May 17, 2013

360

分かれ道があったら迷わず進め。
360





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出演: アンソニー・ホプキンス
    ジュード・ロウ
    レイチェル・ワイズ
    ベン・フォスター
    マリア・フロール
    ディナーラ・ドルカーロワ
    ガブリエラ・マルチンコワ
    ジャメル・ドゥブーズ
    マリアンヌ・ジャン=バプティスト
監督: フェルナンド・メイレレス
2011年 UK/オーストラリア/フランス/ブラジル  110分
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録画したまま、しばらく寝かせてしまっていた日本未公開作品。
これ、ちょっと面白くて2回観てしまった。
WOWOWにて。



ウィーン。
スロバキア陣のコールガール、ブランカが客との待ち合わせ場所に行くが、
客は現れない。
彼女は、妹と共に、ここから出ていい暮らしをしようとしている。
客は、英国人ビジネスマン、マイケル。
マイケルは、そこで商談の相手と鉢合わせしてしまう。
商談相手、ピーターは、マイケルがブランカを買おうとしたことを見抜き、
それを脅して契約を取る。

パリの歯科医は、助手で人妻のヴァレンティーナに恋をしているが、
ヴァレンティーナは夫とうまくいっていない。

マイケルの妻ローズは、ブラジル人カメラマン、ルイと浮気している。
ルイの恋人ローラは、彼の裏切りを知り、ブラジルへ帰ろうとしていた。

その飛行機で、ローラは初老の男と知り合いになり・・・



国籍も背景も年齢も違う何組もの男女の、
出会いと別れとすれ違いを描いてゆく。
登場するのは、
1:ウィーンのスロバキア人コールガール、ブランカ。
2:ブランカ妹のアンナと行動を共にしている。
3:ブランカを買おうとして失敗したロンドンのビジネスマン、マイケル
4:それを突き止めて商談を成立させたピーター
5:パリの歯科医
6:その助手で歯科医が恋する人妻ヴァレンティーナ
7:「3」のマイケルの妻ローズ
8:ローズはブラジル人カメラマン、ルイと浮気中
9:ルイの恋人ローラは、ルイの裏切りで故郷に帰る途中
10:ローラと飛行機で知り合う初老の男ジョン
11:ローラが空港で出会った男タイラー
12:「6」ヴァレンティーナの夫セルゲイは、「1」ブランカの客の運転手。
  雇い主の留守中、「2」アンナと会う

多少の順不同があるが、
登場人物をざっと並べると、こんな感じ。
上記に夫婦や姉妹なども含まれるが、
前述のように、国籍、仕事、収入、抱えている悩み、年齢など、
それぞれに違っていて、
それぞれが別の世界を持ち、別の考え方をしている。
そんな男女が、ウィーンで、パリで、ロンドンで、フェニックスで、
出会い、すれ違い、恋をし、恋を捨て、愛を求め、愛を失い、
何かを諦め、何かを振り切る。
全く繋がりがない同士なのに、
どこかでかすかに繋がり、繋がった相手がまた別の人間に出会う。
それぞれのシークエンスは短めで、いくつもの人生が登場して、
全てを語らないが、多くを理解できる具合がちょうどよくて、
いくつもの人生を垣間見ている気になる。
たとえば、
電車や喫茶店や人混みで人間観察をするような、
小耳に挟んだ会話の断片から、
ちょっとあれこれ背景を想像してみるような感じ。
全体の尺は110分だが、その中にたくさんの人生の一部が詰まっている。
そして、最後まで観ていると、このお話の仕掛けが見えてくる。
なるほど。そういうことか。それがこの作品のテーマで、
だから、タイトルも「360」。なるほど。

