宇陀市議会から地域を変える。 勝井太郎の地域活性化挑戦日記。

最年少の宇陀市議会議員勝井太郎の日々の報告

2012年12月

聖域なき改革とは

住民の立場に立った議会活動をせよと意見をいただきました。
国保を上げるな、市役所の人件費をカットせよとの意見。

おっしゃることはよくわかります。
が、公務委員の人件費のカットは不可避で、それをしたとしても財源不足は解決をしません。

宇陀市の現在の人件費は45億円です。3割カットできると15億円の財源を生み出すことができます。
しかし、それでは現状維持すら不可能なのです。それ以上に交付税の減収がやってくるからです。
今、宇陀市は合併をした特例によって本来よりも年間20億円〜15億円ほど増額をされた交付税が支給されています。この特例は平成28年度からなくなり始め、平成33年には完全になくなります。
あと3年後から宇陀市は一気に財源を失っていくのです。このことをわかりながら、大きく行政サービスの見直しをせずにここまで放置してきたのです。


反対に、増大の一途をたどるのは、医療費などの福祉関連費です。
あれもしますこれもしますはもはや無理で、事業の大幅な見直しが必要になっています。
人件費を含む市役所の経費削減は絶対に行わなければなりません。ただ、それをしたといっても、行政サービスの見直しや一部負担増についても避けることはできません。
聖域なき事業再編を行う必要があるのです。


高齢者の皆様にはまことに申し訳ないのですが、高齢者に偏りすぎている行政施策を変える必要があるのです。多くの皆さんは、自分が既得権者であると思っていないと思います。しかし、若者の視点で見ると高齢者を守る施策は、特定世代の既得権なのです。
そこには手を付けません。というわけにはまいりません。
最も選挙に行く世代に受ける言動をしていれば、選挙に当選をするという一点ではいいのかもしれません。


しかし、それでは何世代にも渡って持続する地域を再生するという私の志を曲げることになります。

特に将来を担う若年層への施策は不十分です。
地域にとって最も優先すべき将来のための投資ができていないのは大きな問題です。
そのためには世代間で格差のある施策を改善をしなければなりません。
先進国の中でも教育にかける支出は最低クラスです。子どもたちへの投資は惜しんではなりません。
たとえ私たち大人の予算を回してでも行うべきであると考えています。


住民の立場に立つというのは、特定の世代、特定の地域、特定の団体のためではなく将来のために意思決定をするというのが本来の姿であると考えています。
今さえ、自分たちさえよければいいという思想は持ちません。


聖域なき構造改革は痛みが伴います。この言葉はどこかで聞いたことあると思います。彼のした政策は誤りも多かったと思いますが、この言葉には嘘はないと思っています。


この改革は正直誰にでもできるわけではありません。
誰にでも支持されるものではありません。むしろ損をすることが多いです。
けれど、放置するわけにはいかないのです。

事業評価の提案も、情報公開を超える情報発信の提案も、徹底的な改革のためです。
既得権に切り込み、時には市民とぶつかることも覚悟をしています。
この困難の時代に政治家になったものは己の損得を超え、自分の身を捨てる覚悟が求められるのです。

健康保険の課題と政治家の役割

今回の国民健康保険の保険料値上げですが、いきなり平均19%アップは驚かれた方が多いと思います。

ちなみに共済保険(公務員共済)もじわじわと上がっているのですが、来年は今年より5%保険料がアップします。健康保険は共済保険だけなく協会けんぽ(多くの企業が加入する組合)も年5%くらいの割合で保険料が上がっていっています。日本中の健康保険が上がっているということです。
実際に協会けんぽのホームページに毎年の保険料率が出ていますので参考にどうぞ。

一般的に社保と呼ばれるこれらの保険料は組合ごとに保険料率を決めて、保険料を徴収しています。
基本的に源泉徴収なので上がっても、ああ取られているなと思ってもそこまでの負担感はしないのです。
それに値上げをしなければならないとなったときは一気に上げずに数年かけてじわじわと上げていきます。家計への負担を一気にかけないための配慮ですね。


一方で国民健康保険は市町村がその保険者となっておりまして、保険料改定には条例改正が必要であり議会の議決を必要とします。

宇陀市の場合、議会側が値上げへの抵抗感があったことと行政側の判断が遅れたため段階的値上げをせずにギリギリまで引き上げないという選択をしてしまいました。
段階的値上げと言っても毎年条例改正と議会の議決が必要であったため、行政側が躊躇したのでしょう。
「毎年上げるとは何事だ。市民への負担をどう考えているのか」などと指摘されることは予測できます。
それでも丁寧な説明を市民と議会に重ねて段階的値上げを行うべきでした。

値上げなんてとんでもないという空気が支配的で、積極的に提案をできなかったことは申し訳なく思います。
行政側も媚びてはいけないところを媚びてしまったと反省をしていただきたいと思います。


