June 15, 2009

returns

returns東京サンシャインボーイズ
 期間限定復活公演

 さよならシアタートップス
  Stage&Document




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出演: 相島 一之   西村 雅彦
    宮地 雅子   小林   隆
    阿南 健治   甲本 雅裕
    斉藤 清子   小原 雅人
    梶原   善   伊藤 俊人
    福島 三郎   一橋壮太郎
    野仲イサオ   近藤 芳正
    西田  薫    谷川 清美
    吉田  羊
作  : 三谷 幸喜
演出: 三谷 幸喜
公演: 2009年3月18日 シアタートップス
放送: WOWOW
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わたしは、映画同様に生の舞台が好きだけれど、
関西圏以外の劇場でお芝居を観たことがない。
東京、新宿の「シアタートップス」という劇場も、
その存在も知らないほどだったが、
今年3月、その小さな劇場た閉じられることになり、
縁の9つの劇団が「最後の文化祭」と称して、
さよなら公演を行った。
かつては、そこで3年間公演を行い、人気絶頂の頃解散、
「最もチケットが取れない劇団」と呼ばれたという
東京サンシャインボーイズが期間限定で復活公演。

今回、WOWOWで放送されたのは、
シアタートップス始まって以来(というか、最初で最後だろう)
観客席に10台のカメラを設置して撮影されたもの。
この劇場は、もちろんれっきとした劇場なのだけれど、
大きめの教室ですけど、とか
何か、中途半端に場所が空いちゃったから席並べました、とか
元は倉庫なんですよね、とか言われたら、
そうかもしれないと、一見納得しそうな空間に見える。
舞台の幅がそのまま客席の幅、客席は150って、
役者たちの顔が見え、生の声がよく響き渡る、
ある意味、とても贅沢な劇場だ。
映画にもなった名作『12人の優しい日本人』も、『ラジオの時間』も、
ここで上演された作品だったという。
そんな劇場が、東京で閉じたのね・・・

今回は、こういうきっかけがあって、
役者の1人、相島一之が三谷幸喜に声をかけ、
当時のメンバー全員を集めて、
15年ぶりに東京サンシャインボーイズが集まった。
解散時に言った「30年の充電」は、あくまでも洒落で
本当に30年後に再結成することなど全く考えてなかったらしいが、
今回のこの公演があったことで、
15年後の企画が具体化したのだとか。

今回のWOWOWでの放送は、
役者を辞めて主婦になったが、この時だけ出演した人もいれば、
唯一、他の舞台と掛け持ちができなかった梶原善さんは映像で、
数年前に若くして他界した伊藤俊人さんは声のみで出演した…
という裏話や、1人1人のインタビュー、稽古風景なども含め、
滅茶苦茶豪華な顔ぶれが一斉に舞台に上がったお芝居を
余すところなく伝えてくれた。



さて、物語は。


ある場所に、12人の同級生たちが集められた。
上下をひっくり返しても同じ数字になる、1961年に生まれた、
昭和48年に楠小学校を卒業した12人の教え子に、
人類の将来を託したいと、元教師である人物が彼らを集めたのだった。

他界したその柴田村先生が主張するのは、
3日後に、遥かな宇宙から恐ろしい数の宇宙船団が襲来し、
人類に危機が訪れるという。
かつての6年3組にいた当時の彼ら12人は、
クラスの中でも目立たない存在ばかり。
近況を訊くのも痛々しい、不幸続きの男や、
何だか胡散臭い奴や、
取り立てて、コレという取り柄もなさそうな、
どちらかと言えば、「その他大勢」の、
50を目の前にした、普通のオジサン、オバサンたち。
緊急事態を迎えた今、何故12人が恩師に選ばれたのか。
本当に、人類の危機を救えるのか。
秘めたる潜在能力を信じていた恩師の言葉に従い、
昔の学校であったことを1つ1つ思い出してゆく。


お話そのものは、
「宇宙人による侵略を受けそうなのに、誰も取り合ってくれないので、
 かつての教え子たちを選んで、意思を託したい」と願う先生が、
教え子たちを集めたはいいのだが、本人は他界しており、
娘であるという人物が、父親の言葉を信じ、
ごく普通に見えるオジサン、オバサンたちに願いを託しながら、
潜在能力を探してゆく・・・というものなのだけれど。
設定からして、みんな大真面目だからのっけから可笑しい。
こんなお話を見せられて、大笑いせずにいられようか。
最初っから最後まで、ほとんど大笑いが止まらなかった。

だってね。
無論、設定も奇妙なら、展開だって相当変なんだけど、
1人1人が持っているという潜在能力だって、
いったい、何の役に立つのか訝しいものばっかりで、
でも、自分が忘れていた何かを見つけたら、
みんなとっても嬉しそうで楽しそうで、
馬鹿馬鹿しさと、何だか知らない嬉しさが満載なのだ。

