ、猛暑の夏がやって来た頃には、顔から汗が滴り落ちていた。
その姿が痛々しく、一本足の杖ではなく、三点、四点杖とか、松葉杖とかにしたら少しは楽なのでは?
いえいえこの状態では、普通は車椅子だろうなどと、様々に思いを巡らした私だった。
ところが、一ヶ月程前に会ったとき、その人の足は、絡まっていなかった。二本の足が地面についていた。進歩だ!
そして、今日、遂に見た!二本の足が、交互に前へ出ているのだ!うれしいうれしい!
諦めないで、歩き続けたその人は、遂に勝利したのだ!
病院で前向きにリハビリに励み、片手に杖だけで歩けるようになった父も偉いけれど、暑い日も寒い日も気が遠くなるような時間をかけて一人で表を歩き続けたこの人に、
私の心の中の拍手は鳴り止まなかった。
歩け、歩け、決して諦めずに。
構内のクリスマスツリーが、その人の新生を祝っているようだった。

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2007年12月11日

ひとり6役私の1日

12月11日(火)

1,マンション理事長
朝、マンションへ前管理会社の工事担当がやって来ました。
先週、静岡出張の行きに帰りに、現管理会社から給水ポンプ故障のメールが入りました。
帰宅後、通報があったという2階の事務所へ直行すると、給水ポンプが作動する度、轟音がするというのです。
この給水ポンプの交換工事をしたのは、2005年12月。その後、理事会では管理会社を変えてしまいました。
現管理会社は言います「原因がわからないので、分解しなければなりませんが、分解代が1機6万かかります。保証期間は1年ですが、前管理会社に来させるかどうかは、理事長の腕次第ですよ!」
そこで前管理会社へ電話。こちらから切ってしまった会社だけにかけづらい。しかし、腕次第と言われると、腕が鳴るのが私の単純さ。
丁寧に、やさしく粘ってみる。すると・・・「保証期間は1年ですが、確かに2年で故障は早過ぎますね。来週早々業者を連れてうかがいます」ということに相成ったのです。
そして・・・何かが絡まっている様子なので、分解掃除をするか、新品と交換するということに。やれやれ。

2、ナレーター
午後、赤坂のスタジオで、レギュラーのキューピーマヨネーズCM。超ロングランのこのCMだけれど、録る度に楽しい。
声だけで世界を作るラジオCMは、私の原点でもあり、ナレーターとしては、この上なく自由に表現出来る魅惑の世界なのです。

3, 娘
夕方、豊田にある父のケアハウスへ。今週は、日曜日に行く事が出来なかったかった為、洗濯物が山になっていました。
うれしそうに満面の笑みを浮かべて出迎え、次々に連絡事項を述べる父・・・今度娘が来たら何を話そうか、そんなことばかり考えているのでしょう。

4、お手伝い
大きな袋を持って実家のある日野駅に着くと、これまた私以上の洗濯物を持った妹と丁度一緒になりました。
毎日夫の入院先に通い、看病する妹は、家に着く頃にはヘトヘト。
そこで、私はお手伝いさんに変身!洗濯機を回すや、スーパーへ買い物に行き、夕食の支度。今夜は簡単に鉄板焼きですが。

5,パッチ・アダムス
食後、甥が、私に目を閉じさせ、メイクをはじめました。「出来たよ!」の声に鏡を見ると、私の顔はピエロに!ひ、ひどい!
まじめに話しかけて来た妹が、思わず吹き出しました。「そんな顔してると、嫌なことがあってもおかしくなるね!」
そこで、パッチ・アダムスのお話をしてあげました。

6、秘書
階下へ降り、父に届いたお歳暮へのお礼状を3通書きました。3通目の終わりの行になると、睡魔で文字がグニャグニャ。
かくて私の一日は終わり・・・。ふとんに入って眠りにつくのか、眠りながらふとんに入るのか分からないくらいの寝付きの早さです。

このごろ、電話や手紙や、大切なお礼までコロッと忘れてしまうことが多く、いろんな人に失礼してしまっています。
不器用な私です。どれが主役で脇役か・・・頭が大忙しのせいでしょうか。まだ返事が来ないとお思いの方、どうぞおゆるしください。

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2007年12月09日

時報の聞き方

12月9日(日)

先日、ある友人からこんなメールが届きました。
「私の家の垣根のところでじっと携帯を聞いている子がいました。様子が変なので、何をしているの?と声をかけてみたら、時報を聞いているというのです。
話を聞いてみると、彼女は、なんと私の母校の中学生で、いじめに遭い、絶望的な気持ちになって、時報を聞く事で命を確かめているとのことでした。」
時報で命を確かめる!?そんな聞き方もあったのかと愕然としました。

そう言えば、もう10年以上前のことですが、千葉県のある教会で私が朗読をしたとき、遠くからバスを乗り継いで聞きに来て下さったおばあさんがいました。
彼女は、最愛のおじいさんを失い、一人ぽっちになったとき、時報を聞くことで、自らその寂しさを慰めたと言うのです。
シーンとした一人っきり夜、耳元で人の声を聞ける最も身近な手段が電話であり、時報だったのでしょう。
おばあさんは、私の手を握って「あなたと会えるなんて思わなかった」と、涙ぐみました。

丁度一年前、父が突然倒れて入院した直後、母が突然亡くなって・・・あっと言う間に誰もいなくなった実家で、深夜ふとそのおばあさんの事を思い出し、受話器を取って117をプッシュしてみたことがありました。
「午前0時17分ちょうどをお知らせします」その、何の悩みもないような明るい声に、少し心が温もったものでした。

今、このとき、誰がどこでどんな気持ちで時報を聞いているのでしょう。
録音したときには予想しなかった聞かれかたがあることを、少しずつ知るこの頃です。

後日のメールで、垣根の中学生は転校を決めたことがわかりました。新しい環境の中、幸せな時が刻まれますようにと祈ります。

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