August 27, 2010

カラフル

ぼくがぼくであるために。
カラフル



■・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
声の出演: 冨澤 風斗   宮崎あおい
       南   明奈      まいける
       入江 甚儀   藤原 啓治
       中尾 明慶   麻生久美子
       高橋 克実
監督: 原  恵一
原作: 森  絵都
2010年 日本 127分
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・■

シネコンの上映案内を何故かうっかり見落としていて、
これが近くで観れない…と諦めていたのに、
改めて案内を見直してみたら、あるじゃないの、あるじゃないの、
いちばん近いシネコンで、観たかったこの作品が。
だったら、是非観て来なくっちゃ、と慌てて観て来た。
上映案内にちゃ〜んと載っていたのに見落としたのは・・・
トシのせいではなく、今年の暑さだと信じたい。



物語は。


ふと、“ぼく”は気がついた。
死んだはずなのに、どこともわからない暗い空間にいて、
ぼんやりとだが、これから行く先は向こうだろうと思っていた。
行こうとする“ぼく”を、小学生くらいの関西弁の少年が呼び止める。
「過去に深い罪を犯したけれど、抽選に当たったので、
 再び生きるチャンスが与えられた。ついては、自殺を図った中学生が
 まもなく死亡するので、彼の身体にホームステイして、
 自分の罪を思い出すと、新たな命が与えられる」
プラプラと名乗る彼はそう伝え、“ぼく”をその身体へと案内する。

優しい両親、優秀な兄に囲まれた、平凡な家庭の末っ子、小林真。
それが“ぼくのホームステイ先だった。
何故、自殺を図ることになったのか不思議な“ぼく”にプラプラは、
真として生きてゆくために必要な基本情報を教えてくれる。
優しいだけの父、不倫中の母、弟を馬鹿にしている兄、
ひそかに想いを寄せる後輩は援助交際。
「何故、コイツなんだ?」と思いながら、
“ぼく”は真として生きてゆくことになるのだが・・・



あの世とこの世の境界の、
本人も与り知らぬところで「抽選に当たった」ので、
見知らぬ少年をホームステイ先として、
再び下界で暮らすことになった“ぼく”と、
崩壊寸前の家族を描いたアニメーション。

ユーモラスな部分を含み、それがひと時の和みを与えるけれど、
基本的には、決して明るい世界が描かれるわけではない。
そもそも、主人公は以前の世界で、何をした誰なのかの記憶がなく、
顔も知らない中学生として生きることになるのだが、
その彼の死の原因も自殺であり、家庭環境や学校での人間関係も最悪。
“ぼく”はホームステイ先で、どう生きるといいのか迷った上、
投げやりになったり、母に辛く当たったりするのである。
地味でこじんまりしているだけではなく、
日常の中に異質な非日常が無理矢理入り込んでいる感覚は、
主人公にすれば、どこまで関わっていいのかが掴みにくく、
観客は、彼の言動に共感したり不安になったりするのである。

そんなあれやこれやが、
細部まで実に美しく丁寧に、
実写と見紛うほどにリアルに描かれた風景を背に、
アニメーションだからこそ作り上げられる空気で綴られてゆく。
つまり、フィルムで撮影してきたかのような町の中に、
その物語のためだけに作られた人間たちがいて、
そこに、感情が息づいている、という構造は、
実写ではなかなか実感できないものではないかと思うのだ。
そのバランスが、このお話にとてもよく合う表現方法に思えた。
途中、お話の中心に登場してくる二子玉川の町並みや駅などは、
おそらく、実に写実的に描き込まれているのだろう。
特に、ここ数年、特に東京とは縁がない地方の者にも
その地名だけは聞こえてきている町のこと、
町の隅々までよくご存知の方も多いことだろうから、
全部を詳細に描かなければ、大いに違和感を与えてしまうものね。

アニメーションといえば、是非必要なのが吹替えの声。
今回は、よく知った人と全く知らない人が吹替えていたのだが
(アニメをあまり観ないので、声優さんを知らなくてごめんなさい)
どの人も全く違和感を感じることがなくて、
とてもその個性と声が合っていたと思う。
声優さんを知らないこともあるし、
最後まで誰の声か気づかずに観ていた、宮崎あおいや南明奈など、
声の主の顔が浮かんで来ることがなかったのが、
物語に入り込めた大きな理由だったと思う。
欲を言えば、プラプラの台詞。
せっかくイントネーションは関西弁なのに、
言葉の端々が関西弁では使わない言い回しが多かったので、
ところどころで蹴躓くような思いをしたのではあるけれど・・・
ま、それは何も、今回のこの作品に限ったことではない。
そうそう。この「プラプラ」の正体が最後のほうで明かされるのだが、
何となくそんな感じがしたのは、
ちょっと似通った設定の作品を、何本か観たからだろうか。

