November 06, 2010
DISTANCE/ディスタンス
■・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
出演: ARATA 伊勢谷友介
寺島 進 夏川 結衣
浅野 忠信 りょう
遠藤 憲一 中村 梅雀
津田 寛治 木村 多江
中村 育二 村杉蝉之介
監督: 是枝 裕和
2001年 日本 132分
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・■
是枝裕和監督、
ARATA、伊勢谷友介出演というので、遅れ馳せながら観ることに。
2001年作品。
物語は。
ある夏の日、3人の男と1人の女が山合の町に集まった。
花屋で働く敦。フリーター(学生?)の勝。
サラリーマンで1歳の女の子の父、実。
高校の国語教師、きよか。1年ぶりの再会だった。
彼らは、3年前に起きたカルト教団“真理の箱舟”が起こした,
大量無差別殺人事件の加害者家族たちだ。
教団に粛清された加害者たちの命日に、
遺灰が眠る湖に1台の車に同乗して向かったのだった。
彼らはそこで、1人の青年に出会う。
彼は元信者で、ゆえあって5人は教団がかつて使用していた、
ロッジで一晩過ごすことになるのだが・・・
まるで、ドキュメンタリーのような風合いで始まるこの物語は、
そこだけでは、いったい主人公たちはどんな繋がりで、
何が目的で集まったのかよくわからない。
冒頭、主人公たちの日常の背後に流れるニュースの音声を
何となく聞き流してしまったらアウトかもしれない。
彼らの日常や会話からも、特に関係性を感じさせはしない。
久しぶりの再会は楽しいピクニックにも見えなくはない。
ただ、流れている空気は、楽観的なものでもないことはわかる。
時系列どおりに流れる現在のパートに、
3年前の、それぞれの「事件」前後の光景が挟み込まれ、
行きつ戻りつする中で、一見長閑な4人も、
背負ったものは重いものなのだと想像する。
あるいは、後程合流した男にとっても、
忘れ得ぬ場所、忘れ得ぬ人物であるに違いない。
・・・ということも、後々わかってくることである。
キャストたちも詳細をあれこれ知らされず、即興的な演技を求められ、
撮影されたものであるのだという。
何も知らされない出演者たちは、彼ら自身の素の反応か、あるいは、
求められれば勝手に身体や言葉が動いてゆくプロのテクニックか・・・
それらが明確に映し撮られているんだろう。
何気なく続けられる会話の一言一言、微妙〜な間合いは、
詳細な脚本に書き込まれているものというよりは、
役者たちに委ねられているらしいことがよく見て取れる。
けれど、そんな彼らをただぼんやり眺めていたら、
大きな、とても大事なことに気づけないで観てしまうかもしれない。
これは決してミステリではないので、構えて観る必要はないけれど、
ちょっと重要かもしれない、と思う要素が、
後から思えば散らばっていたなぁ、と思う。
それは、登場人物を描く小さな情報であったり、
観客たちに考えさせるヒントであったり・・・
そうして、お話の中に登場する湖のように静かに、
心に残ってゆく作品になりそうな気がする。
もちろん、
美しい風景やキャストたちのもともとの魅力や自然な演技を楽しむのも
(で、これが何で面白いんですか、というご意見も)
いいと言えばいいんだけれども。
これは、かなり気に入ってしまいましたわ。
これを観たきっかけは、ARATAなんだけれども、
だからと言うからじゃなく、この作品で注目すべきはやっぱりARATAですねぇ。。。
っていうか、彼が演じた役柄、っていうか言動が、っていうか。
この、いちばん穏やかで優しげな彼がいちばん謎めいているんだけれど、
さて、彼は誰だと思う・・・?
