December 05, 2005

ヘヴン

 限界点を超えたとき・・・Heaven

 

■・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
出演: ケイト・ブランシェット
    ジョヴァンニ・リビシ
    レモ・ジローネ
    ステファニカ・ロッカ
監督: トム・ティクバ
制作総指揮:アンソニー・ミンゲラ
2002年 ドイツ/イタリア/UK/アメリカ/フランス 96分
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・■


ヘリコプターのシミュレーションを受ける男。
高度が限界に達して墜落してしまう。

自室で時限爆弾を作る女。
手際よく目的の場所に仕掛けたつもりが、
思わぬ事態で、無関係な4人を殺してしまう。

警察の取調べ室で、
自分の目的が達成されなかったことに愕然とし、
結果的に自分の犯した罪の重さに、失神する女。
それをただ見守るしかない男は、その女を一目で愛してしまう。

やがて、男は女を逃がそうと決意する。


言葉にすると、とても陳腐なストーリーだ。。
それに、
設定そのものに反感を持つ人が多いだろうと想像する。

主人公の女の行動は、決して許されるものでもない。
たとえ彼女にどんな理由があろうとも、
それにどんなに共感できても、
それは彼女の取るべき行動ではなかった。

普通はそう考える。


のだが。

例によって、わたしは
「彼女がそうしたかったんだから、仕方ないじゃない」と思う。
それで、社会的に罪を償うことなく、
彼女を愛した年下の男と逃亡しても然りである。

映画は、(小説でもそうだが)間違った行動についての、
客観的な贖罪が描かれなければならないわけではない。


物語を、そういう立場で見ると、
そんな境遇で出会った男と女が、
どのように心を通わせ、結果、どのような行動に出たのか。
その時のふたりはどんな心境にあったのか。
それを描いて見せている作品なのだと思えてくる。


過ぎるまでに抑制が効いた音楽、
時には無音の長い空撮もあって、
そのトスカーナの風景やアングルの美しさは、
彼らが何故そこにいるのかを忘れさせるくらいだ。

いつものことながら、
ケイト・ブランシェットの演技は凄い。
自分の行動が、本来の目的以外の結果を生んだと知った時、
彼女が見せる表情の変化の説得力。
そして、その美しさ。
男がそんな彼女を一目で愛してしまうのが
手に取るように伝わってくる。

ケイト・ブランシェット演じるフィリパを愛する年下の男、
フィリポには、ジョヴァンニ・リビシ。
童顔で小柄な彼は、一途なフィリポによく似合った。
「スカイキャプテン ワールド・オブ・トゥモロー」では科学者(?)、
そして、"例の"「テレーズ・ラカン」では、テレーズの夫の役で出演。
ケイト・ブランシェットの隣に居ると、
何だか頼りなく、弟のような感が拭えないのだが、
それが、この作品の世界観を作っている気がする。

万人向きではないが、
こういう傾向の作品が嫌いでない悠雅でした。



tinkerbell_tomo at 00:18│Comments(14)TrackBack(6) 洋画【は】 

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この記事へのコメント

1. Posted by ジェリマロ   December 05, 2005 00:50
今晩は^^
この作品はイタリアが舞台なのとケイト・ブランシェット出演なので見に行きました。
私のイメージなのですが、イタリアが舞台だと明るくって楽しいのだと思って見に行った記憶が・・・><
最後がえぇ〜な感じでした^^;
この2人「ギフト」でも共演していましたよね!
2. Posted by 悠雅   December 05, 2005 09:03
>ジェリマロさま
今朝は何と言う寒さでしょう。
仕事に出るのがイヤになって、仮病使いたい悠雅でございます。

同じトスカーナでも、
「トスカーナの休日」のような明るさ(未見なのに勝手に想像してる…)とは
違うでしょうね。

これは、ケイトの表情がいい、でも内容が…と聞いて観たのですが、
内容は覚悟してたのと、こういう作品嫌いじゃないのでOKでした。
ただ、確かにラストはえぇ〜〜?ですね。
そこでやっと冒頭のエピソードとリンクした、というわたしは粗忽者ですわ(笑)

「ギフト」未見ですが、観てみたくなりました。
3. Posted by D   December 05, 2005 14:50
ご覧になったのですねえ〜〜♪

ケイト・ブランシェット。
美しいですよねぇ〜(ため息出ました、あのシーン)

過ぎるほどに抑えた音楽。
美しい風景。
本当に、二人のバックグランドが悲しい物語かもしれません。

私も好きな方です。この作品♪
(内容がチョット・・と言ったのは万人受けしないから)

『ギフト』是非ごらんくださいませ!!

