雨野小夜美のブログ

君の人生にとって、役に立つ事は何も描かない。

名前を統合しました

けっこう前、「おけちよ」というHNで活動していましたが、
途中で「雨野小夜美」に変えたんですよ。

それを、「雨野小夜美」で全部統合します。

「おけちよ」時代に思っていたのが、恥ずかしい事を色々やってしまったから、
そこからの責任逃れがしたかった事と、
「統合失調症」だの重い病気の病名を書いて、「自分は病気だから売れているんじゃないか?
病気でなければ、人気は出ないんじゃないか?」という事でした。

だから、HNを突然変えたんですよ・・・

でも、私ももういい加減大人なので、自分の行動には責任を持とうと思っています。
昔の自分も今の自分も、自分。過去は、受け入れるしかないです。

これからは、ずっと「雨野小夜美」でやっていこうと思います。

「おけちよ」時代のブログはこちら。
http://blog.livedoor.jp/leavesmealone/archives/cat_10051988.html
http://blog.livedoor.jp/leavesmealone/

上は小説、下はブログのトップページです。

「ジュナンの入院 Empty Vessels」は、初めて書いた小説です。
昔は、若かったなあ・・・


連載打ち切りのお知らせ&新しい詩集ができました


あまりにも人気が出ないもので、連載を中止します。


あと、新しい詩集ができました。イラスト付きです。
下の画像をクリックすると、無料で読めます。
あと、無料でダウンロードも可能です。

最後のリリックレター 表紙 圧縮

最後っていうのは、私はある人に向けて、数百もの詩を書いていたんです。
でも、もうやめようと思ってるんですよ。

自由の中に、立ちすくむ ジーン編3

毎週土曜日午前9時更新。





 その朝も、ガイは遊びに療養所へ来ていた。ガイは他に友達いないのだろうか。 そもそも、ガイは力があり、健康なのに働いていないのだから、それをいい目で見てくれる大人など、あまりいないのだろう。あと、この前の馬も、ガイがどこかへもっていった。盗品だったのだろうか?
 ガイの今日の持ち物は、手のひらにのるくらいの小さな壺だった。
「ほうら、壺。中に湧き水入れてきたぜ! 飲む?」
「ありがとう」
 古そうな壺に口をつける。かすかにホコリが浮かんでいる。
 とても清涼感のある、冷たい水。
「これは、おいしい水だな」
 オレはその頃、上半身を起こせるくらいに回復していた。それでも火傷跡が痛まないように、そろっと飲んだ。
 その時、後ろから何かざわざわと音がした。それはだんだん、近づいてくる。思わず、白い壁の方を見た。それは、壁を過ぎて、オレの前で止まった。
 馬に乗るのは、女村長。
「お前がキャメルかの」
「前にも会った事ありますが。忘れましたか?」
「気が強くて、良い事だ。今日は、二つ用件があっての」
 後ろから、派手な衣装に身を包んだやせた老人がやって来た。赤い手綱。
 ガイは、それを見ている間に壺ごといなくなっていた。
 オレは腕を組んだ。
「いったい、どういう用件で?」
 東ザータの女村長が口を開いた。
「お前は、塔のある西ザータの出身じゃが、この村を大火から救った。英雄として、剣と家をやろうと思う。調査により、外人でない事もはっきりした。ここに永久に住んでくれればよいぞ。治療費は全て村が負担するから、心配は要らぬ」
「英雄。そうですか」
 オレにはあまり、興味が無かった。なんとなく、ここに永久にいられると思っていなかったので。だからどうする、という事は何も決めていなかったけれど。それに、オレはハーフなのだが、どんな調査が行われたのだろうか? 失笑しかけた。
 後ろから来た、やせた老人が口を開いた。馬が少し老人の骨ばった体を揺すった。
