August 31, 2014

世界の果ての通学路

Sur le chemin de l'ecole

本日閉館のMOVIX橿原で観た最後の映画、『世界の果ての通学路』。
日本では考えられない距離と時間をかけて通学する、
4か国、4人の主人公たちを追ったドキュメンタリーだ。

通学路と言えば確かにそうだけれど、
「世界の果て」という邦題には疑問が残る。
日本から見れば、「世界の果て」に見えるかもしれないが、
ここに登場する子供たちにとっては世界の中心であるはずだ。
けれど、それについてはとりあえず百歩譲ることにする。

ケニア、サムブル族のジャクソン11歳。(片道15辧2時間)
アルゼンチン、カルロス11歳。(片道18辧1時間30分)
モロッコ、ザハラ12歳。(片道22辧4時間)
インド、サミュエル13歳。(片道4辧1時間15分)
彼らが通学のためにかかる距離と時間は上記の通り。
事情も理由もそれぞれ違うけれども、
彼らは、妹を連れたり、兄を助けたり、友だちと連れだって
小学生には過酷と思わないではいられない道を学校へ行く。
現代の日本の小学生の通学は、
車や、悪い大人たちに気を付ける必要があったり、
学校が統廃合になったため、遠くまでスクールバスに乗ったり、と
それはそれで大変な苦労もあるとは思うが、
もし、日本の子どもたち(大人でも)が、
この4人の環境に放り込まれたら、
命懸けの大冒険、または遭難ということになってしまうだろう。
それぞれ違う背景を背負っている彼らは、
「そこ、歩くとこ?」と思う草原を野生動物を警戒して駆け抜け、
あるいは、馬を駆って山を登り、下り、
または、赤錆だらけで崩壊寸前に見える車椅子を引き、押す。
一人は何故か寄宿舎へ行くために生きた鶏を持参していたりする。
これが「通学」の様子だとは、到底信じ難い。
しかも、それぞれの通学の距離と時間の関係にも驚く。

これは、別の映画のロケハンでケニアにいた監督が、
草原を走って学校へ行く少年たちに出会ったことから、
ユネスコなどの協力を得て主人公たちを選び、撮影されたものとか。
カメラは、驚くような通学風景を通し、
何故そこまでして彼らが学校へ通うのか、
彼らの背景や信仰なども含めて丁寧に追っている。
だから、彼らの知性と夢と優しさが煌めかせる瞳を見て、
まるで自分の身内ほどの思いで、
心から子どもたちの安全を祈り、これからの成長を願うのだろう。

この作品を観て、
「世界には、こんな子どもたちがいるのよ。
 日本人のアナタは恵まれてるんだから、もっとしっかりしなさい」
なんて、日本の子どもたちに言うつもりはない。
日本の子どもたちだって、それはそれで危険な道を辿って学校へ行き、
頑張っても報われないこともあれば、
時には、心無い同級生のネット苛めにも遭うことだってあるだろうから。
そんなことより、この作品から強く感じたのは、
「学ぶ」ということへの欲求であり、
夢の実現のために勉強が必要だと信じ、
自分の強い意志で学校へ向かうひたむきな美しさだ。
たとえ、彼らとは遠く離れた国に暮していても、
彼らの未来を守ってやらなくてどうする、と言われている気もした。

本当に、とても良い作品だった。


tinkerbell_tomo at 21:59│ 洋画【さ】