日本観光ミシュラン

日本国内のあらゆる観光資源を格付けする、旅のガイドブログ。

見学・体験・アクティビティ

谷瀬の吊り橋

【橋】谷瀬の吊り橋(奈良県吉野郡十津川村)☆
嫌いな観光資源がある。昨今のブームに乗って無理やり創作したようなB級グルメや、地域生活の役に立たない観光用の吊り橋などがそれだ。共通しているのは、生活文化の裏打ちがないがゆえの軽薄感。むろんこのブログで取り上げることはない。自然淘汰を待つのみである。
十津川村にある谷瀬の吊り橋は、谷瀬集落の住民が生きていくうえでの必要に迫られて建造したものだ(1954年竣工)。一戸当たり20〜30万円もの大金を出しあったという。給料の3か月分どころではない、3年分にも相当する額だ(大卒初任給換算)。60年以上が経った今も、十津川の対岸に通学する小学生が、また郵便配達員がこの日本最長(297m)の生活用吊り橋を渡っていく。
国道沿いの集落、上野地側から見た橋。「危険ですから一度に20人以上はわたれません」と大書してある。
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すっかり観光地化し、GWなどピークシーズンは安全のため監視員が配置されるそうだ。それでも通行料は無料。ただ、車でアクセスする場合、駐車場は有料(500円)となる。
歩き出してみる。
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4枚の板が鎹でつながれ歩道となっている。足元はしっかりしているが、やや滑りやすく、一人で歩いただけでも揺れる。ワイヤーは太く頼もしいが、強い風が吹いたら怖いかもしれない。踏板のない部分からは、はるか眼下に十津川の流れと河原が見える。川面からの高さは54m、ビルの18階に相当する高さだ。
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視線を上げると、見渡す限り山また山。川なしに人の暮らしなど成り立たない土地だということが良く分かる。
渡り切ったところには林道のような道と茶屋、小さな展望所とトイレがある。60人ほどが暮らす谷瀬の集落へはさらに坂道を上っていく。
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所在地:奈良県吉野郡十津川村谷瀬〜上野地
通行時間:24時間
通行料:無料

黒部峡谷鉄道

【鉄道】黒部峡谷鉄道(富山県黒部市)☆☆
観光鉄道の代表的存在。宇奈月から黒部峡谷を遡り、欅平までの20.1kmを結んでいる。軌間は国内に4例しかない762mmのナローゲージで、豪雪のため冬季は運休する異色の鉄道路線だ。もとは黒部川の電源開発のために建設された。並行する道路がないため、今も工事用物資と人員を運ぶ専用列車が1日に7往復も設定されている。
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7時32分発の始発列車に乗るべく、起点となる宇奈月に到着。
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事実上の始発は上記の専用列車で、作業服姿の工事関係者を満載して出発して行った。一般客は乗れないが、駅の電光掲示板には「Work Train」としてちゃんと表示される。
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駅の広い構内には荷役設備があり、重電機器がクレーンで貨車に積み込まれていた。黒部川沿いには数多くの発電所とダムがある。黒部峡谷鉄道自体が、関西電力の100%子会社だ。
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朝早いこともあり、わずかな客を乗せて出発。写真のような電気機関車2両の重連で、トロッコのような客車13両を引っ張る。
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これは普通車で、窓がない。盛夏だったので涼しい程度だろうと思っていたら大間違いで、はっきり寒かった。長袖、ジャケットは必須だ。ちなみに窓付きの車両も連結されていて、別料金が必要となる。
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宇奈月の町を背にトンネルを抜けると、終点まで一軒の人家も見ない。黒部川が刻んだ谷の崖面をへつった、桟道のような鉄路をそろりそろりと進んでゆく。驚いたことに、青空の下を走るのは駅付近と橋梁部だけで、あとの区間はトンネルかシールドの中だ。寒いわけである。
ただ、景色は良い。見上げるような断崖と、黒部川の清流。基本的にはその連続だが、変化があって飽きない。それにしても、よくこんな所に鉄道を敷設したものだと思う。
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窓がないのでガタゴトと走行音がうるさい車内だが、放送はよく聞こえる。車窓案内は富山出身の室井滋の声が使われていて、撮影スポットや見所を次々に紹介してくれる。これはダム建設で谷を渡れなくなった猿のための吊り橋。
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終点までの間に8駅あるが、乗降できるのは2駅しかない。最初の駅は黒薙で、川に下りていくと温泉があり、旅館も営業している。次の笹平駅では、ホームに「冬期歩道」の表示がある。意味するところは鉄扉の向こうのトンネル歩道で、線路の山側に沿って走っている。鉄道が運休する冬期に、下界と黒部川流域の発電所とをつなぐ重要な生命線で、宇奈月から欅平まで歩き通すと6時間かかるという。
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対岸に黒部第二発電所を見ると、猫又駅に到着。DSC06820
宇奈月で見送った専用列車で来たのだろう、職人が朝礼の最中だった。
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もうひとつの客取り扱い駅、鐘釣は、構内がスイッチバック式になっている。
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ここにも温泉旅館があり、家族連れが降車した。
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鐘釣を出ると谷はいよいよ深く、狭くなり、終点が近づいていることを予感させる。
宇奈月から1時間20分、終点・欅平は、斜面にへばりついたような駅で、ホームは片面しかなかった。
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深山に囲まれた黒部の北の玄関口で、初心者向けではない登山道が白馬岳や十字峡方面に延びている。また、駅周辺には散策路が設けられ、黒部峡谷の魅力の一端に触れることができる。ここまできて何もせず折り返すのはもったいない。猿飛峡と人喰岩だけはお見逃しないように。

