公開会社でない株式会社と、少数株主との関係で、「株式買取請求」という大きな問題があります。


今回は前回、ブログに書いた「株式買取請求」の問題を、別の角度から考えてみます。

 

【前提としての譲渡制限株式】

譲渡制限株式を譲渡するには、会社の承認が必要です。しかし、「譲渡自体が禁止されているわけはない。」

ここが非常に重要な点です。

したがって、株主が他の者へ株式を譲渡する場合、あるいはした場合、会社はその譲渡を承認するか、株式を買取るかの選択をしなければならない。

 会社が株式の買取り請求を受け、買取り価格が合意しないと、裁判所に価格決定の申し立てを起こされてしまう可能性があります。

会社は最終的に、買い取るか、第三者に株式が渡ることを許すかの二者択一を迫られる。とう事態になります。

ここまでは、前回に書いた通りです。

 

今回は、買取価格についてです。すなわち「株価」の問題です。

 

【株式買取請求における株価評価の問題】

 

売買価格の協議決定(会社法144条)

株式の売買書価格の決定は、当該株式会社または指定買取人と譲渡等承認請求権写との協議で決定します。

この協議が調わない場合は、裁判所に価格決定の申立てをして決定します。

(裁判所への価格決定の申立てがない場合は、供託金額が売買価格となります。つまり「1株当たりの簿価純資産額×対象株式数」)

 

しかしここで、もう一つ大きな問題があります。

当事者が納得した価格と、税務上の「時価」との差額が課税の問題を生じる可能性があります。

 

「時価」は、取引を行う当事者の立場によって価格が異なる(特例的評価でいけるのか、原則的的評価になるのか?)という税務独特の問題があります。

 

公開会社でない会社(すなわち「取引相場のない株式」)の場合、譲渡をする株主が「法人」か「個人」か、また同族株主か、そうでないかによって「時価」が変わってきます。

評価方法が異なれば価格差が大きいため、(通常、特例的評価は原則的評価よりも大幅に価格が安くなることが多い)「時価」の判断を間違えると非常に大きな問題を生じます。

なぜなら、「時価」を基準に売買価格が、高額か低額かが判断され、差額について寄付金や受贈益の問題へと発展していくからです。

 

次に、当事者間での協議が調わない場合は、裁判所に価格決定の申立てのケースについてです。「裁判所は、売買価格の決定をするには譲渡等承認請求の時における株式会社の一切の事情を考慮しなければならない」(会社法144条2項、3項)

「一切の事情」とは、買受人の資力や株式会社の支配権を維持する事の必要性は、株式の客観的価値と関係のない事柄なので考慮されず、また譲渡側株主の主観的事情や、買受希望価格なども考慮されないとされています。またコントロール・プレミアムやマイノリティ・ディスカウントも考慮されません。

 

 

以上のように、株式買取請求が現実的になると買取価格の「株価」を巡って複雑な問題が起こります。

事業承継を考えるうえで、少数株主の問題は無視できない大きな課題ですので平時の間に早めの対策を講じることが重要です。



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【中小企業における株主総会の重要性と退職金】

 

株主総会を適法に行わなかった、あるいは開催していないことによる退職金リスク。


事業承継対策で、退職金を活用し自社株の評価を引き下げるというケースがよくあります。

 

退職慰労金の損金算入の時期は、次の通達が根拠です。

 

(役員に対する退職給与の損金算入の時期)

9-2-28 退職した役員に対する退職給与の額の損金算入の時期は、株主総会の決議等によりその額が具体的に確定した日の属する事業年度とする。ただし、法人がその退職給与の額を支払った日の属する事業年度においてその支払った額につき損金経理をした場合には、これを認める。(昭55年直法2-8「三十二」、平19年課法2-3「二十二」により改正)

 

ある事業年度において退職慰労金の支給額を決議する株主総会を開催したとして株主総会議事録を作り、退職慰労金をその事業年度において損金算入するとともに、翌事業年度にこれを支払ったとします。


 

この場合に税務調査をし、現実に株主総会を開催していないことが判明すれば、当局はその事業年度における損金算入を否認できます。

 