もう一つ、国民健康保険の負担感がある理由には、源泉徴収ではなく、世帯ごとに納付をする仕組みであるからだと思われます。これは私個人の経験ですが、会社員から議員になった時に、厚生年金保険料、協会けんぽ保険料、所得税、市民税のどれもが源泉徴収でした。今は所得税だけ源泉徴収であとは納付書を使って直接支払うか、銀行引き落としになっています。一度入ってきたお金から引かれるので支払っているという感覚があるのです。会社員の時は源泉徴収後の給料が自分の収入という意識でしたので、負担しているという意識があまりありませんでした。

消費税の内税と外税で負担感が違うのと同じようなものですね。


さて、多くのサラリーマンの社会保険の負担が増えているときに、国保世帯の保険料を特別に優遇する理由はあるでしょうか。
もし、値上げに反対するのなら日本中の社会保険の保険料を下げる運動をしなければなりません。
毎年、上がっているのですから。確実に国民の負担は増えていっています。けど、そんな運動少なくともテレビや新聞で報道されていることを聴いたことも見たこともありません。
もっとも、こんなバラマキ施策を行ったら国家の財政がどれだけ痛むでしょうか。結局増税なら元の木阿弥です。
皆さんは民主党の迷走でもう懲りているはずです。


目に見える、目立つ課題だけをことさらに大きく見せて、実は全体の問題点は隠しておく、こうすると多くの住民の意識を向けさせることができます。

要するに、国民健康保険だけが議会の議決が必要であることを利用して、住民の意識をこちら側に向けさせることができるということです。

課題だけを設定して民衆をあおる政治はまさにポピュリズムです。ポピュリズムの政治だけは政治家はやってはいけないのです。


反対に、そのような全体課題を把握せずに、目先のことだけを見て意思決定をしているのなら、政治家としての資質が問われます。将来に大きなツケを残しかねません。


政治家は、将来がどうなるかを考え、そのうえで意思決定をします。わからない未来を考えるのですから、一つの判断で未来が変わるということも意識しなければなりません。反対にまずい方向に行っているときは速やかに是正する決断をしなければなりません。
実際にはこの大部分を官僚や職員にさせてしまっているのがこの国の政治の課題なのですが。


さて、今回の場合大きな課題点は、日本中で一気に進展をする高齢化に対応する社会保険をどのようにして再構築するか、これが課題です。ここまでいくと国政課題です。
宇陀市としての課題は、社保、共済と連動させて値上げをしなかった国保をどのようにしてこれから運用していくのかが課題です。
もっと直近の課題になると、財源不足をどう補うのがいいのかになります。
少なくとも議員にはこれらの視点がないといけません。

ここまで読んでいただいて、お分かりだと思いますが、
課題というのはどこ視点から見るかで大きく変わるのです。アリの視点で見れば国保が上がる、になり、鳥の視点で見れば住民間の負担のバランスが崩れかけているとなり、さらに上の人工衛星の視点になると保険制度の全面刷新が必要となるなとなるわけです。
政治家はアリの視点、鳥の視点、人工衛星の視点をきちんと持つ必要があります。アリの視点がなければ、血の通わない杓子定規な決定になるかもしれませんし、鳥や人工衛星の視点がなければ、一部の方を優遇するだけの利権の政治になりかねません。

今回の国民健康保険料の問題もしっかりと低い視点、高い視点をもって考えねばなりません。

政治家にはバランスと大きな視野が大事なのです。
そのうえで住民とまちの未来を考え抜く姿勢は絶対に必要です。

国保の値上げ、部分最適か、全体最適か。

国民健康保険の保険料値上げに賛成をしました。
なぜ、その判断をしたのか説明いたします。


まず、宇陀市の国民健康保険の来年度以降の財源は確保されているのか。

財源は足りておりません。これは来年度からいきなり足りなくなるのではなくて、前からそうです。宇陀市が県平均より保険料が安いのは、合併の時にそれぞれの自治体から持ち寄った国保会計の基金8億5千万円を毎年取り崩して不足分を補てんしてきたからです。
他の自治体は現実に合わせて値上げをした。それが平均より安くなった理由です。
値上げ前の宇陀市の国民健康保険の保険料は年平均7万円です。奈良県の年平均保険料は9万円です。2万円の差があります。


足りなくなったのは医療費の増加が原因です。
しかし、宇陀市は住民一人あたりの医療費を平成19年度38万円、平成23年度31万円と大きく削減することができました。
ただ、これは宇陀市だけでなく、日本全体で医療費抑制に取り組んでいる成果です。
それでも医療費は微増しています。最大の理由は国保加入者の高齢化による医療費の増大。団塊の世代の退職を迎え一気に高齢化が進んだのです。
医療費負担が重い75歳以上の方を後期高齢者医療制度として国民健康保険とは別の制度にすることも国民健康保険保険料の急激な値上がりを抑えた一因ですね。