大井川鉄道(その2)千頭〜井川

千頭から先、大井川の谷はいよいよ狭くなり、列車は人跡まれな地帯を走る。駅施設はあっても周囲に人家の見当たらない「秘境駅」が連続し、森林鉄道のようだ。
もともとが電源開発と林産資源の輸送を目的として建設されたので、旅客輸送などオマケ扱いだったのだろう。しかし今は本来の使命を果たし終え、ほぼ観光用の鉄路となった。列車は1日4往復(プラス接阻峡温泉行1往復)、太陽が出ている時間帯しか走っていない。
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車両のドアは手動で、駅に着くたびに女性の車掌さんがホームに下りて乗降確認に走り回る。車掌さんは、観光案内と車窓案内のアナウンスも担当する。ただ、残念なことに騒音でその半分以上は聞こえない。走行中、カーブでは車輪がきしむ音、トンネル内では反響音で隣と会話できないほどうるさいのだ。音に敏感な人には苦行のような乗車体験になるかもしれない。
アプトいちしろ駅に到着。電気機関車を補機として後部に連結する。次の長島ダム駅までが日本唯一のラック式鉄道(アプト式)区間である。
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ラック式鉄道とは、レールの間に歯型を切ったラックレールを敷設し、機関車に設置された歯車とかみ合わせることで登り下りを容易にする仕組みで、かつては信越本線の碓氷峠にも存在した(1963年廃止)。
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井川線では長島ダム建設に伴う線路の付け替えで9%(90パーミル)もの急勾配区間が生じ(下写真の白い標識)、廃止案すら浮上する中、この区間だけを電化しラック式とした。異例ずくめの決断と言ってよい。
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車両が短いこともあり、乗っているとあまり勾配は実感できないが、ダムをぐるりと左に巻いていく雄大な景色が楽しめる。
DSC06679長島ダム駅でアプト式の機関車を切り離し、再びディーゼル機関車の力で谷を遡る。
ダム湖の上にぽつんと浮かぶ島のような奥大井湖上駅で半分以上が下車、次なる見所は尾盛駅− 閑蔵駅間にある「関の沢橋梁」。日本でもっとも高い(70.8m)鉄道橋だ。こうしたスポットでは減速してくれるので写真が撮りやすい。
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千頭から25.5kmに1時間50分を要し、終点の井川駅着。
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集落はもう少し上流にあり、駅周辺には茶屋以外何もない。道に下ると、畑薙第一ダム行のバスが休憩中で、南アルプスに向かう登山客が群れていた。
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周辺に観光スポットがないのがやや残念ではある。終着駅まで乗り通した20人ほどの客は、全員が折り返しの千頭行に乗って井川を離れた。
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