日本観光ミシュラン

日本国内のあらゆる観光資源を格付けする、旅のガイドブログ。

角打ち礼賛(徳島編)

【グルメ】市川酒店(徳島県徳島市)−
徳島駅前から眉山に向かう大通りを一本入った所にある、典型的な角打ちの店。看板から文字が脱落し「チカ」としか読めないが、屋号は「市川酒店」。創業から60余年を数える老舗だ。
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右側の縄のれんの奥に座り飲みのスペースがある。  
先客は作業着姿の職人が2人。片方の男の酒癖がひどく、女将さんに悪態をつくので閉口したが、どうやら常連らしい。中締めで3,100円も払ったのには驚いた。角打ちでここまで飲み続ける人も珍しい。お節介だが野暮だとも思う。
カウンターのキャパシティは8人ほど。場末感漂う店には焼酎が似合いか、と宮崎のそば焼酎「天照」、つまみにおでん(すじ、豆腐)を頼んだ。
おでんは注文を受けてからやおら鍋に火を入れて温め始める。この店のスピードメニューは乾き物しかない。
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焼酎はうまかった。が、おでんはすじの下処理不足か、余分な脂とくさみが豆腐にしみ付いていて今ひとつ。
そうこうするうちに、身なりの整った中年女性が一人で来店した。お堅い職業に従事している風で、角打ちの店には場違いな印象だが、やはり常連さんのようだ。
職人2人組とも顔なじみらしく、先ほどまで耳障りだった酒乱男がおとなしくなったのが可笑しい。カウンターの最奥が指定席であるかのように腰を下ろし、慣れた様子であれこれと注文する姿はヌシのようでもある。
客が持ち込んだらしい釣り魚を、常連のリクエストに応じて塩焼きにしたり、焼き霜風にするなど、女将さんは俄然忙しくなって来た。
一段落した頃を見計らってお勘定にしてもらった。たったの500円。ワンコインで濃い時間を過ごさせてもらったことに感謝したい。

住所:徳島県徳島市中通町3-11
営業時間:11:15〜15:00/17:00〜21:30
定休日:日

【グルメ】両国酒店(徳島県徳島市)−
市川酒店が面白かったので、近くにあるもう一軒の角打ちでハシゴ酒。1階の酒販店は営業を休止しているようなので、厳密には角打ちとはいえないが、客が出て行ったのと入れ替わりに2階へ階段を上る。
酒場がにぎわう夜7時台、広い店内に客はいなかった。しまったと思ったがもう遅い。
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仕方なく、置物のようなバアちゃんに焼酎(黒霧島)水割りと、ケースに見えた空豆を注文。
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電子レンジでチンした空豆は身がグズグズで、残念なお味だった。壁に掲げられた「メニュー」のうちいくつが実際に調理できるのか、はなはだ疑わしい。
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店のバアちゃんは椅子に座ってテレビを凝視したまま、注文のやり取り以外は一言も発さない。動きもしない。MC立川志の輔の声だけが響く店内は静かだ。
こんな場末中の場末店に焼酎をボトルキープしている酒飲みが10人ほどいるようだ。なぜ、と訝しく思うが、誰にも邪魔されない時間を過ごしたい向きには格好の場なのかもしれない。
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出来合いが並べられたケースは見るからに貧相で食指が動かないが、どうせ場末価格だろうと、スパサラを追加。
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ひねた味のキュウリと、過剰な化学調味料が印象的な一皿のお代は、勘定の時に発覚した。なんと300円。さきほどの空豆も300円、焼酎は260円。自分史上いちばん高いスパサラに徳島で出会った。角打ちには勉強させられるばかりだ。
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BAR47(その6)BAR ARCHE

【グルメ】BAR ARCHE(徳島県徳島市)☆
繁華街の大通りから一本入った、飲食店と夜のお店が連なる小路にある。開店直後に訪ねると、バーテンダーの村上さんが笑顔で迎えてくれた。
挨拶を交わした後の一杯目、「徳島らしいカクテルを」とのリクエストに、名産のすだちと和三盆糖を使ったギムレットで応えてくれた。甘味と酸味のバランスが絶妙で後味爽やか、はるばる訪ねて来た甲斐があったと思わせる一品だった。
徳島ですだちは買うものではなく、頂くものである由。徳島は他にもさまざまな果物が採れる所で、店で使う分は自ら産地で収穫し、1年分をストックしているそうだ。
2杯目はオリジナルカクテルをリクエスト。村上さんは数々のコンペティションで優勝経験を持つ、日本でも指折りの実力を持つ女性バーテンダーだ。
数ある受賞作の中から今宵は「ガーデンシティ」。マンゴーウォッカにメロン、ミント、ココナツのリキュールを加えた、「アジアパシフィックカクテルコンペティション2012」優勝作品である。
鮮やかなミントグリーンが映えるトロピカルな一杯で、真夏のビーチが恋しくなる。写真は飲みかけ。 
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賞状が控え目に掲げられていた。
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賑やかな2人組が入ってきたのを潮時に店を出た。通りにはバーが多い。近所には村上さんが10年以上修行したバー鴻(こうの)もある。ハシゴするか、次回のお楽しみに残しておくか、悩むのもまた楽しい。

住所:徳島県徳島市秋田町1-39-1 守住ビル1F
営業時間:19:00〜2:00
定休日:日
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出羽島大池のシラタマモ自生地

【天然記念物】出羽島大池のシラタマモ自生地(徳島県海部郡牟岐町)☆
この天然記念物を現地に訪ね、紹介できる日が来るとは夢にも思わなかった。
シラタマモは、シャジクモ科植物の一種で、仮根部に白い小さな球体をつけることからこの名がある。きわめて希少な植物で、世界で確認された自生地はわずかに4ヶ所。リビア砂漠、モーリシャス島、ニューカレドニア、そして日本の出羽島である。種としての繁栄のピークは白亜紀(1億4千万年前)とされ、絶滅の途上にある生きた化石といってよい。
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出羽島漁村センター玄関脇の水槽で実物(上写真)を見てから、島の西南部にある大池(おいけ)を目指す。連絡船のお兄さんの話では、行っても見えないらしいのだが、自生している環境に触れたい一心で遊歩道を急いだ。分岐から海岸に下りると、そこから先は道がない。波に洗われてつるりとした岩が積み重なるゴロタ浜があるばかりだ。
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岩を乗り越えていくと、左手の下方に大池が現れた。右手には海がある。
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水は思いのほか澄んでいて、浅い池底が見える。
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ボートで池の中央まで漕ぎ出さないと見えないとも聞いた。その話からすると、濃い緑色に見える部分がシラタマモの群生ではないかと思われる。
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ほぼ同じレベルにある池と海とを隔てているのは、岩の堆積から成る天然の防波堤だ。写真は池側から海側を見たところ。海面からの高さは5mもあるだろうか。
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大池が成立した年代ははっきりしていない(縄文前期との説あり)。谷から流れる水がせき止められ、岩の間から浸透する海水と混じりあう。やがて池の水が淡水1:海水2という、シラタマモの繁殖に適した絶妙な配合で安定するに至った年代もまた、はっきりしない。
外洋の荒波を受け止めるには貧弱な堤防に守られて、シラタマモはどうにか生き永らえてきた。終の棲家にこの島を選んだ中生代の生き残りに、安らかな余生あらんと願う。

所在地:徳島県海部郡牟岐町出羽島
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