4. Posted by 悠雅   December 05, 2005 23:14
>Dさま
はい、観せていただきました!

うんうん。あのシーン、ほんと、ため息出ますよ。
凄いなぁ、この人、こんなに綺麗な人やったんか、って思いました。

わたし、知らずに観ていて、あとから気がつくことが多いのだけれど、
これの総指揮って、アンソニー・ミンゲラなんですよね。
考えたら、この人の作品をそうとは知らずにいろいろ観ていて、
どれも好きなんですよね。
実際、この記事を書こうとして、スタッフを見てびっくり!(笑)

「愛しい人が眠るまで」「イングリッシュ・ペイシェント」「リプリー」「アイリス」
「コールドマウンテン」そして、これ。
どれも、静かで主役が綺麗で悲しくて、多くを語らなくて、
内面やバックグラウンドを想像してしまう人物が描かれる…

これは、ケイトの美しさも去ることながら、
そんなことを考えてしまいました。
5. Posted by おりょん   December 06, 2005 17:09
こんにちは。
『トリコロール』のクシシュトフ・キエシロフスキが
遺した遺作の脚本、ってことだったんで観に行きました。
ティクバは『ラン・ローラ・ラン』を作った人ですよね。
巨匠キエシロフスキの遺作ってことで随分プレッシャーも
あったんじゃないかな、と思いつつも、
すごく良く出来ていて、驚いたことを覚えてます。
6. Posted by 悠雅   December 06, 2005 23:55
>おりょんさま
せっかくおりょんさんが書いてくださったコメントなのに、
最後の一行しか同意できなくて、
っていうか、ほかの部分に共鳴できる知識がないのが残念です。
これから観ていくうちに、その話題にもついていける日がくるかもしれません。

早速、『トリコロール』と『ラン・ローラ・ラン』をリストに入れなくちゃ。

最近、顔を洗って出直してばかりいる悠雅…
7. Posted by nicomon   December 07, 2005 00:35
「ヘブン」、キェシェロフスキー監督関係で 観ました。
私もお勧めします。「トリコロール3部作」、「ふたりのヴェロニカ」、曲もいいです。なんだか 波長が合う映画でした。  「ラン・ローラ・ラン」赤い頭のローラ走りまーす
必見です! すみませんおりょんさま(お初に御目に掛かります)と同じ事で、、、しかし 推薦は 倍になりましたよ
8. Posted by 悠雅   December 07, 2005 19:18
>nicomonさま
おふたりからのお薦め、心に留めておくことにします。

今日、探してみたのですが、見当たらず…
田舎のレンタルショップのこと。
こういう作品を探すのはなかなか大変です。
どこでもあるというDVDではなさそうなので、気長に行きます。
9. Posted by おりょん   December 08, 2005 12:26
レンタルビデオ屋に行っても、お目当てのDVDとかが
借りれないと、とっても悔しいですよね〜。
私も時々、ビデオ屋を放浪することがありますもん。

nicomonさん:: 
オススメ後押し、ありがとうございます(笑)!
10. Posted by 悠雅   December 08, 2005 18:14
>おりょんさま
春までレンタルショップに行くのは、娘に付き合って、だけだったのに、
今は、5件のレンタルショップ巡りをしている状態。
それでも見つからないと、もう、どうせえ、っちゅうねん。
こんなに観るなら、●すれん、とか●ィスカスとかのほうが確実なのかも。

さて、次に観るものはどう相成りますやら。

11. Posted by タンタン   December 10, 2005 00:32
初めまして。
ラスト見たら「やられた〜」って思いました。
最初のヘリのシュミレーションが伏線だったのですよね。
私も嫌いじゃないです、こういうの。
12. Posted by 悠雅   December 10, 2005 19:13
>タンタンさま
こちらこそ、はじめまして。
TB,コメント、ありがとうございます。

そうなんです!
ラストを観るまで、冒頭のシーンを忘れてました(笑)
で、ようやく、「こんな伏線だったのか〜〜?」でした。

派手なアクションもないし、説明的な科白はないし、ファッションだって、
最後は白いTシャツだし…
でも、陳腐ではない。
やっぱり、観てよかった作品でした。
13. Posted by 真紅   March 21, 2007 00:15
悠雅さま、こんにちは。TBさせていただきました。
私、これ「嫌いじゃない」どころか滅茶苦茶ツボでした。
もう、非の打ち所が無い!くらい素晴らしいと思いました。
特にケイトの演技が凄いですね・・。もう、手放しで絶賛してしまいます。
トム・ティクヴァの作品、ということで予備知識全く無しで観ましたが、この作品に出会えて本当によかったです。
ではでは、感涙とともに失礼します。
14. Posted by 悠雅   March 22, 2007 00:11
◆真紅さま
こんばんは。
お返事が遅くなってごめんなさい。

あら!滅茶苦茶ツボでした?
それは何よりでございました。本当によかったです。

それまでも、ケイトの演技は素晴らしいとは何度も思ったけれど、
あの、微妙な表情の変化を観た日には、
決定的に彼女の大ファンになってしまいました。
また、本当に印象的なラストシーン、
ふたりの足音だけが聞こえる、長廻しの空撮、
フィリポの父親の台詞…
心に残っているシーンがとても多いです。
いい作品に出会えた時は、
映画好きでよかった〜、と心から思いますね。

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