【天然記念物】出羽島大池のシラタマモ自生地(徳島県海部郡牟岐町)☆
この天然記念物を現地に訪ね、紹介できる日が来るとは夢にも思わなかった。
シラタマモは、シャジクモ科植物の一種で、仮根部に白い小さな球体をつけることからこの名がある。きわめて希少な植物で、世界で確認された自生地はわずかに4ヶ所。リビア砂漠、モーリシャス島、ニューカレドニア、そして日本の出羽島である。種としての繁栄のピークは白亜紀(1億4千万年前)とされ、絶滅の途上にある生きた化石といってよい。
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出羽島漁村センター玄関脇の水槽で実物(上写真)を見てから、島の西南部にある大池(おいけ)を目指す。連絡船のお兄さんの話では、行っても見えないらしいのだが、自生している環境に触れたい一心で遊歩道を急いだ。分岐から海岸に下りると、そこから先は道がない。波に洗われてつるりとした岩が積み重なるゴロタ浜があるばかりだ。
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岩を乗り越えていくと、左手の下方に大池が現れた。右手には海がある。
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水は思いのほか澄んでいて、浅い池底が見える。
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ボートで池の中央まで漕ぎ出さないと見えないとも聞いた。その話からすると、濃い緑色に見える部分がシラタマモの群生ではないかと思われる。
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ほぼ同じレベルにある池と海とを隔てているのは、岩の堆積から成る天然の防波堤だ。写真は池側から海側を見たところ。海面からの高さは5mもあるだろうか。
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大池が成立した年代ははっきりしていない(縄文前期との説あり)。谷から流れる水がせき止められ、岩の間から浸透する海水と混じりあう。やがて池の水が淡水1:海水2という、シラタマモの繁殖に適した絶妙な配合で安定するに至った年代もまた、はっきりしない。
外洋の荒波を受け止めるには貧弱な堤防に守られて、シラタマモはどうにか生き永らえてきた。終の棲家にこの島を選んだ中生代の生き残りに、安らかな余生あらんと願う。

所在地:徳島県海部郡牟岐町出羽島