さらに、
交わされる会話や、そのノリは、確かに同窓会の空気そのもの。
昔を思い出す手立てとして、校歌斉唱が登場するのだが、
何だかそれって、とってもよくわかる。
同窓会に行き、自然と流れは二次会のカラオケ。
アリスだ、キャンディーズだ、かぐや姫だ、郷ひろみだと、
青春時代に流行った歌を順繰りに一通り歌った後、
誰が言い出すともなく、校歌斉唱をしていた自分を思い出したり。

荒唐無稽な話が降って沸き、誰も信じないで終わりそうなところ、
「話し合いましょう」という台詞があり、そこにいるのが12人。
しかも、声をかけるのが相島一之だから、
どうしても『12人の優しい日本人』を思い出したり、
相島さんの設定を見ていると、『コンフィダント・絆』みたいだったり。
いつもいつも思うことだけれど、
三谷幸喜の相島一之への信頼の強さを感じてしまう。
2004年の『新選組!』で全国的に顔と名前が売れた、
「源さん」の小林隆さん、いつ見ても優しそうで誠実そうでいいよねぇ。
『新選組!』といえば、このメンバーの多数が、
隊士や、日野の親戚だったりした。相島さんの新見、忘れられないし。
小原雅人さんの役柄も印象強いし。

一橋壮太郎という名前で、チラッと登場する三谷幸喜が、
台詞を言っているところで、何故かカメラが1人のアップを捕らえていた。
三谷の台詞や姿がよほど可笑しかったのか、
手で顔を隠し加減にしながらも、笑いを堪えている西村雅彦さん。
その瞬間、元々嫌いな人じゃないけれど、
何か急に、もっと好きになってしまいました。


とっても楽しかったので、思いつくまま書いてたら、
どうでもいい感想になってしまったけれど。
観たくても観る機会がなかった東京サンシャインボーイズのお芝居が
こういう形ででも観れて、本当に嬉しかった。
ただひたすら、それに尽きます。

tinkerbell_tomo at 08:04│Comments(2)TrackBack(1) お芝居のお話 

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1. 「returns」”東京サンシャインボーイズ”期間限定復活公演  [ ドラマでポン! ]   July 08, 2009 12:58
秘められた能力で地球を守れ??新宿シアタートップス閉鎖を惜しみ、伝説の劇団”東京サンシャインボーイズ”15年ぶりの再集結。もうずっとそれぞれ別個にご活躍の面々を揃えて、何をさせるのかとワクワクしていたら同窓会です。なるほど!若かったよね、懐かしいねーな気...

この記事へのコメント

1. Posted by メグ   June 15, 2009 17:23
悠雅さま こんにちは。
こちらで三谷幸喜さんの舞台が紹介されるたびに「WOWOWが見られるおうちってうらやましいなぁ〜♪」
と思っていたのですが、この作品も放映されたのですね。いいなぁー!
うちで購読しているA新聞夕刊に三谷さんのエッセイが連載されているのですが、この舞台を上演している期間に書かれたエッセイには、三谷さんご自身がいかに幸福感に浸っているかが、読んでいてよく伝わってきました。見たかったです、この作品。
出演者の中にちゃんと「伊藤俊人」の名前があるのが嬉しいです。いろいろ印象深い役者さんでしたが、私は特に「古畑任三郎」での「落語通の科研の桑原くん」役が好きでした。
でも本当に、こうして見ると錚々たるメンバーですね!(^^)
2. Posted by ◆メグさま   June 15, 2009 21:39
こんばんは〜♪
わたしがWOWOWに契約し続けているのは、ひとえに田舎だから。
都会のように観たい映画が全部公開されるわけではないし、
レンタルDVDですら品揃えは決して良くなく、
お芝居に至っては、地元で上演されるわけない田舎に暮らしているから、
観たくても観れない作品を諦めることを思うと、1ヶ月の契約額は
年間を通して考えても、安いものだと思えるだけ。
わたしも都会に暮らしていたら、契約してないかもしれません。

わが家も同じ新聞なので、夕刊のエッセイは読んでますよ。
『新選組!』の時も一生懸命読んでましたが、この作品の話題も出てましたよね。
わたしも、伊藤さんが出演された舞台のDVDを1作だけ持ってますが、
本当に惜しい人がひっそりと逝かれたのだと時々思い返します。
その作品こそ、観れる機会があったのに見送ったことが悔やまれます。
でも、たとえ昔の作品からの声だけの出演であっても、
三谷さんが伊藤さんに拘っておられるのが嬉しくもありました。

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