この作品は、
オーストリアの医師であり小説家、劇作家アルトゥール・シュニッツラーの、
戯曲『輪舞』の何度めかの映画化だそうなのだが、
戯曲が書かれたのは、なんと1900年。
だが、その当時の性道徳や階級理念などに阻まれ、
出版も上演も見送られたのだそうだ。
この作品しか知らないので、戯曲がどうであったかわからないが、
Wikipedeaによれば、
「10景の、男女の情事前の会話劇」だったらしく、
戯曲の完成当時は、それも仕方なかったのかもしれないなどとも思う。
映画化された最初は1950年らしいが、
2011年のこの作品は、登場人物の立場や職業など、
時代に即した形に、かなりアレンジされているものだと思われる。
けれども、基本的な形は踏襲されていて、
タイトルも『輪舞』からの発展なのだろう。
言われるまでもなく、これは舞台劇らしさが漂うもので、
時々、とってもいい台詞が配されている。
また、1組の男女のお話の間、つまり場面転換の時に
官能的な音楽が流れるのも、それを感じさせる1つの要因だ。
『エマニエル夫人』のテーマの1フレーズが流れると、
嫌でもあの映画を思い出すではないか。


まるで、バトンを受け渡す、あるいは、襷を繋ぐように描かれるお話は、
3:マイケル ⇒ ジュード・ロウ
7:ローズ ⇒ レイチェル・ワイズ
5:歯科医 ⇒ ジャメル・ドゥブーズ(『アンジェラ』『アメリ』)
4:ピーター ⇒ モーリッツ・ブライプトロイ(『ラン・ローラ・ラン』『エス』)
10:ジョン ⇒ アンソニー・ホプキンス
なんていう、豪華な顔ぶれが登場。
1つ1つは短いけれど、それぞれに印象的な物語を作ってくれる。
また、↑の一覧には載っていないけれど、
11:タイラーの関係者で登場する女性は、
『秘密と嘘』のマリアンヌ・ジャン=バプティストだったのも、
何か嬉しくなり、お気に入りに追加したい理由の1つ。


日本劇場未公開だけど、
DVDは発売されているので、機会があったらご覧になってみてください。
気に入られる方が多いのではなかと思います。


tinkerbell_tomo at 23:44│Comments(2)TrackBack(1) 洋画【さ】 

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1. 『360』  [ cinema-days 映画な日々 ]   May 25, 2013 14:07
360 ウィーンから始まり、パリ、ロンドン、 コロラドを経て、再びパリとウィーンへと 世界7都市で連なる男女のドラマを描く... 【個人評価:★★★ (3.0P)】 (自宅鑑賞) 原題:360/アルトゥル・シュニッツラーの戯曲『輪舞』映画化

この記事へのコメント

1. Posted by 裕   May 18, 2013 06:13
おはようございます。昨夜、仕事疲れでバタンキュー
早くに目覚めてしまいました。楽しいお話をありがとうございます。ジュウード・ロウさんにも久しくお会いしていないと思っていました。
 人は、どこかでつながっている?のですよね。私の身の回りにもありました。昔、父がアメリカ、NYでちょっとしたご縁でお世話した当時 青年。私と同じ年で香川から単身で渡米。ボクシングをきわめると、ジムを回っていたらしく、空腹の彼をお世話したとか。
あるとき、耳横で、そんな話を聞いたので、それって、「名前は?」と聞くと、私の旧姓。私の知り合いの会に来ていたのです。会ったこともない、でも、話はきいたことある、つながっていたお話のひとつです。
 ぜひ、見てみたいです。なかなか、映画館にはいけないので、DVDを楽しみたいと思います。
 それから、いよいよブルーレイの時代になってきましたね。私も、安いと思ってゲットした、レンタル落ちのビデオどうしようかとなやんでいます。かさばりますよね。
2. Posted by ◆裕さま   May 18, 2013 22:46
こんばんは♪
最近ジュードをご覧になってないのは、やはり暫く映画館とご無沙汰ですね。
お仕事やお嬢さんのことも忙しくて、そんなお時間もなかったことでしょう。

まぁ、そんなご経験が。
わたしもこれまでの人生で、驚くような思いがけない繋がりに何度か出会いました。
何という偶然、と思うのだけれど、
いや、これは必然だったのではないかとのちに思いました。
そんな経験のある人なら、この作品は
そんな不思議な巡り合わせを集約したお話だと感じられるでしょう。
そうして、広い世界の中で、世の中は狭いものだと感じ、
何だか暖かい気持ちになれるのですね。

ビデオデッキが壊れると思ってなくて、気楽にしてたら、
壊れた今、あのレンタル落ちビデオ、段ボール何個かを
どうしたものかとても困っています。

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