December 26, 2010

ノルウェイの森

わたしがいたことを覚えておいてほしいの。。。
ノルウェイの森



■・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
出演: 松山ケンイチ
    菊池  凛子
    水原  希子
    高良  健吾
    霧島 れいか
    初音 映梨子
    柄本  時生
    玉山  鉄二
監督: トラン・アン・ユン
原作: 村上  春樹
2010年 日本 133分
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・■

公開されたらすぐ観る予定がすっかり変わり、
2週間経ってやっと観ることができた。
小説を読み、トラン・アン・ユン監督作品を3作観て、
イメージしていた通りの作品だった。



物語は。


1987年、37歳の「僕」は、ハンブルグ空港に着いた時、
機内に流れる、ビートルズの『ノルウェイの森』のメロディを聞いて、
19歳だった日々を思い出す。
決して彼の記憶から離れることのなかった、1969年を。

大学1年生になり、故郷を離れて東京の大学に進学した僕は、
毎朝、国旗が掲揚される学生寮に入った。
籍を置く大学も出身地も様々なその寮で、
僕はとても真面目な男と同室になり、綺麗好きになった。
そんなある日、僕は直子と電車で再会した
直子は、僕の亡くなった親友の恋人だった・・・

というのが、小説を読んだ時にまとめた、あらすじの一端。
小説は、37歳になった主人公の回想という形で、
主人公の一人称で語られてゆくのだが、
映画はその部分には全く触れず、劇中の主人公のモノローグで、
後日、回想をしているということがわかってくるだけだ。
さらに、本題(?)に入る前に、主人公の身の回りの人々についても、
何人かについて語られているのだが、
上記で太字にした部分以外は、何となく匂わせる程度である。
上下2巻を2時間余りに纏めるのだから、
どこかをコンパクトにしなければならないから、
このあたりは、脇の人物も面白いから残念といえば残念だが、
そこはもう、お話を主人公のみに絞って正解だっただろう。
そうして、主人公、ワタナベは、かつての親友の恋人直子と再会、
彼女を深く愛するワタナベの19歳から20歳の1年間の物語が始まる。

1969年といえば、このわたしでもまだ小学生。
小学生の耳にも、大学紛争のニュースは届いており、
「安保、反対」というシュプレヒコールも覚えたほどだったが、
現実には、『魔法使いサリー』が大好きな低学年だった。
だが、赤電話、流行した服装、生活用品などには見覚えがあり、
大学紛争とは何かよくわからなかったわたしにも、
この時代を強く感じる要素があちこちにあった。
そんな中、読書ばかりしていた内向的な青年が、
1人の女性と深く深く関わって、
愛することを覚え、深く傷つき、苦悩する日々が描かれる。
時には、ワタナベのモノローグで、
時には、唐突に思えるほどのたくさんのエピソードで、
時には、様々な感情を掻き立てられる音楽で、
そして、とても美しい映像で。

ほとんど小説の筋書きを忠実に映像化した内容だが、
小説ファン、あるいは、1度以上読んだことがある人にとって、
この作品がどう映るのかは、その人次第だろう。
忠実だと感じる人もあれば、これならば及第点だという人も、
これはちょっと・・・と辛口の点数の方もいらっしゃるに違いない。
わたしは、描くべきところに的を絞って、
映像といい、音楽といい、登場人物の表情といい、
とても巧く映像化されたものだと思った。
もちろん、小説を読んだ印象が強いので、よくわかったのかもしれず、
全く未読の場合は、ちょっと入り込めない印象もあったかもしれないが。
いずれにせよ、これは観る人を選ぶ作品であろうとは思う。


この作品が映画化されると知った時、
20数年前には一旦挫折した小説を改めて読み直し、
メガホンを取るという監督の作品を2作品観て、
(その後、もう1作品観たが)
この小説を映像化するのに相応しい監督だと思った。
美しい映像と、寓意を匂わせるモノの描写や、
多くを語らずに感じさせる、淡々とした表現は、
どんどん内側へ入り込んでしまう主人公たちの目線に立って、
その世界観を表現するのに最適な人選だと思ったのだ。
で、結果を言えば、その期待は外れなかったと思う。

しっかりと湿気を帯びたような映像に、
いろんな形で登場する、「水」のイメージ。
それは、雨であり、川であり、海であり、雪でもある。
ワタナベの心が大きく動くとき、水はいつも彼の傍にある。
一方、死のイメージが色濃く付き纏う流れの中、
1人でよく卵を食べているワタナベは、自分の内側へ篭るけれども、
死を意識している風はない。
確か、『シクロ』でも観た気がする、女の足の爪先…
そして、
まるで、その人物の心の中を覗き込みたいがために、
至近距離まで近寄っているかのような人物の大写し、
感情の流れを途切れなく掬い取りたいために、
主人公たちを追っているかのような長回し・・・
言葉では表現しなくても、伝えたいもの、感じさせたいものが、
そこここに込められているように感じる映像ばかりだ。