そして、その事業年度における退職慰労金の損金算入により翌事業年度に自社株の評価が引き下がることを前提に、翌事業年度に自社株を譲渡等している場合に、税務調査で否認がされれば大変な複雑な問題が生じます。


否認によりその事業年度の自社の所得は退職慰労金支給前の状態に引き直され、実際は評価額の引き下がっていない自社株を譲渡していたということにます。

                  そうなると、事業承継スキームの前提が崩れる大変な事態に発展してしまうため、株主総会の開催の事実と株主総会議事録の存在が非常に重要になります。



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【平成2年旧商法問題】

2年以前の旧商法時代に設立された会社は発起人が7名以上必要 だったため、 名義株主や少数株主の問題が生じやすいケースが多いです。

 

 

しかし、遺産分割協議や特別受益の問題、遺留分減殺請求によって、自社株式が分散する事態が生じるおそれがあります。

株式が分散保有されているということは、少数株主が存在するということです。

この少数株主を放置すると後々大きな問題に発展する可能性があります。

そして、経営者に相続が発生した場合、遺産分割が終了するまでは、相続財産は相続人で共有されるため、遺遺産分割が紛糾した場合は事業承継計画にデットロック状態が生じることになります。

 

 

現経営者が健在なうちの方が対策の幅も広く、出来るだけ早い段階で後継者に自社株を集中させる道筋を立てておくことが理想的です。

では、株式が分散した場合の具体的なリスクを見てみましょう。

最も注意したいのは、「株主代表訴訟を起こされるリスク」と「株式買取請求を起こされるリスク」です。

 

株主代表訴訟は大企業が起こされるといったイメージが強いかもしれませんが、実務では非上場会社が当事者となる株主代表訴訟は意外と多いのです。

そして、株主代表訴訟1株でも株式を保有している株主であれば訴 えを提起できるのです。(会社法847条)

また、3%以上の株式を保有している株主であれば、 会計帳簿閲覧請権(会社法433条)を行使することも可能です。

 

例えば、株主総会の多数決で負けた少数株主が、会社経営の不満について少数株主権を使って主張してくるケースです。

中小企業では、社長の私的な取引が行われやすく、高級車やセカンドハウスの購入。高額な私的飲食代の利用等が問題とされます。

中小企業では、取締役会や株主総会を開催したことがない。当然ながら、株主総会の招集通知すら発したことがない。というケースが少ないのが実情です。

したがって、株主代表訴訟が提起されると会社側は非常に不利な立場に立たされます。

 

【少数株主対策】

対策としては、安易に第三者に株式を保有させないこと。

 

後継者に自社株式を集中させて譲渡すること、株主の整理・株主名簿をきちんと会社が作成し保管しておくというが非常に重要です。

また、平時に定款を自社に即した定款に変更しておくことは非常に重要です。

 

冒頭にも述べた通り、平成2年以前に設立した会社は株式が分散し ていることが多いため注意が必要です。特に、 事業承継を考える会社は、創業し30年程度経過している会社が多 いのが現状です。

 

現経営者は、少数株主から出来るだけ早く株式を買い取る必要があります。

ここで問題になってくるのが株式の買取資金です。中小企業の株式は繰越利益剰余金が積み上がり高額化しているケースが少なくありません。

 

この買取資金の準備として、生命保険の活用も有効な対策の一つです。

 

次に「株式買取請求」という大きな問題があります。

 

日本の中小企業の株式会社のほとんどが、会社の承認がなければ株式を自由に譲渡できない非公開会社です。

譲渡制限株式を譲渡するには、会社の承認が必要です。しかし、「譲渡自体が禁止されているわけはない。」

ここが非常に重要な点です。

したがって、株主が他の者へ株式を譲渡する場合、あるいはした場合、会社はその譲渡を承認するか、株式を買取るかの選択をしなければならない。

 

ここで問題になるのが、買取資金の問題です。

会社が株式の買取り請求を受け、買取り価格が合意しないと、裁判所に価格決定の申し立てを起こされてしまう可能性があります

 

 

会社は最終的に、買い取るか、第三者に株式が渡ることを許すかの二者択一を迫られる。とう事態になります。

この少数株主の買い取り請求を買取り資金の問題は、事業承継を考えるうえで避けて通れない問題である。

この株買取資金を保険で準備することも解決策の一つです。


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