May 20, 2014

エヴァの告白

白い薔薇。告解。自由の女神。
The Immigrant

 

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出演: マリオン・コティアール
    ホアキン・フェニックス
    ジェレミー・レナー
    ダグマーラ・ドミンスク
    アンジェラ・サラフィアン
監督: ジェームズ・グレイ
2013年 アメリカ/フランス  118分
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本年2月公開の作品が、わが町で少し遅れて公開中。
主要人物3人の演技が素晴らしい・・・


1921年、ニューヨーク。
戦火のポーランドを逃れ、妹と共にようやく辿り着いたエリス島で、
妹は結核ゆえに島の病院に入院させられ、
自らも入国を拒否され強制送還寸前のエヴァは、
親切にしてくれたブルーノという男に頼り、何とか入国することができた。
頼りにして来たはずの叔母夫妻には受け入れられず、
妹を引き取るには多額の金銭が必要になったエヴァは、
ブルーノが取り仕切る「劇場」で働くことになった。
だがそこは、エヴァと同じく、移民の女性の売春を斡旋する店で、
ブルーノは彼女たちから上前を撥ねている男だった・・・



戦火を逃れアメリカに渡ったポーランド女性が、
妹と2人で生きてゆくための選択と苦悩の物語。
重い背景の中の、屈折した愛の物語でもある。

主人公エヴァを演じるのは、マリオン・コティアール。
ほとんどノーメイクなのではないかと思う彼女の顔が、
明るく笑うことがなかったのではないか。
台詞よりも表情で見せる場面が多いが、
そのほとんどが悲しみと苦しみの中にあり、
生きるために棄て、諦め、選び取るもののために、
畏れ、苦しみながら、泣き、怒り、同時に毅然と背筋を伸ばす。
そんなエヴァの心情がストレートに伝わってくるのは、
顔の造作も含め、彼女の力が最大限に活かされたからだろう。
両親を亡くし、ようやく辿り着いた新天地アメリカで、
頼るべき親戚に拒まれ、妹とは離れ離れになり、
何とか妹とここで生きてゆくために、
心ならずも身体を売る商売に足を踏み入れてしまうヒロインは、
それでも信仰を棄てず、だからこそ苦しむのだ。

そんな彼女を、一見救ったかに見えたブルーノという男。
移民局に顔が利く紳士に見えるが、実は女衒というかヒモというか・・・
そんな立場でありながら、エヴァを一目見た時から愛してしまい、
それ故、エヴァの想像を超える態度と行動に出る男だ。
彼をフォアキン・フェニックスが演じているわけなのだが、
実はわたしは彼があまり好きではない。
単に見た目の個人的な好みの問題なのだが、
それがかえって良かったのかもしれない・・・と観終わって思った。
もし、これがとても好きな俳優が演じていたら、
つい、彼の立場に寄り添ってしまったかもしれず、
全体の構図がぼやけて見えてしまったかもしれなかった。
逆に言うと、彼を好きではないという目線で観たからこそ、
彼の苦悩や暴走や決断を、冷静に観られたというか。
好きではないけれど、俳優としての実力や魅力を認めざるを得ない。

そんな2人に、変化球のようなかたちで絡んでくるのが、
オーランド(エミール)@ジェレミー・レナーである。
ブルーノの暴走や爆発に対し、エミールは穏やかな雰囲気。
いや、2人ともどことなく胡散臭さやいかがわしさを漂わせてはいるのだが、
エミールに心を許したくなるのは確か。
そんな彼を抑制した演技で見せているジェレミー・レナーもやっぱりいい。


物語は、日本人にはピンと来ないものを含みつつ、
それでも、あの時代に移民として渡った人間たちの現実と、
一方通行の愛を正統派の手法で描き出している。
決して派手な作品ではなく、胸がすくような展開もない、
暗くて狭い世界で起こる、八方塞りの小さなお話だが、
身体を売っても、心を売ることがないエヴァには、
どうぞ幸せになってほしい、と心から祈らずにはいられない。
彼女がこれ以上の不幸ではあってほしくないのだ。

邦題は、内容を正しく表現しているとは思わないけれど、
苦しみ迷った末に決められたもののような気がしてきた。
主要人物3人の素晴らしい演技と、丁寧な演出で描き出す作品は、
派手ではなくとも 見応え、手応えをしっかり感じることができる。
これは、そんな作品だった。
 

tinkerbell_tomo at 23:39│Comments(0)TrackBack(2) 洋画【あ】 

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ただ 幸せになりたかった 公式サイト http://ewa.gaga.ne.jp 監督: ジェームズ・グレイ  「裏切り者」 「アンダーカヴァー」 1921年、戦火のポーランドから叔母を頼って妹マグダ

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