そんな映像の中にいる、ワタナベ@松山ケンイチと直子@菊池凛子。
正直、菊池凛子の20歳の設定は苦しいと感じることもなくはないが、
身も心も不安定な直子の感情をとても巧く表現していて、
本当に直子がそこにそうしているような気がしてくる。
キズキのイメージにぴったりの高良健吾、
どこか、監督夫人のトラン・ヌー・イェン・ケーに似た雰囲気の水原希子、
「もちろん」松山ケンイチも、ワタナベらしくてよかったなぁ。


観る人によって、入り込めるかどうか、好きか嫌いか、はあるだろうが、
わたしは、小説の文体や内容を、この監督が彼らしく映像化して、
主人公たちの思いに寄り添うような、美しい作品になっていたと思う。
あくまでも、こういうお話が苦手ではないというのが前提だが。

tinkerbell_tomo at 16:33│Comments(12)TrackBack(35) 日本の映画 

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原作は未読ですが、大ベストセラーだったのね。強く人を愛すれば愛するほど心は痛くなる。でもそんな愛を経験した事がないんだよなぁ…。 傷付くのが嫌でワタナベがあまり人と係わり合いになろうとしない所なんかは共感出来た。ただ菊池凛子さんのキャスティングはちょ
34. ノルウェイの森  [ のほほん便り ]   November 15, 2011 12:05
「なるほど、あのオハナシを映像で描くと、このようになるんですね」と、大いに感心。モテモテ、ワタナベくんに (^ー^*) この大ベストセラーを映画化したのが外国の監督さん(ベトナム出身、「青いパパイヤの香り」のトラン・アン・ユン監督)ってあたり、「正解だった…
35. 【映画】ノルウェイの森…コレすげぇ嫌い。  [ ピロEK脱オタ宣言!…ただし長期計画 ]   January 07, 2013 20:59
まずは近況報告から。 2013年1月4日(金曜日)は、仕事始めで、夜勤スタート。 仕事が嫌いとか、会社に行きたくないとか、そういう感覚とは割と遠いところにいる(つもりの)私ですが、やっぱり休みの方が好き。 2013年1月5日(土曜日)は、息子が関東に戻るというので...

この記事へのコメント

1. Posted by cinema__61   December 26, 2010 17:51
お久しぶりです優雅様。
私も原作にかなり忠実だと感じました。
そしてトラン監督らしく映像と音楽が美しく、日本人ではない監督がここまで村上文学を映像化したことに賛辞を送りたいです。
ただこの映画は、愛読者の想像力と合わないということもありますね。
私は、松山くんはかなりワタナベに合っているように思いましたし、水原さんは雰囲気が似ているように思いました。菊池さんは、かなり努力して上手に演技していましたが、直子の持つ儚げな病的な感じは、演技力だけではムリなように思いました。

セリフが小説の一節を読むようで、何だか自分も本を読んでいる気がしました。
ラストのビートルズの「ノルウェイの森」は素敵で、帰宅後CDを引っ張り出して聴き直したり、暫しタイムスリップ状態でした。
2. Posted by ◆cinema__61さま   December 26, 2010 23:22
こんばんは。師走は何かと気忙しいですね。

世界各国で翻訳されているらしいので、生活習慣や文化が違っても、
人間の本質など、世界共通で感じ取れるところを、
いつも繊細さと大胆さと美しさで魅せる監督が、
とても巧く表現されたと感じました。
この監督が撮られると聞いた時、こんな感じだろうと想像できましたよね。

この作品に限らず、小説に思い入れが強いと、思い描く人物が、
映像になった時に違うタイプになっていることは多々あります。
わたしも最初、菊池凛子さんが直子か…とちょっと違和感を感じましたが、
観ているうちに、わたしは直子を病的で神経質な少女と思っていたけれど、
キズキが生きている間は、ごく普通の明るく元気な子だったのでは、と思い始め、
じゃあ、彼女でもよかったんだなぁ、と思い直しました。
ただ、やっぱり20歳という設定は苦しいものがありました。

わたしは、この時代は小学校低学年で、ビートルズも知らなかった頃、
懐かしさよりも、自分の知らない時代を観ている感覚でした。
3. Posted by rose_chocolat   December 27, 2010 00:04
本日、2回目の鑑賞をしてきました。
私はやはり、好きです。 この映画。

>「水」のイメージ

ですね。 
海、池、水たまり、汗、涙、雪、雨。
トラン・アン・ユン監督作品には「湿度」が常に付きまとうんだなと感じることしきり。

今では恋も愛も、本当にドライに、パサパサになってしまっていますが、
人を愛する時って様々な想いもある訳で、例えば感情の揺らめきが肌の質感に出てきたりもしますよね。
彼の作品は、そういう人間や自然の「揺らぎ」のようなものを、「水」のイメージに込める作風だと感じます。

