2010年06月07日
任天堂 “驚き”を生む方程式
任天堂好きなら必ず楽しめる1冊。SCEが負け何故、任天堂がゲーム業界における独占的な地位を気付いたのか。著者の丹念な調査からその理由を垣間見るこ とができます。創業120年、花札屋だった任天堂がいかにして今の地位を気付いたのか。そこには、偶然や奇跡という一言では片付けられない理由があった。ビジネス本というと、どこか堅苦しいイメージですが、まるでミステリー小説のように読者をハラハラドキドキさせてくれます。
任天堂は外様に経営を語られることをよしとしない。経営を称えられることすら厭う。だから個別に取材を受けるということは、これほど成功している企業であ るのに極端に少ない。故にその経営を題材とした書籍も、ほとんどない。そんな任天堂の真実を探る…。これが面白くないわけありません。
Wii(ウィー)の開発時、社長の岩田さんは開発陣にこんな注文を付けたそうです。
岩田は、技術進化をベースとする開発はもうやめようと言う。(中略)ゲーム機としての基本性能を向上させる技術は捨て、家族の機嫌をとるための技術は積極的に採用する「お母さん至上主義」の開発をやろうといった。お母さん至上主義という今までのゲーム業界にはなかった発想。その徹底振りはWii(ウィー)のWiiチャンネルのネット通信に関するこんな箇所にも徹底されています。
「寝ている間は、絶対にファンを止めなきゃダメですよ。ファンの音がしたらお母さんが電源を抜いちゃうから」マリオやゼルダの作者で知られる宮本氏。任天堂にあける宮本さんの功績も任天堂の成長と切っても切れない関係にあります。米TEME氏が発表する世界で影響力のある100人にも選ばれ言わずと知れた天才ゲームクリエイターですが、世界一の宮本ウォッチャーを自称する岩田社長は、宮本氏の凄さを「肩越しの視線」と説明する。
岩田は宮元の強さの秘訣を、「肩越しの視線」と表現する。ゲームを作りこんでいる宮元は、しばしば、社内の総務関連の部署などからゲームをやらない人間を連れてきて、コントローラーを握らせる。宮元は、プレイの動きを何も言わず後ろから見つめ、「あそこが難しいなぁ」とか「あの仕掛けに気付いてもらえなかった。わかりやすく変える必要があるな」などと、改善点を次々に浮き彫りにするのだ。急激が売り上げ増加で増える任天堂の潤沢なキャッシュ。岩田社長はそれをM&Aや事業拡大に使わず、自社にストックするという選択をとった。その理由をこう説明する。
宮元は言う。「いつも、これからゲームを引き込もう、という人を相手にゲームに引引き込もう、という人を相手に作っているので、今、ゲームに熱中している人の意見は当てにならないところがある」。(中略)どれだけ世界で評価されようが、実績を作ろうが、決して独りよがりはならず、「普通の人」がわからないのは自分が間違っているからだと、修正してきた。
その武器が、肩越しの視線なのだ
任天堂は、潤沢なキャッシュをM&Aなどの巨額投資には振り向けず、一定額を貯金し続ける資本政策を貫く。その理由を岩田はいつも、こう話す。まるで、旧SCEに当てはまるような指摘。失敗を想定した上での貯金。その上で岩田社長は、任天堂という会社を「ニコニコの連鎖」という言葉を使いこう説明する。
「ゲームプラットフォームというのは勢いでビジネスをしていますから、失敗した時のダメージが非常に大きいんですね。すごいリスクが大きい。その中で任天堂は従来の延長戦上にいないものを作っている。それは誰もが成功を保証してくれないんですよ。何か一発大失敗をしたら、それで2000億円、3000億円がドーンとなくなるかもしれない。1回失敗したら後がない、倒産してしまうような状況ではうまくいかないビジネスなんです。」
ゲームが面白いというニコニコおもしろくなければ容赦なく消費者から見捨てられる。そんな業界において持続的にヒット商品を生み出さなくならないプレッシャーと戦う。その中で、Wii(ウィー)、DSという2枚看板とも呼べるヒット商品を生み出した任天堂。そこには、岩田、宮本両氏の功績だけではなく、ゲームウォッチやゲームボーイの開発者である横井軍平の存在。そして、天才的な勘で任天堂を支えてきた前社長の山内氏の功績も忘れてはならない。本書の中で、前社長である山内氏のインタビューが載っていますが、本書で一番興味深いのはその部分なのかもしれません。任天堂のWii(ウィー)、DSのヒットは偶然であり、偶然ではない。
親子の会話が増えたというニコニコ
おじいちゃんが歳をとっても明朗快活でいられるというニコニコ
何でもいいからお客さんが笑顔でいられることを目指す。そのやりがいで任天堂の社員もニコニコできる。結果として商品が売れ、取引先の人もニコニコは、業績が上がれば投資家もニコニコする。その連鎖が任天堂の究極のミッションであり、連鎖がうまくいけば任天堂は接続可能な組織となり社会に対しても責任を果たしていける。
(中略)
「笑顔創造企業。それが娯楽企業のあるべき姿なんじゃないかなと」
本書を読んでそう感じました。
Blogで本を紹介しちゃいます。
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1. 井上理『任天堂 “驚き”を生む方程式』 [ itchy1976の日記 ] 2011年04月26日 18:19
任天堂 “驚き”を生む方程式井上 理日本経済新聞出版社
今回は、井上理『任天堂 “驚き”を生む方程式』を紹介します。あまり表に出てこない任天堂がどういう会社かが紹介されています。娯楽産業はハイリスクハイリターンなので、どうやってメガヒットを出すかということな
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