また、自分でも嘘みたいなのだが、
普段はどんな作品を観ても、あんまり音楽に気づけないところ、
今回は、過ぎるくらいにマッチするメロディが流れる部分と、
シーンの印象よりも強めの音楽が流れる部分の印象が強く、
その音楽や歌詞を聴くだけで、早々に涙腺が決壊してしまった。
たぶん、筋書きが筋書きなだけに、
中学校で孤立し、学校へ行けない日が続いた息子を持つ母は、
もう10数年も前の、本人の記憶からはすっぽり抜け落ちているという、
クラスじゅうからの虐めや無視や、クラスメートの悪意を思い出し、
声を上げて泣きそうになる場面が幾度となくあった。
特に、「ある意味、最強」の早乙女くん、
美術部のめがねの彼女、この2人の存在に、心の中はおいおい泣いていた。
もうこれは、わたしにとっては、作品としてどうなのか云々以前の問題である。


精密で美しい背景、アニメーションらしい人物造形と感情の表現、
音楽の使い方、吹替え、描かれる内容・・・と
どの要素も期待を裏切らないで、いい作品に作り上げてくれたと思う。
年末に今年のまとめをしたら、
きっと上位に挙がってくる作品になるだろうと思います。

tinkerbell_tomo at 10:00│Comments(18)TrackBack(26) 日本の映画 

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直木賞作家・森絵都のベストセラー小説のアニメ化。罪を犯した魂が抽選に当たり、自殺した少年の体を借りて現世にホームステイするというファンタジードラマ。監督は『クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶアッパレ!戦国大合戦』の原恵一。声の出演は宮崎あおい、麻生久美子、高橋克...
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Colorful オリジナル・サウンドトラック◆プチレビュー◆もう一度世界を見つめ直した少年の心の旅。ファンタジーとリアルが絶妙にブレンドされている。 【70点】 罪を犯して輪廻できない魂の&ldquo;ぼく&rdquo;に天使らしき存在のプラプラが話しかけた。「抽選に当たりま....
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森絵都さんの原作は以前に読んでいました。 非常に印象に残った小説でしたが、こちら

この記事へのコメント

1. Posted by AKIRA   August 27, 2010 18:43
ちくちくと刺激される場面が多くて,
単純に「好き」という言葉でくくれない作品でした。

大きい小さいに関わらず,
作中と似た経験を持っていると,
ぶわっと泣いてしまいますよね。。

ヘビーだったけど,ハッピーエンドで良かったぁ♪
2. Posted by かのん   August 27, 2010 21:13
よくある学園ドラマなら唱子さんも早乙女くんもその他大勢どまりのキャラだと思うのですが、そんな彼らをキーパーソンにしているところが物語として素敵なんですよね。

しかもあのちょっと見た目冴えない唱子さんの声を宮崎あおいちゃんが演じるというのはアニメならではの演出に思いました。
3. Posted by ◆AKIRAさま   August 27, 2010 21:46
多くの場合、ここではこんな反応にはならないんだろうと思いつつ、
少しなりとも似たような思いをしたことがあったら、
ひとつの作品との出会いというのではなくて、
かつて、痛みや苦しみを感じた記憶との再会になってしまいます。
もう、途中から、本当に涙が止まらなくて困りました。

きっと、希望が見える終わり方をしてくれるだろうと信じてたけど、
いい終わり方をしれくれて良かったです。
4. Posted by ◆かのんさま   August 27, 2010 21:55
誰ひとり友達もない彼を救うのがクラスの人気者だったら
お話も変わっちゃいますもんね。
早乙女くんと唱子ちゃんだからこそ、真くんも救われたと思いました。