それでも原作未読者さんにはかなりハードルは高いと思います。 
私も読み返して臨んで正解でした。
4. Posted by KLY   December 27, 2010 01:38
私も菊地凛子ちゃんはそんなに悪くない、というか結構好きだったんですね。未読で観ましたが、読了した今でもそう思います。しかし、巷ではボロクソですね。(笑)
台詞回しの妙であったり、映像感覚は最初から気にいりましたが、お話に関しては未読では解らないと思います。解るという人は多分本当の意味では解ってないです。先日読了したばかりですが、読んでみてなるほどってことが実に多かったですし。
TOHOのパスポートをゲットしたんで、お正月にもう一回行って見てもいいかなぁ。未読で鑑賞、読了後鑑賞ってあんまりやらないから、面白いかもですし。(笑)
5. Posted by にゃむばなな   December 27, 2010 18:14
個人的にはこの映像美が好きでした。
やっぱりこの監督の撮る映像の美しさは最高ですわ。
6. Posted by ◆ rose_chocolatさま   December 28, 2010 00:23
おお、再見されましたか。
わたしもね、観ていた時より後からのほうが、いくつものシーンが甦ってきて、
もう1回観たいと思ってるところです。叶うかどうかはわかりませんが…

いつも、この監督作品からは「アジアの湿気」を感じるのですが、
今回は更にもっとはっきりした水の形やイメージが多用されていて、
ただ、美しいというだけはないものを感じます。
「水」に何を込めるか読み取るか、で、この作品の印象もぐっと変わりますね。
物語も、ついてゆけない部分もあるけど、総じて「文学」を感じるものですが、
この監督が撮ったことで、小説とはまた別の世界を作ってくれたと思えます。

読んでいてもわからないものもあるにせよ、
やはり、小説を読んでからのほうが、説明のないシーンの理解は早いですね。
7. Posted by ◆KLYさま   December 28, 2010 00:28
凛子ちゃんは、20歳というにはちょっと苦しいことは致し方ないのだけど、
それ以外では、わたしも彼女でよかったのでは、と思っています。
でも、小説に思い入れがあったり、既に思い描く誰かのイメージがあったりしたら、
彼女は×、という方が多いことでしょう。

わたしも小説を先に読んでいたので、もし自分が未読ならどうなろう?と
あれこれお想像してみたのですが、やはり細部は苦しいかな…
読んでいれば、すぐにわかってしまうところなどもありますものね。
でも、昔のわたしのように、早々に挫折する人も多いかも…

なるほど。そんな機会があるなら、そんな見方もいいかもしれませんね。
で、作品の見え方、感じ方に違いがあるとしたらどんなことかしら…
わたしもできればもう1回は観たい気がします。
8. Posted by ◆にゃむばななさま   December 28, 2010 00:30
映画は全体で1つの作品だとは思うけれど、
それでも、自分は特に何が好きかということが、
観る人によって、かなり違うことがありますよね。
これは、その代表かもしれません。

あの小説を、あの映像で描いてくれた監督に感謝したいです。
本当に美しい映像で、そこに込めた何かをたくさん感じた気がしています。
9. Posted by 葉月   January 04, 2011 22:23
あの「青いパパイヤ〜」のトラン監督が
あの『ノルウエィの森』をと聞いた時から
どんな作品になるのかと大いに期待してました
「夏至」と2作品しか観てませんが何故かとても
気になる人でしたので、先に観て再見したいと
言う友人に誘われて(松ケンのファン〜笑)
原作は何となく鬱としくて〜あまり好きでなく
殆ど忘れていましたので、映画は新鮮に感じて
自然の中での映像の美しさ掴み処のない青春の
苦悩、音楽も良かったし俳優達も良くやっいて
松山君もいいが玉鉄さん(原作のイメージ)
もし、日本人の監督であの雰囲気を出せたかな?
と先ず思いました、昨年最後を飾る印象深い映画
となりました。
10. Posted by ◆葉月さま   January 05, 2011 01:20
わたしは多少作品の順序が違いますが、
何本かの作品を観た後なだけに、この小説をいちばん巧く表現できるのは、
トラン・アン・ユン監督ではないか、と思いました。
『アイ・カム・ウィズ・ザ・レイン』は辛い部分もありましたが、
この作品と通じる表現方法を感じられる作品でした。
『シクロ』はトニー・レオンも観たかったので頑張って入手しましたが、
そういえば『夏至』を観てなかったと思い出しました。

わたしは、玉山さんは原作と違うなぁ…と思ったのでしたが、
原作から思い描いていた雰囲気を、予想していた通りに映像にされていて、
かえってビックリしたほどでした。
日本人の監督さんでも、きっとこんな感覚を持った若い方もいらっしゃって、
まだ出番が回って来ないのでは、とも思いますが、
今の時点では、この監督が撮られて大成功だったと思いました。

年末の駆け込みで観た作品が、わたしにとって昨年の邦画のベスト1でした。
11. Posted by miyu   February 06, 2011 18:55
そうですねぇ。あたしは入りこめず、どちらかと言うと
イマイチに感じてしまいました。
原作を読まれてる方には意外と好評の様子ですね。
12. Posted by ◆miyuさま   February 07, 2011 00:53
これは、入り込めなかったら辛いでしょうねぇ。
原作を既読なら既読で、未読なら未読なりに、
それぞれの意見があって、一概にどうとは言えないようですよ。
これは、小説の筋書きを追いながら、監督が自分の世界の中で、
この作品を表現したものじゃないかと思うので、
わたしはこれが昨年の邦画(といえるのかどうか)ナンバー1でした。

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