寺島進、遠藤憲一、津田寛治、といういい感じの男たちも、
それぞれの役柄がとってもリアルで説得力があって、
この情報の少ない作品の構造の中で、とてもとても重要なパートで・・・
(それから、DVD特典が実はとってもお気に入りに追加、でございます)
ああ、この作品もやっぱり好きだなぁ。。。
出演: ARATA 伊勢谷友介
寺島 進 夏川 結衣
浅野 忠信 りょう
遠藤 憲一 中村 梅雀
津田 寛治 木村 多江
中村 育二 村杉蝉之介
監督: 是枝 裕和
2001年 日本 132分
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・■
是枝裕和監督、
ARATA、伊勢谷友介出演というので、遅れ馳せながら観ることに。
2001年作品。
物語は。
ある夏の日、3人の男と1人の女が山合の町に集まった。
花屋で働く敦。フリーター(学生?)の勝。
サラリーマンで1歳の女の子の父、実。
高校の国語教師、きよか。1年ぶりの再会だった。
彼らは、3年前に起きたカルト教団“真理の箱舟”が起こした,
大量無差別殺人事件の加害者家族たちだ。
教団に粛清された加害者たちの命日に、
遺灰が眠る湖に1台の車に同乗して向かったのだった。
彼らはそこで、1人の青年に出会う。
彼は元信者で、ゆえあって5人は教団がかつて使用していた、
ロッジで一晩過ごすことになるのだが・・・
まるで、ドキュメンタリーのような風合いで始まるこの物語は、
そこだけでは、いったい主人公たちはどんな繋がりで、
何が目的で集まったのかよくわからない。
冒頭、主人公たちの日常の背後に流れるニュースの音声を
何となく聞き流してしまったらアウトかもしれない。
彼らの日常や会話からも、特に関係性を感じさせはしない。
久しぶりの再会は楽しいピクニックにも見えなくはない。
ただ、流れている空気は、楽観的なものでもないことはわかる。
時系列どおりに流れる現在のパートに、
3年前の、それぞれの「事件」前後の光景が挟み込まれ、
行きつ戻りつする中で、一見長閑な4人も、
背負ったものは重いものなのだと想像する。
あるいは、後程合流した男にとっても、
忘れ得ぬ場所、忘れ得ぬ人物であるに違いない。
・・・ということも、後々わかってくることである。
キャストたちも詳細をあれこれ知らされず、即興的な演技を求められ、
撮影されたものであるのだという。
何も知らされない出演者たちは、彼ら自身の素の反応か、あるいは、
求められれば勝手に身体や言葉が動いてゆくプロのテクニックか・・・
それらが明確に映し撮られているんだろう。
何気なく続けられる会話の一言一言、微妙〜な間合いは、
詳細な脚本に書き込まれているものというよりは、
役者たちに委ねられているらしいことがよく見て取れる。
けれど、そんな彼らをただぼんやり眺めていたら、
大きな、とても大事なことに気づけないで観てしまうかもしれない。
これは決してミステリではないので、構えて観る必要はないけれど、
ちょっと重要かもしれない、と思う要素が、
後から思えば散らばっていたなぁ、と思う。
それは、登場人物を描く小さな情報であったり、
観客たちに考えさせるヒントであったり・・・
そうして、お話の中に登場する湖のように静かに、
心に残ってゆく作品になりそうな気がする。
もちろん、
美しい風景やキャストたちのもともとの魅力や自然な演技を楽しむのも
(で、これが何で面白いんですか、というご意見も)
いいと言えばいいんだけれども。
これは、かなり気に入ってしまいましたわ。
これを観たきっかけは、ARATAなんだけれども、
だからと言うからじゃなく、この作品で注目すべきはやっぱりARATAですねぇ。。。
っていうか、彼が演じた役柄、っていうか言動が、っていうか。
この、いちばん穏やかで優しげな彼がいちばん謎めいているんだけれど、
さて、彼は誰だと思う・・・?
寺島進、遠藤憲一、津田寛治、といういい感じの男たちも、
それぞれの役柄がとってもリアルで説得力があって、
この情報の少ない作品の構造の中で、とてもとても重要なパートで・・・
(それから、DVD特典が実はとってもお気に入りに追加、でございます)
ああ、この作品もやっぱり好きだなぁ。。。