December 18, 2012

『ゴーイング マイ ホーム』最終話

あなたの、いなくなったあとに
GMH

良多のベッドのしたにいるクーナたち。
100年も一緒に居た長老が旅立った様子。
どうしていいのかわからないから、
自然の力を借りて見送るのだというクーナたちに、
何も言えない良多。。。

そして、最終話の『ゴーイング マイ ホーム』は。


静かに栄輔が逝った後の坪井家。
敏子と多希子は普段と変わらない調子で、
葬式用の写真や、これからのことを相談している。
良多の胸には、幼い日の父との思い出が去来し、
もっと話しておけばよかったと後悔の嗚咽を漏らす。
葬儀には、治、菜穂、大地もやってきた。
菜穂は、りんどうの花束を柩に捧げ、
萌江と大地は、庭でりんどうの群生を見た・・・


ああ ああ ああ あぁ・・・
なんだか涙が止まらないよぅ・・・
どう言葉にしていいかわからないけど、
ものすごく好きな空気の中で、
心地よく栄輔さんを見送った大きな寂しさと、
ほんわかした暖かさの中にいる。

前回は、監督ご自身の言葉をお借りすれば、
「最終回を前にした、変化球の回」」だった。
元々は何らかのかたちを見せると思っていたクーナの世界は、
最終話をこのように描くために、うんと振り幅を取るための装置でもあり、
観ている人の心の奥深くにある琴線にそっと触れる繊細な背景だった。
最終話を見終え、全体を振り返れば、
この回は、ここまで丁寧に丁寧に積み重ねてきたものの集約であった。
あるいは、この回を描きたいために、これまでの9回だったようなものだ。
お話全体に鏤められた、たくさんの欠片がすーっと1つに纏まった。

もうそこには姿のない栄輔を中心に、
栄輔がいたからこそ繋がった人たちが集まって、
それぞれの立場で思いを語っている。
あるいは、何にも言葉にしなくても、相通ずる思いを持ち合っている。
無遠慮に辛辣なことを言う妻や娘も、
いつも上手に調子を合わせている娘婿も、
故郷から別れにやってきた親友とその娘や孫も、
仕事上の付き合いでやってきた同僚もいる。
皆、栄輔が繋いだ、善良で愛すべき人ばかりだ。

父が倒れたことで、そっぽを向いていた息子が父に近づき、
少しずつ、自分の知らない父の別の顔を見て、、
素直に心を開きそうになった矢先に父を失う。
長らく反発していた息子が、男泣きに泣いて父を見送る。
初回に登場した、「マーくん」とはもう、全く違う顔をしている。
彼は、いろんなところで妻の力を借りつつ、
見違えるような成長をみせた。
いい大人に何を言う、と思われるかもしれないが、
この年齢で、こうして変わってゆけるなら、それはとても素敵だ。
本当に素敵だ。
きっと、そんなつもりはなかったんだろうが、
父は結果的に、自分の身を持って息子にたくさんのことを託した。
自分の心の中の、言うに言えない思いも、
おそらく、
放っておいたら益々好き勝手を言い合う妻と娘のこの先も含めて。
息子は、口では何だかんだ言いつつ、
父の代わりに引き受けるものがたくさんあることを、
決して嫌ってはいなさそうなのが嬉しい。
また、何となく齟齬があった沙江と萌江、沙江と実母の関係も、
確実に良い方向へ変化したのも更に嬉しいものだった。

それにしても。
今回は最後だからそう思うのか、いつも以上に台詞の切れもよかった。
キャストの間に流れる空気の良さが伝わってくる。
また、沙江の作るお料理の素晴らしいこと。
精進料理のお寿司、なにげなさそうに見える煮物の一つはもちろんだけど、
主婦が家族のために作るお料理って
高価でなくても、滅茶苦茶手間ばかりがかかってなくてもいい。
家族のお腹と気持ちを満たすために必要なものを、
そっと用意できれば、それが何よりの家庭の宝かもしれない。
あれこれ書いているわりには、
また、的を射ないことばっかりな気がしなくはないが(;´Д`)・・・


台詞で語るよりも、たくさんの何気なさそうなエピソードを重ねて、
観る者の心にジワリと入り込んでくる物語。
視聴率は低かったらしいが、
常々言うように、視聴率の高低は作品の善し悪しには無関係で、
是枝裕和という才能ある映画監督が、
10回という時間を使って描いた彼独特の世界は、
なんとも上質で、贅沢な時間の連続だった。
この作品に出会えてよかった・・・
心から思えるドラマを10回全部、心の底から楽しませてもらいました。
ありがとう、是枝監督。
そして、それぞれの役を驚くほど正しく表現されたキャストも、
本当に素晴らしかったけれど、
ほかの何を差し置いても、阿部寛さんが一番素晴らしかったです。