と言っても宇陀市は毎年1億5千万円赤字で、それを国民健康保険会計の基金(貯金ですね)から取り崩して出すことで赤字を埋めてきたわけです。繰り返しに なりますが、その基金が底をつきつつあるのです。しかも、今後はさらなる高齢化が進みます。国民健康保険会計は厳しい運営が続きます。

足りない分は穴埋めしなければなりません。来年から奇跡的に医療費が1億5千万円削減されれば達成できますが、現実的ではありません。そもそもですが、基金をここまで取り崩さずに段階的に値上げするべきでした。
なぜかというと、大規模災害が宇陀を襲ったり、住民の中で高額な医療を受けなければならなくなったとき、いきなり医療費の支出が増えるからです。
その調整のために本来基金があるのです。通常は保険料のうちのいくばくかを基金に積み立てておくのです。それを赤字補てんのためにかなり使ってしまったのが宇陀市の国保の現状です。


財源を用意する方法は3つあります。
一つ目は繰り上げ充用。
二つ目は一般会計からの繰り入れ。
三つ目は値上げです。


繰り上げ充用とは次年度の予算からお金を前借することです。ただし、赤字が続く限り毎年前借を繰り返すことになりますので、最後は膨らんだ借金を一括で返済しなければならなくなります。今年の負担を後年度に回すだけですから、子どもたちに支払いを押し付けるだけです。

もちろん前借をして、思い切り医療費を抑えて、保険料を積み立ててそれを財源にその借金を返済するんだというのならやってみてもいいとは思います。宇陀市がもし、そのようなことを言いだしたら皆さんは信用できるでしょうか。嘘を言うなと思うのではないでしょうか。
しかし、現実的にはそれをするなら、医療費と保険料を連動させる仕組みのほうがいいでしょう。下手をすると宇陀市の財政破たんを招きます。


一般会計からの不足分を補てんする繰り入れは法定外繰り入れといいます。法律で定められている範囲を超えて繰り入れるからです。法律では低所得者のために 保険料を減免せよ、その穴埋めは一般財源から行うべしとされていて、宇陀市も行っています。低所得の世帯を住民で支えましょうということですね。
それ以上に繰り入れると減免を受ける世帯だけでなく、支払い能力のある世帯も優遇しましょうとなります。

国保の保険料は上限額があるので年収800万円以上の被保険者は保険料が一律になります。年収2000万円でも同じです。
ここは不公平です。が、法律の定めがあるので宇陀市だけ極端に外れた保険制度にすることは不可能です。


値上げは、言うまでもありません。
必要な医療費を国や県、市からの支出を除いて、被保険者で負担するのです。ただ、これも際限のない値上げのリスクがあることを承知しておかないといくらで も値上げが続く可能性があります。現実に、国保だけでなく社保、協会けんぽ、公務員共済ともに毎年のように値上がりが続いています。

ですので、値上げしたらこれで解決ではないということを認識して中長期の取り組みをしないといけないのです。


他にも、個人事業主と会社員、公務員の税の捕捉率の差も考えておかねばなりません。経費算入の幅を考えると必ずしも国保の保険料が高すぎるとは言い切れない面もあります。

国保に限らず国会で見直しが必要な法律があります。
改善を呼びかけることは必要です。
今は法律の範囲の中でできることを行うことが大切です。


実は繰り上げ充用や一般会計からの繰り入れをしたほうが住民に気づかれずに負担をさせることができます。それが将来の財政をどれほど痛めるかを考えたことはありますでしょうか。
自分たちで払わないものはそっと子どもたちに払わせるのです。
それだけはやってはいけないでしょう。

市役所の無駄を省くことで、国民健康保険の値上げを阻止すべしというのも意見とはしてはあるでしょう。それは宇陀市の将来のためにどのような投資をするのかという議論であるべきです。国保が宇陀市の事業の中で優先順位一位かどうか考えてみてください。


国保だけを値下げするというのは社保の方の収めた税金を使わせてくださいということになります。それなら住民税を減税して住民すべてに還元しろという意見になると思います。税の負担を考えると一部の方だけ特別に優遇するのは不公平です。

部分最適ではなく、全体最適の視点を持って政策、施策は実行されるべきであると考えます。この問題を国保値上げだけで見ると値上げ反対にしかなりません。


広い視野でものを見て、全体の最適化をはかる政策を進めていく、これが私の政治信条です。
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Profile
勝井 太郎
35歳 宇陀市出身

宇陀市議会議員
(任期は2010年5月1日から2014年4月30日)
若手政治家の会代表
元都議会議員秘書
政策学校一新塾 14期政策提言課程修了


活動当初は一人駅に立ちチラシを配り、演説を繰り返す。
チラシを配り、演説を繰り返すスタイルを貫いて徐々に支援者を増やし、3月28日執行の宇陀市議会議員選挙に最年少31歳、最高得票2227票で初当選。



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