松山で連泊した宿(ビジネスホテル)は朝食付き、それも簡素ながらバイキング形式だった。いつもは寸刻を惜しんで日の出とともに歩き出すのだが、ご飯の魅力には勝てない。あさましいとは思いつつも、朝昼兼用とすべく胃袋の限界まで詰め込んで出発。昨日のゴール地点、「高木」バス停から歩き始めた頃には8時を過ぎていた。
40分ほどで52番札所・太山寺に到着。石手寺同様、27年振りの再訪だ。
DSC05821
あの頃はお遍路など眼中になく、国宝建築に魅かれて旅していた。いま築700年超の堂々たる本堂に相対しても当時のことは何ひとつ思い出せず、初めて見るような心持ちがする。人の記憶などいい加減なものだと思う。
DSC05822
さらに40分歩いて53番札所・円明寺。境内の『キリシタン灯籠』には聖母マリアと推定される合掌像が刻まれ、隠れキリシタンの信仰に使われたとの説がある。ここから北条市にかけては隠れキリシタン関連の遺物が多い。いずれ時間をかけて探訪してみたい場所のひとつだ。
DSC05824
本堂は簡素だった。
DSC05826
時刻はまだ9時半だが、今日中に到達できる札所はもうない。今治市街へ向けてひたすら海沿いの道を歩く。途中、小雪もちらつく空模様で、瀬戸内海にも明るさがなく、沈んだ色をしていた。こんな日には路傍の遍路墓がいっそう侘しく目に映る。
DSC05834
昼を過ぎ、どちらを向いても瓦屋ばかりの町、菊間に入る。国道沿いの工場の片隅に設けられた小さな「お接待処」でしばし休憩。
DSC05835
ミカンを頂いた。他にも手造りのカエルの焼き物(無事帰るのおまじない)や、荷物の小分けに便利な巾着袋が「お接待」として置いてあった。すぐ目の前をトラックが行き交う殺風景な場所だが、地元の方の親切が身にしみる。ノートをめくると、数時間前にフランス人女性がここに立ち寄ったらしく、感謝の言葉がつづられていた。こうした国際色もまた、お遍路らしい。
DSC05836
16時過ぎにJR大西駅に辿りつき、本日の行程は終了。松山の宿に舞い戻り、近所の居酒屋で少し飲んで寝た。

(旅行時期:2017年1月24日)

関連記事:四国遍路(継続中)まとめ