見た目も言動も、かなり変わり者の唱子ちゃん、
吹替えの声の主を考えることもなく観てましたが、
あれが宮崎あおいちゃんの声だったんですものね。
アニメーションならでは、ですね。
5. Posted by KLY   August 27, 2010 23:58
いい作品でした。
細かく描かれた背景同様に、実に丁寧に描かれた登場人物たち。特に真。
私は中学で親元を出て高校は寮生活でしたので、何にも増して友達を大切に思うタイプです。一人が耐えようもなく嫌で、常に友達といたい人でした。それだけに初めて友達が出来た真の気持ちはいたいほど良くわかります。一人の友達の存在が自分の人生を変えることは普通にあるはずだと思うんですよね。
6. Posted by ◆KLYさま   August 28, 2010 18:48
いい作品でしたね。
背景の緻密さは驚くばかりですが、
重要な人物の描写も丁寧だったことが、より観客の心を掴んだと思います。

まぁ。そういうご経験をお持ちでしたか。
途中に出てきた、教室移動の時に1人であることのみじめさだとか、
悪意の中での孤立だとか、友達が1人できた時の言い様のない喜びだとか、
どこかに少しでも思い当たるものがあったり、容易に想像できたりする時、
この作品は観る人にとって、とても大切なお話になりますね。
ただ1人の友達、何気ないかもしれない約束が、誰かを救い、
その後を大きく変えてゆくこともある…本当にそう思います。

あまりにも心を動かされてしまったので、小説を衝動買い、すぐに読了しました。
7. Posted by ノラネコ   August 28, 2010 22:31
こんばんは。
細部まで作り込まれた素晴らしい作品でした。
誰もが通った人生の一ページをアニメーションならではの表現で描き切りました。
家族の他のメンバーの視点から真の葛藤を観ると、また違った感慨がありそうですね。
8. Posted by SOAR   August 29, 2010 01:59
原作はよくまとまった読みやすい作品でしたが、もう少しふくらみや奥深さがあるといいなあという感想も持っていました。
本作では脚本でそのあたりがうまく補強され、それを原監督が見事に映像化してくれたと思います。

こういう重いテーマを抱える作品に出会ったとき、自分に重なる部分があると胸が痛くなるものですよね。“ぼく”同様に、悠雅さんにとってもふたりのクラスメートの存在は救いとなったのでしょうね。

早乙女が“ぼく”の心をじわりじわりと溶かし、唱子が決定的な一言で“ぼく”を救います。真を救います。
さらにプラプラのカミングアウトが劇的に続くクライマックス。
そしてどこまでも爽やかで清々しいエンディング・・・。

またひとつ、素晴らしいアニメに出会えました!
9. Posted by ◆ノラネコさま   August 29, 2010 10:32
こんにちは。
背景の描写の素晴らしさはもちろん、人物たちも丁寧に描かれていて、
お話も素直に胸に届いてくる、とてもいい作品だったと思います。

なるほど。
主人公の視点で語られる作品だけれど、
わたしはやっぱり母親の立場から感じたものが多かったんですが、
たとえば、兄なら兄の視点で観ると、弟はどう見えたんでしょう。
観た人の心にある何かに呼応したとき、それぞれの物語になりそうな作品です。
10. Posted by ◆SOARさま   August 29, 2010 10:38
わたしも早速小説を読んでしまいましたが、
仰るとおり、設定やシーンの多少の変更、削除、追加があったことで、
より色鮮やかな作品として再構築されたと感じました。
特に、文章ではさらりとした一文が、映像になった時には
涙がこぼれるほど嬉しい場面になっていたりしましたものね。

全く同じ経験ではなくても、どこか少しでも同じ痛みを感じる部分があると、
思いは自分の過去のものに飛んでゆくんですが、
そんな経験が1つもなくても、容易に想像させてくれるような描き方が
多くの人の心を救い、力づけてくれる気がしました。

最初は、どんなことになってゆくんだ…?と思いましたが、
派手さはないけれど、実はとても凄いことが起こっている、
ラストへの大団円が見事でしたね。
いい作品との出会いがあると、本当に映画を観ててよかったと思います。
11. Posted by えい   August 29, 2010 17:04
こんにちは。

>実写と見紛うほどにリアルに描かれた風景を背に、
アニメーションだからこそ作り上げられる空気で綴られてゆく。
つまり、フィルムで撮影してきたかのような町の中に、
その物語のためだけに作られた人間たちがいて、
そこに、感情が息づいている、という構造


まさに、これぞ原監督の芸術ですね。
そこに、彼のモチーフである「家族」を入れ込み、
そして、クライマックスに「食卓」を持ってくる。
やはり、この映画は今年の邦画のベストです。
12. Posted by ◆えいさま   August 29, 2010 21:20
こんばんは。