tinkerbell_tomo at 23:55│Comments(2)TrackBack(14) テレビ番組のお話 

トラックバックURL

この記事へのトラックバック

1. 「ゴーイングマイホーム」最終話  [ またり、すばるくん。 ]   December 19, 2012 00:58
最終話「あなたの、いなくなったあとに」         あらすじ(Yahoo!テレビ)
2. ゴーイング マイ ホーム #10 最終回  [ ぐ〜たらにっき ]   December 19, 2012 02:00
『あなたの、いなくなったあとに』
3. 【ゴーイング マイ ホーム】第10話 最終回統括 感想  [ ドラマ@見取り八段・実0段 ]   December 19, 2012 02:52
もっといろいろ話しときゃ良かった。 もう話すことなんかないって言ってたのにね。 後悔か。 そこに愛があったってことなんでしょ。 だったら後悔も良かったかもしれないな。 そうね。 悪くな...
4. ゴーイング マイ ホーム 最終回(第10話)の感想  [ オタクと呼ばないで ]   December 19, 2012 07:40
フジテレビ系で放送された「ゴーイング マイ ホーム」最終回(第10話)の感想などなんだかフツーに終わっちゃいましたね。来週も放送があると聞いても驚かないくらい。最終回だというのに、特別盛り上がりもないまま・・・栄輔(夏八木勲さん)の葬儀が、何かの終わりを象徴
5. ゴーイング・マイ・ホーム 最終回  [ のほほん便り ]   December 19, 2012 08:15
「あなたの、いなくなったあとに」って、栄輔(夏八木勲)の葬儀を丹念に描いて、ひとつの「生」を「おくる」ことと、その周囲の余韻を描いてフィニッシュした最終回。 しんとした喪失と、それでいて、ほんわかした、どこか温かな空気。常に一抹のユーモアが漂い、民放の
6. ゴーイング マイ ホーム (第10話 最終回・12/18) 感想  [ ディレクターの目線blog@FC2 ]   December 19, 2012 09:25
フジテレビ系ドラマ『ゴーイング マイ ホーム』(公式)の第10話 最終回『あなたの、いなくなったあとに』の感想。 “夏休み3時間スペシャル”の方がヒットしたと思う… 最終回は、これまでと違っ...
7. ゴーイングマイホーム(終)  [ AKIRAのドラマノート ]   December 19, 2012 10:40
最終回の感想
8. ゴーイングマイホーム 最終回  [ ぷち丸くんの日常日記 ]   December 19, 2012 15:14
良多(阿部寛)の父・栄輔(夏八木勲)が亡くなります。 良多は実家で寝ていて、クーナ(阿部サダヲ)の夢を見ます。 クーナの家族でも家長が亡くなってしまったようで、みんな遺体の上にリンドウの種を...
9. ゴーイング・マイ・ホーム 第10話(最終回)  [ レベル999のgoo部屋 ]   December 19, 2012 17:55
『あなたの、いなくなったあとに 内容 父・栄輔(夏八木勲)が亡くなった。 良多(阿部寛)多希子(YOU)に家を売ると、気丈に振る舞う敏子(吉行和子) そこに沙江(山口智子)萌江(蒔田彩珠)がやってくる。 栄輔との約束どおり精進料理を作ると告げる沙江。 そ...
10. 「ゴーイング マイ ホーム」 第10話(最終話)  [ トリ猫家族 ]   December 19, 2012 19:15
 みんな、それぞれ大切な場所に帰っていくんだね。 暖かくて、ほっとできる、大好きな人のいるところへ。 そうやって繰り返しながら、いつか、みんな集まるんだと思う。 おかえ ...
11. ゴーイングマイホーム(終)  [ ドラ☆カフェ ]   December 19, 2012 21:37
視聴率は 6.0%・・・前回(4.5)より あなたの、いなくなったあとに
12. いいなぁ、ただいまって  [ 虎党 団塊ジュニア の 日常 グルメ 映... ]   December 19, 2012 21:59
「死んでもいなくなったりしないんだね」車の事だけは覚えている21世紀の大喜利王升野さん阿部寛、西田敏行、吉行和子、夏八木勲、YOU安田顕、新井浩文、江口のりこ、中村靖日...
13. いいなぁ、ただいまって  [ 虎団Jr. 虎ックバック専用機 ]   December 19, 2012 22:02
「死んでも いなくなったり しないんだね」車の事だけは覚えている21世紀の大喜利
14. 是枝流 連続ドラマ  [ 笑う社会人の生活 ]   January 03, 2013 01:49
ドラマ「ゴーイング マイ ホーム」を見ました。 フジにて 火曜9時にやってました 脚本・監督 是枝裕和 出演 阿部寛、山口智子、宮崎あおい、西田敏行 この布陣からして もはや映画並で 期待を高かったわけですが・・・ いや〜 僕はこのクールのドラマでは1番良かっ...

この記事へのコメント

1. Posted by AKIRA   December 19, 2012 10:50
空気感、生活感、世界感。
どれもが優しさに包まれていて好きでした。

ええドラマや!
(^O^)
2. Posted by ◆AKIRAさま   December 20, 2012 23:57
すっかり遅くなってごめんなさい。

ほんまに、仰る通り。
是枝監督の作品をTVで毎週観れた、って、
何て贅沢で素晴らしい3ヶ月だったんでしょう。
このドラマに出会えてよかった〜(´▽`)

この記事にコメントする

名前:
URL:
  情報を記憶: 評価: 顔