今回の国民健康保険の保険料値上げですが、いきなり平均19%アップは驚かれた方が多いと思います。

ちなみに共済保険(公務員共済)もじわじわと上がっているのですが、来年は今年より5%保険料がアップします。健康保険は共済保険だけなく協会けんぽ(多くの企業が加入する組合)も年5%くらいの割合で保険料が上がっていっています。日本中の健康保険が上がっているということです。
実際に協会けんぽのホームページに毎年の保険料率が出ていますので参考にどうぞ。

一般的に社保と呼ばれるこれらの保険料は組合ごとに保険料率を決めて、保険料を徴収しています。
基本的に源泉徴収なので上がっても、ああ取られているなと思ってもそこまでの負担感はしないのです。
それに値上げをしなければならないとなったときは一気に上げずに数年かけてじわじわと上げていきます。家計への負担を一気にかけないための配慮ですね。


一方で国民健康保険は市町村がその保険者となっておりまして、保険料改定には条例改正が必要であり議会の議決を必要とします。

宇陀市の場合、議会側が値上げへの抵抗感があったことと行政側の判断が遅れたため段階的値上げをせずにギリギリまで引き上げないという選択をしてしまいました。
段階的値上げと言っても毎年条例改正と議会の議決が必要であったため、行政側が躊躇したのでしょう。
「毎年上げるとは何事だ。市民への負担をどう考えているのか」などと指摘されることは予測できます。
それでも丁寧な説明を市民と議会に重ねて段階的値上げを行うべきでした。

値上げなんてとんでもないという空気が支配的で、積極的に提案をできなかったことは申し訳なく思います。
行政側も媚びてはいけないところを媚びてしまったと反省をしていただきたいと思います。


もう一つ、国民健康保険の負担感がある理由には、源泉徴収ではなく、世帯ごとに納付をする仕組みであるからだと思われます。これは私個人の経験ですが、会社員から議員になった時に、厚生年金保険料、協会けんぽ保険料、所得税、市民税のどれもが源泉徴収でした。今は所得税だけ源泉徴収であとは納付書を使って直接支払うか、銀行引き落としになっています。一度入ってきたお金から引かれるので支払っているという感覚があるのです。会社員の時は源泉徴収後の給料が自分の収入という意識でしたので、負担しているという意識があまりありませんでした。

消費税の内税と外税で負担感が違うのと同じようなものですね。


さて、多くのサラリーマンの社会保険の負担が増えているときに、国保世帯の保険料を特別に優遇する理由はあるでしょうか。
もし、値上げに反対するのなら日本中の社会保険の保険料を下げる運動をしなければなりません。
毎年、上がっているのですから。確実に国民の負担は増えていっています。けど、そんな運動少なくともテレビや新聞で報道されていることを聴いたことも見たこともありません。
もっとも、こんなバラマキ施策を行ったら国家の財政がどれだけ痛むでしょうか。結局増税なら元の木阿弥です。
皆さんは民主党の迷走でもう懲りているはずです。


目に見える、目立つ課題だけをことさらに大きく見せて、実は全体の問題点は隠しておく、こうすると多くの住民の意識を向けさせることができます。

要するに、国民健康保険だけが議会の議決が必要であることを利用して、住民の意識をこちら側に向けさせることができるということです。

課題だけを設定して民衆をあおる政治はまさにポピュリズムです。ポピュリズムの政治だけは政治家はやってはいけないのです。


反対に、そのような全体課題を把握せずに、目先のことだけを見て意思決定をしているのなら、政治家としての資質が問われます。将来に大きなツケを残しかねません。


政治家は、将来がどうなるかを考え、そのうえで意思決定をします。わからない未来を考えるのですから、一つの判断で未来が変わるということも意識しなければなりません。反対にまずい方向に行っているときは速やかに是正する決断をしなければなりません。
実際にはこの大部分を官僚や職員にさせてしまっているのがこの国の政治の課題なのですが。


さて、今回の場合大きな課題点は、日本中で一気に進展をする高齢化に対応する社会保険をどのようにして再構築するか、これが課題です。ここまでいくと国政課題です。
宇陀市としての課題は、社保、共済と連動させて値上げをしなかった国保をどのようにしてこれから運用していくのかが課題です。
もっと直近の課題になると、財源不足をどう補うのがいいのかになります。
少なくとも議員にはこれらの視点がないといけません。

ここまで読んでいただいて、お分かりだと思いますが、
課題というのはどこ視点から見るかで大きく変わるのです。アリの視点で見れば国保が上がる、になり、鳥の視点で見れば住民間の負担のバランスが崩れかけているとなり、さらに上の人工衛星の視点になると保険制度の全面刷新が必要となるなとなるわけです。
政治家はアリの視点、鳥の視点、人工衛星の視点をきちんと持つ必要があります。アリの視点がなければ、血の通わない杓子定規な決定になるかもしれませんし、鳥や人工衛星の視点がなければ、一部の方を優遇するだけの利権の政治になりかねません。

今回の国民健康保険料の問題もしっかりと低い視点、高い視点をもって考えねばなりません。

政治家にはバランスと大きな視野が大事なのです。
そのうえで住民とまちの未来を考え抜く姿勢は絶対に必要です。