「そして私が、お前の塔のあるディザータ王国南方集落西部、俗に言う西ザータの村長だ」
 初めて会った。なんとなく頼りない感じの村長だ。しかし、話し方はしっかりしている。
「お前を塔から出すと決定したのは、私だ。当然西ザータに来ると思っていたが、想定外じゃった。まさか、ここに来て英雄になるとは」
「わたしも知らんかったよ。ほほほ」
 女村長が頬の肉を揺らして笑った。女村長の喋り方には、少し重みがある。もともと金持ちだったのだろうか、なぜかわからないが、しっかり教育を受けている女性だ。
「用件の二つ目は、この西ザータの村長が、英雄のお前に会ってみたいと手紙をよこしての。わたしも付き合いが長くて、あまり仕事の無い今日を選んで一緒に来たのじゃ」
「そうですか」
 西ザータ。塔のある村の村長。やせているのに、大きすぎる豪華な衣装にくるまれている。
 その村長がしわしわの口を開いた。
「受けとめよ。お前の父は、放火殺人を犯した。しかし、我々はお前を歓迎する。城塞都市などには行かない方が良いだろう。ここでゆっくり傷を癒しなさい。そして、これがお前の剣じゃ。英雄の証じゃ」
「これを、オレに渡して、いいのですか?」
 村長の金銀の衣装にも負けないほど、昼の光を受けて輝くさやだ。名前はわからないが、いろいろな石が埋めこまれている。オレは、金色のつかをそっと握って、さやから剣をおそるおそる抜いた。天にかざした。太陽さえ切り裂くように剣は輝く。
「この剣であなたを、オレは切るかもしれないけれど?」
「そんなはずは無い、若者よ。私はお前を信用しておる」
「信用されていましたか」
 オレは剣をさやにおさめ、塔のある村の村長をじっと見た。
 『村の決定』。オレは、世話係のオヤジのその言葉をまだ覚えている。西ザータの村長であれば、この老人がオレを幽閉したのだ。しかし、幽閉されたのには、何か理由があったのだろうから、この老人が憎たらしくても、何も手を出せないでいた。
「剣をいただけるのはありがたいです。しかし、オレには一つ、疑問があるのです。なぜ、オレは十五年間、あの塔に幽閉されたのですか? 村長のあなたには、わかるでしょう」
 この痛みが。
「おお、それか」
 村長はしわで狭くなった目を見開いた。
「あの村の家は木造で、密集しておる。だから何十年かに一度、大火が起こるのじゃ。前村長の捜査の結果、犯人が見つかった。お前の父じゃ。ここまではよろしいかの?」
「二つ、質問してもいいですか?」
「どうぞ。この村長のおっさんは意外と気さくなところもあるよ」
 女村長は少し笑顔で答えた。
「それは、オレの刺した、父の事でしょう? なぜ、オレまで幽閉されたのですか?」
「話を最後まで聞け。若者よ。お前の父は、凶悪じゃ。もう外に出すわけにいかん。だから、息子と共に、幽閉された」
 西ザータの村長は、なぜかベッドの方を見ている。
「あんたこそ、オレの話を聞け!」
 右手をベッドについて体を起こそうとした。しかし、突然体を起こすのは、まだ難しいようだ。しびれるような痛みがある。
 豪華な衣装の村長が馬に乗ったまま、答えた。
「それは、お前が変異種だったからだ」
「それは、どういう意味ですか」
「変異種は、変異種という事じゃ。ふふ」
 女村長も意味のわからないあいづちを打った。
 西ザータの村長は去って行こうとして、馬ごと背を向けた。
 オレはまったく納得がいかなかったので、あの監視塔があった西ザータの、村長の背に問いかけた。
「待ってください。受けとめよ、と言いましたね。それでも、あんたらは結局何も喋ってない。父が犯罪者で、幽閉されたという話はわかりました。でも、なぜオレも一緒だったんですか? そこを、聞かせてください」
 朱や趣味の悪い金色の、不思議な衣装を着た村長が、顔だけ振り返って、口をゆがめて笑った。そういう表情の老人かもしれないが。
「お前が、変異種だったからじゃ。それ以上は、答えられぬ」