この監督が描こうとするものや意味が
何となくわかるような気がしました。
というほど、わたしはまだまだ他の作品を知らないんですが、
この方の作品に外れはないだろうという確信のようなものが生まれました。

わたしも、この作品は今年の邦画の上位に来ることは間違いないと思います。
13. Posted by maru♪   September 01, 2010 01:53
TBありがとうございました!
livedoorの方にはこちらからのTBが反映しないんです(涙)
コメントで失礼します。

早乙女くんにとって、真くんに普通に接することは、普通のことなんですよね。
でも、普通に接することが人を救うこともある・・・

なぜ、人に悪意を向けるんでしょうね・・・
無抵抗な相手の背中に、シャープペンを突き刺すことしかすることがないのは、悲しい人生なのだと気づいて欲しいと思います。

美しい背景と、キャラが強すぎない人物たちの画が、淡々と心に響く映画だったと思います。
14. Posted by ◆maru♪さま   September 01, 2010 21:14
こんばんは。
こちらこそ、そのままにして下さっても仕方ないのに、
ご丁寧にコメントをいただいてありがとうございます。
TBの相性がなかなか改善されず、ご迷惑をおかけしてすみません。

ホントですね。早乙女くんは何も頑張って真に接しているわけじゃなく、
ごく普通に話しかけて微笑んでくれるんですものね。
誰にも受け入れられないかと思っていた真にとって、
それがどれほどの救いであったことでしょうね。
そう思うと、早乙女くんが救世主のように思えてしまいます。

人間は、善意も悪意も持ち合せる生き物だとは思いますが、
ちょっと想像力があれば、他人に悪意を向けることはできないものですよね。
仰る通り、他人を苛め陥れて楽しいという人生は、悲しいものだと思うのですが、
それに気づけない人が多い…ということなんでしょうね。。。

とってもいい作品に出会えてよかったなぁ、と素直に言える作品でした。
15. Posted by rose_chocolat   September 02, 2010 05:27
こんにちは。
やっぱり母目線で観てしまいますよね。

その時期を通り過ぎてしまうと、たぶんすごく泣けてくるのでしょうが、
まさにまっただ中の子を持っている立場としては、泣くに泣けない部分もありました。
1つ上のコメントの、maru♪ちゃんのコメントを読んで思いだしたのですが、背中にシャープペンというのはまさにうちの子が受けた被害です。
面白半分でどうしてそんなことができるのかと、神経を疑ってしまいます。

日々いろいろなことがあり、親業はしんどいものですが、全てが終わって、友達がいてくれてよかったと思えるようになった時に改めて鑑賞すると、また違った感想になるのかもしれません。
16. Posted by ◆rose_chocolatさま   September 02, 2010 17:11
こんにちは。
どうしても母目線になりますね。
特に、似た経験がある者にとっては、堪らない場面が何度もありました。

シャープペンが彫刻刀になり、クラスじゅうでの無視や嫌がらせになり、
せっかく勇気を出して登校しても、その気持ちを挫くような悪意が生まれ、
それがどんどんエスカレートする・・・
10年も前に通り過ぎたから泣けてくるだけなのかもしれないし、
現在まさにその状況なら、どんな心境で観るのかはわからないですが、
その痛みは、今も昨日のことのように覚えているものなのですよ。
rose_chocolatさんのお子さんがそんな経験をせずに済むように祈ります。

思春期の多感な子供たちを育てている最中は無我夢中で、
余分なことに気持ちを囚われることもなかったですが、
今だからこそわかること、感じることもあって、
親というのは、いつまでも子供を心配しているものだと思います。
17. Posted by にゃむばなな   September 02, 2010 17:59
この映画を見て久しぶりに尾崎豊の曲が聞きたくなりましたね。
多分この映画を見て中高生だった頃を思い出したからでしょうか。
ふとそんな気持ちにさせてくれた映画でしたよ。
18. Posted by ◆にゃむばななさま   September 02, 2010 18:52
中高生の頃を思い出して、聞きたくなる曲が随分違うなぁ、と(笑)
どうしても、母親目線で観てしまって、自分の時代にまで遡れなかったですが、
それでも思い出してみたら、中学校って混沌とした世代と空間だったなぁ…
今の中学生たちは、この作品をどう観るのでしょうね。

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